草を結びて環を銜えん (ケン・リュウ短篇傑作集4)

  • 早川書房
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感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150122362

作品紹介・あらすじ

揚州虐殺のなかを生きた遊女を描いた表題作、満州で巨大熊を捕獲しようとした探検隊が出会った悪夢「烏蘇里羆(ウスリーひぐま)」など全7篇を収録

感想・レビュー・書評

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  • 今回はSFと言うよりも歴史小説という感じでした。
    関羽をモデルにした華人のアメリカ入植の物語は面白かった。
    新作が楽しみですね。

  • 殆どがSFとは言えず、血生臭い話しが多いのだけれど、読後感はさわやかな名人芸。

  • 王朝が明から清へ替わる頃。揚州大虐殺をモチーフに美貌と知性を駆使して生き延びようとしたひとりの遊女と下女。生死は偶然でゆえに不公平。それが天の定め=運命なら、知恵と才覚で運命に逆らえ。自由と公平を結草銜環の故事に包んで謳った味わい深い短編。

  • 傑作集1、2は読了、3を飛ばして本書4を読んだ。中国色が強めの傑作7作品。
    その中でも特に印象に残ったものは、
    「存在」介護もの。施設に入った親をリモートでケアする内容。罪悪感をテクノロジーで解決?しようとするところに妙なリアリティあり。
    「シミュクラ」娘と父の親子関係を描く内容。SF的テクノロジーを介してはいるがベタなまでの確執ネタ。よくある話ではあるがこの生々しさは作家の技術のなせる技。
    「草を結びて環を銜えん」中国歴史物。戦乱のなかでのある娼婦の賢くも毅然とした生き様。素晴らしい作品。
    「訴訟師と猿の王」飄々とした訴訟請負人の覚醒を描く。これまた傑作。
    「万味調和」中国からの移民とアイダホの少女との交流を描く温かい話。

  • 中国風 おもしろい

  • 表題作と、その姉妹編『訴訟師と猿の王』が読んでいて辛いし痛い、でも人の為す悪行をこんなにもまざまざと見せつけられて、何も感じずに通り過ぎることなど出来ない。
    歴史と創作が巧みに結びついて映像的な印象を生み出し、「○○年、揚州大虐殺」という名称に集約されるこの事件を――残虐な行為を――私の脳裏に刻みつけた。
    さえずる鳥たち、翡翠の指輪、羊の群れ、処刑の短剣・・・。

  • 表題作が、辻村七子先生のおすすめということで、はじめて手に取りました。ただ、ただ、凄い……!一作目の烏蘇里羆を読了した時、とにかく凄いという感想しか浮かばず、ずっと「すげぇな〜すげぇよ〜」と、変なテンションになりました。読み慣れてない分、言い回しや表現が難しい箇所も多かったので、一作品ごとゆっくり読みすすめましたが、どの作品も強烈に印象的でした。表題作の「草を結びて環を銜えん」、「『輸送年報』より『長距離貨物輸送飛行船』」が特に気に入りました。

  • ケン・リュウ短編集4冊目。ファンタジーと呼ぶにはヘビーな作品。史実がベースになってる話もあって、カテゴライズしがたい作品集に思える。

    「烏蘇里羆」 苫前町三毛別の事件が元ネタなのだろうか。妖怪(動物)が機械の体を手に入れるのは「良い狩りを」と同じ。

    「草を結びて環を銜えん」「訴訟師と猿の王」 読んでる間、頭の中でロックがずっと鳴ってる感じ。昔からマルコムXとか感情移入しちゃうけど、平和な運命にあることを有り難く思ってた方がいいのだろうな…

  • ケン・リュウ「草を結びて環を銜えん」読了。SF短篇集。同タイトルの緑鶸と雀のお話は中国の民族紛争に関連してとても切なく美しく思った。最後のマヒワの囀りがより一層感慨深かった。

  • この方のお話、細胞レベルで刺さる…

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