天冥の標Ⅴ: 羊と猿と百掬(ひゃっきく)の銀河 (ハヤカワ文庫 JA オ 6-16)

著者 :
  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (423ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150310509

感想・レビュー・書評

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  • 半分が断章。ようやくノルルスカインとミスチフ(オムニフロラ)の正体が明るみになる。人間でいうところの“意識”とか、コンピュータでいうところの“ソフトウェア”みたいなものか。それが最初は遠い遠い昔、遠い遠い宇宙の果てのサンゴ虫の間で起こったものだったのに、人類の知らぬ間に現代太陽系のそこかしこに彼らが巣くっていて、その底知れなさにもうやだ怖い…!ってなる(でもそこが楽しい…)。冥王班=六本足の猿をばらまいたり、他にもいろいろいたずらしたりしているのがミスチフであれば、羊からヒトへ(アニーも?)取り入ってミスチフを阻止しようとしているのがノルルスカインという認識でいいのかな?人類は結局この2体の攻防戦に巻き込まれているだけなのか…?
    断章でないタックパートの宇宙農業も興味深い。食べる物がなくなった将来の農業のあり方を予見しているようだ。旺盛な繁殖力で、それが生えた土地を不毛の地にしてしまうレッドリートの脅威は、オムニフロラの暗喩に見えたけど…関係あるのかな?

  • 西暦2349年と、断章の始まりが交互に語られ、繋がる。
    それぞれ異なる想像力が必要になる感覚で、たのしい。宇宙農業はお仕事密着ドキュメンタリー、断章は地球の成り立ちなどのCGで構成された番組みたい…と緩い感じで読んでいたけれど、タック視点もノルルスカイン視点も、最初は個人の悩みや問題が語られていたのに…終わる頃には太陽系どころか宇宙規模の話になってた。

    フェオドールじゃないノルルスカインに初めて感情移入できた。最初のミスチフには、もう会えないのだろうか。

  • あのノルルスカインの出自と、宇宙農家タック(タケカズ・バンダイ)の話が交互に出てくる作品。ノルルスカインの章は難しかった…。
    ミスチフとの出会いとかオムニフロラ(植物宇宙生命体?)との闘いとかかなり壮大な話。木星のドロテアはどこからきたのか?はここで明かされる。

    タックは、元海賊であのイシスのクローンであるザリーガを娘として引き取って育てつつ農家を営んでる。という話。

  • 宇宙農家と非展開体と呼ばれる肉体を持たず、意識だけでほぼ悠久の時間を生きている存在の話。

    農家と非展開体の話しが交互に進むが、農家の話は、巨大企業が作り出す安く大量な商品に侵食され、宇宙でも厳しい価格競争にさらされる現実の世界とたいして変わらない状況は、どんなにテクノロジーが発展しても資本が力を持つ背景では輝かしい未来などないということなのかも。

    非展開体の話は、これらの存在がどのように生まれ、どのような過程を経て人類に災いをもたらす存在となってしまうのかを描く。

  • この壮大な物語は、ノルルスカインとミスチフの戦いだったのだろうか。何千万年もさかのぼる途方もない話で火の鳥のよう。そこで交互にある星の農家の話が描かれる。終盤にいくにつれ、予想しない展開に驚かされる。希望と不穏さと。アニーはノルルスカインだったのだろうか。壮大な物語を読むのは4部で失速したが、この5部で弾みがついた。

  • 20/05/17読了
    登場人物と舞台設定がひとととり揃った、のかな。

  • 宇宙農家と、ノルルスカインらの話が交互に。いつの時代も農家は大変、子育ても大変だ。一見無関係なこの二つの物語が、最後に集束してゆく。そして被展開体の話が思いのほか壮大になってきた。ノルルスカインとミスチフ(オムニフロラ)の攻防に太陽系も巻き込まれた、という理解で良いのか?あとザリーカのくだりは少しあっさりし過ぎたが、伏線となっているのか気になるところだ。

  • 被展開体という生命か…。神の新しい解釈ですな。悪い宇宙人といい宇宙人がいるという説にも反しないね。しかし、まだメニーメニーシープには結びつかないなぁ。役者はだいぶ揃ったのだけれど。

  • ここまで中では割と地味な巻。小惑星における農業の話と、ノルルスカインの誕生から地球に絡んでくるまでの話が交互に書かれてます。やや説明的な感じもするものの、SF的エッセンスはたっぷり詰まってる。

  • 著者:小川一水(1975-、岐阜県、小説家)

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著者プロフィール

’75年岐阜県生まれ。’96年、河出智紀名義『まずは一報ポプラパレスより』でデビュー。’04年『第六大陸』で、’14年『コロロギ岳から木星トロヤへ』で星雲賞日本長編部門、’06年「漂った男」で、’11年「アリスマ王の愛した魔物」で星雲賞日本短編部門、’20年『天冥の標』で日本SF大賞を受賞。最新作は『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ2』。

「2022年 『ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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