- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150121228
作品紹介・あらすじ
地獄の扉が開き、希代の犯罪者たちが逃亡した時、ヒトラーは……表題作ほか、SF界のレジェンドによる本邦初訳を含む全13篇を収録
感想・レビュー・書評
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1957年から87に書かれた作品が発表順に掲載されている。
エリスンを読んだのは初めてだけれど、解説にあるように、どれも理不尽なものに対する怒りと絶望が伝わってくる。
とりわけ古い作品にその傾向が強く、私はどちらかというと、そういった不条理さに満ちた最初の方の作品のほうが好きだ。
特に、「恐怖の夜」は読んでいて痛く刺さりすぎて目をそむけたくなる激しい衝動に駆られた。
けれど、こういう作品こそ、読まなければならないんだと思う。
どれも、祝福や幸せからは程遠く、人間が犯してきた罪悪について書かれているように感じる。
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2021/11/29購入
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60〜70年代の作品はエリスンの社会に対する怒りが強烈にぶつけられています。表題作「ヒトラーの描いた薔薇」では、主人公は理不尽に地獄に落とされ、神様に怒りをぶつけますがそんな中、ヒトラーは地獄の門に黙々とバラを美しく描き続けています。なかなか解釈が難しいですね。
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カタルシスを味わえるエンターテイメントは、無い。尖ってるなぁ〜、ハーラン・エリスン。
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ロボット外科医
恐怖の夜
苦痛神
死人の眼から消えた銀貨
バシリスク -
アメリカSF界の巨匠ハーラン・エリスンの短編集だが、エリスンってこんな情緒的なSFを書く人だっけ…?と違和感を覚えてしまった。ブラッドベリの作風が好きな人には合うと思う。個人的に一番好きな話は「ヴァージル・オッダムとともに東極に立つ」。
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日本ではエリスンの短編集はハヤカワ文庫からこれより前に2冊出てまして、どちらも傑作です。本邦3冊目の短編集となる本作、通読しての印象は割と玉石混淆な感じ。SFでは無い通俗小説やファンタジーよりの作品も多く、かつ明確な起承転結が無い話もあり、これまでの2冊に比べるとちょっと取っ付きにくいイメージです。
が、所々にもの凄く純度の高い「エリスン節」が含まれている作品がありまして、なかなか巧く表現できないのですが「神秘性を帯びた暴力」とでも言いましょうか。世間一般の常識とはかけ離れ理屈や道徳は一切通用しない、ある種神話めいた独特の世界観の中で繰り広げられる暴力と怒りの爆発。すっきりした話・気持ちの良い話が読みたい人は、絶対近づいてはいけない世界ですヽ( ´ー`)ノ
鴨が気に入ったのは、「バシリスク」「冷たい友達」「クロウトウン」の3作。「バシリスク」「クロウトウン」は、正にエリスン神話としか言いようの無い理屈抜きの迫力が感じられ、頭で理解するよりもその迫力に圧倒されて酔いしれよ、というタイプの作品。「世界の中心で愛を叫んだけもの」「死の鳥」などに近い作風ですね。
でも、こうしたエリスン神話とは一風異なる「冷たい友達」が実は一番のお気に入りヽ( ´ー`)ノ乾いたユーモアに包まれた筆致で救いようの無い結末を描くという、後味の悪さにおいては随一といって過言ではあるまいヽ( ´ー`)ノ -
モヤモヤ味わい比べセット。
並べられた十三種の珍酒について
「あれ、賞味期限切れてる…?」
「…固体…?」
「…隠し味…のみ…?」
など豊かなモヤモヤバリエーションを楽しめます。