黒き計画、白き騎士: 時間結社〈カンパニー〉極秘記録 (ハヤカワ文庫SF)
- 早川書房 (2012年12月7日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (655ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150118846
作品紹介・あらすじ
時は24世紀。ドクター・ゼウス株式会社をはじめ、いくつもの名前を持つ秘密結社"カンパニー"があった。この秘密結社は、「時間旅行」と「不死」の技術を使い、過去の「至宝」を手に入れることで莫大な利益を上げていたのだ!霊薬エリクシールの発見の顛末や、ミイラの棺に隠された驚くべき秘宝など、時間結社の腹黒き計画に踊らされ、人体改造を施されて不死身の体になったエージェントたちが手がけた驚愕の事件の数々。
感想・レビュー・書評
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面白かった。適切な表現じゃないと思うけど、可愛らしい話に、心をくすぐられることも。
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ああ、ね、日本語訳されてない面白いシリーズって、まだまだたくさんあるんだろうな。
ということで時間結社<カンパニー>シリーズの本邦初翻訳短篇集。
カンパニーのエージェントが完璧じゃないところがね。
天才アレックはどうなるんだろう?筆者はもういないけれど、続きはあるのだろうか。
また翻訳されますように。 -
丈ちゃんオススメの本
600pを超える15の短編集。それぞれの時代においてサイボーグ化したエージェントが、それぞれに活躍するファンタジーである。
複数登場するエージェントに感情移入できるかどうかってところが楽しむコツなんだが、外国作品だからか、そこが多少難しい。人間味を感じさせる好々爺ジョゼフも良いが、人間になりたいサイボーグのヒロイン・メンドーサや成長を続ける少年アレックなんかが、私の好みかな。
序文はエージェントの紹介っぽい「ゼウスの猟犬たち」、メンドーサがブドウの樹の下の過去の事件を発見してしまう「貴腐」、役割がイマイチわかんない「スマート・アレック」、出来損ないエージェントの存在を示す「カルーギン博士の逮捕に関連する事実について」、種の起源を描く「オールド・フラット・トップ」、知性体となったシェイクスピアとスマート・アレックの「ここに葬られし亡骸」、作家スティーヴンスンに原稿を依頼するジョゼフのドタバタ喜劇「リテラリー・エージェント」とここまでで半分。
永遠の夢アトランティスからUFOにつながるメンドーサの「レムリアは甦る!」、舞台が船だからなのかイマイチ乗れなかった「グラッドストーン号の遭難」、シリーズ中で私がけっこう好きなエージェントのアレックの萌芽を『地球へ』風の選別試験で描く「モンスター・ストーリー」、アウストラロピテクスをして、サイボーグたるエージェントを語る「ハヌマーン」、エージェントに残るジョゼフの暖かいハートを描く「スタジオの便利屋、マリブの海に消ゆ」、アレックの思春期を描く「将来有望な少年」、若者ルイスと美女キウが古文書をめぐり活躍する、本作唯一と言える人類との接近遭遇物語「黄衣の女王」、そしてラストはエージェント同士の諍い「ハーランズ・ランディングのホテルにて」。
楽しめる物語だ。この世界でのエージェントたちの活躍をもっと読みたいな。作者は死に、妹が引き継ぐらしい。それもまたいいじゃないか。 -
なかなか味のあるタイムトラベル短編集。
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<カンパニー>に属し、その利益のためにタイムトラベルを繰り返すエージェント達。基本的には短編集だけど主人公の同じ複数の短編があるので、連作短編集の趣がある。そういう意味では最初の「ゼウスの猟犬たち」はこの本のイントロダクションであると同時に総括とも言える短編。残念ながら著者は亡くなってしまっているとのことだけど、作品世界は受け継がれているようなので続編が楽しみ。
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有史以前、人類誕生の時代から暗躍している秘密結社<カンパニー>。これこそ時間旅行と不老不死の技術を手に入れた真なる秘密結社であり、その他の秘密結社といわれるものは<カンパニー>の存在を隠すダミーでしかない。
その<カンパニー>のエージェントたちの関与した事件の数々を収録した短編集。この作品のエージェントたちは、(タイプはさまざまだけれど)秘密結社の構成員というより大企業の末端構成員という感じ。いかにも秘密結社的に邪魔者を排除したり戦争を引き起こしたりはするけれど、基本的にビジネスなので希少生物が絶滅する前に保護するといっても、それが商売になるからやるだけ。命令だからするだけ。やりたい仕事ができれば幸せ。他のタイムパトロールものと違って使命感とか悲壮感とは無縁です。ちょっと毛色の変わった、時間SFの詰め合わせでした。 -
『秘密結社』って素敵な響き。