初秋 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ハ 1-6 スペンサー・シリーズ)

  • 早川書房
4.04
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本棚登録 : 820
感想 : 90
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150756567

作品紹介・あらすじ

離婚した夫が連れ去った息子を取り戻してほしい。-スペンサーにとっては簡単な仕事だった。が、問題の少年、ポールは彼の心にわだかまりを残した。対立する両親の間で駆け引きの材料に使われ、固く心を閉ざして何事にも関心を示さない少年。スペンサーは決心する。ポールを自立させるためには、一からすべてを学ばせるしかない。スペンサー流のトレーニングが始まる。-人生の生き方を何も知らぬ少年と、彼を見守るスペンサーの交流を描き、ハードボイルドの心を新たな局面で感動的に謳い上げた傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 「自分でコントロールできない事をくよくよ考えるな」
    いい言葉です。

  • 私の人生のバイブル。
    と言っても過言ではないです。
    人が生きていく中での基本的に大事な事が随所に。
    これをイイと言う人と結婚したい。
    ムリそうだけど~

  • 物語の形をとった自己啓発の書。教訓と格言に満ちています。

    • フリテン人生さん
      おっしゃるとおりです。激しく賛成
      おっしゃるとおりです。激しく賛成
      2020/11/14
  • ポールと共にスペンサーから人生訓を学ばせてもらえ、体を鍛えよう!得意なこと、好きなことに夢中になる時間を大切にしよう!と思わされる。

    スペンサーのハードボイルドな言動が男気にあふれていてかっこいい。

    P281
    「おまえより進んでいるのが何人かいるだろう。おまえは努力して追いつかなければならない。しかし、必ず追いつける。たった一夏で自分がやったことを考えてみろ」
    「ただし、ぼくは、なにも自分のものにすることができなかった」
    「できたよ」
    「なにを?」
    「人生だ」

    という最後のシーンにグッときた。

  • 本書を含む、ロバートBパーカーのスペンサーシリーズと、エドマクベインの87分署シリーズを、定年後に全作読み返す事を楽しみの一つに数えている。
    定年を待つこと無く、この『初秋』を読み返したくなったのは、高倉健さんが亡くなったことに始まる。かつて、この『初秋』を映画化する話があったと聞いていたからだ。絶対に観ることができない映画になってしまったが、小説は読む事ができる。高倉健さんが亡くなり1年経ったが、秋のうちに読んでおきたいと思った。

    ネグレクトされ心を閉ざした少年を一時期預かり、ともに生活する中でウエイトトレーニングやボクシング、大工仕事、料理、服の選び方等々を教えていく。一夏の間に少年は本来の自分を取り戻し、将来の目標を見つけ、自立できるまでに成長する。秋を迎える頃にはスペンサーの元を離れ一歩を踏み出す。その後のシリーズにも、この少年は時々登場するので、彼の成長ぶりは時を追って知ることができる。
    少年に向けただけでは無い。自立した大人とはどうあるべきかのメッセージがこめられており、読者はメッセージを受け止めないといけない。あるいは受け流すのか。

    20数年ぶりに読み返し、僕は息子に何を伝えられただろうと考え込んでしまう。
    息子が小学校5年生くらいの時に読み返していれば、僕の子育て人生(?)が変わっていたかもしれない。
    読む時期により、ずいぶん感じ方が変わると実感した再読体験だった。将来、僕は孫を持つかもしれない。その時、僕はこの小説をどう読むのだろうか。

  • 漢字二文字だけれど、
    ディック・フランシスさんの作品ではないよ。

    こちらは、いつものミステリ指南本で第28位。

    新しい探偵像をうちだして、
    日本でも人気となったとあり、ふと読んでみた次第じゃが。

    アメリカでは私立探偵は州レベルの公的資格制度があるのだね。
    マーロウ君もカードをよく見せたりしていたから
    なんだろう?と思ってちょいと調べました。

    さて、今回の作品、私立探偵であるスペンサーは
    依頼先で出会った少年に心を惹かれる。

    気持ちをかえりみられることなく、
    親同士の駆け引きの材料に使われる少年ポール。

    ひ弱な風貌で、自分の意見を持つことをやめてしまった彼の
    「自立」を手助けしようと決めたスペンサーは…。

    このスペンサーと言う人が、いきなり饒舌で、
    なんだかチャラチャラしているというか、フーム…。

    自分がモテる、と言って実際モテてるみたい、
    でも一々鼻につくんだなー。

    早く、急いで、スペンサーに何か言われる前に
    私から先に!
    「あなた、私のタイプじゃないから!」と、告げたい。
    (悲しき防衛…?)

    一緒に大工仕事をしたり(ログハウスめいたもの?を建てる)、
    ボクシングを教えたり、美味しいものをごちそうしたり、
    そこいらへんは昔の青春ドラマ調で
    やや暑苦しい感じだけど、ま、よいや。

    ポールを守るため、あることを閃いたスペンサーは…
    結局、最終的に力技と言うか腕ずくと言うか…
    ハッピーエンドと言って、良いのかな。

    うーん、そんなに大がかりな事件でもないし、
    トリックがあるとかそういうのじゃないし、
    重きを置かれているのはスペンサーと少年の心の交流。
    こういうハードボイルドもあるのですね。

    スペンサーのことはあんまり気に入らなかったけど!(鼻息!)
    ポールは頑張ったし、彼女のスーザンも魅力的だから、
    もしかして、違う作品をみかけたら、
    (シリーズでポールが準主役になっているらしい)
    また、読むかもしれませぬ。

    • 円軌道の外さん

      改めて、明けましておめでとうございます!
      今年もよろしくお願いします(^o^)

      「つむじ風食堂と僕」にコメントありがとうございま...

      改めて、明けましておめでとうございます!
      今年もよろしくお願いします(^o^)

      「つむじ風食堂と僕」にコメントありがとうございました。
      返事書いているのでまた読んでみてくださいね。


      で、この「初秋」、
      めちゃくちゃハマった小説なので懐かしいし、
      ネオ・ハードボイルドと呼ばれて
      当時は男がハマる傑作でした。

      個人的にはスペンサーシリーズは
      いかにもアメリカンなキャラの主人公が好きになれなかったけど(笑)、
      この作品はスペンサーよりも
      少年の自立を描いているので異色だったし、
      学生だった自分はすごく共感したんですよね。

      確かこの少年のその後を描いた続編も出てたと思います。


      この手のネオ・ハードボイルド小説なら、
      ジェイムズ・クラムリーの
      「酔いどれの誇り」と 「さらば甘き口づけ」は
      詩情溢れる傑作なので、
      本当にオススメですよ(^^)




      2014/01/13
    • 日曜日さん
      円軌道の外様、こんばんは~、お返事も読みました!どうもありがとうございます。

      そうです、そうです、「いかにもアメリカンな」の表現、言い...
      円軌道の外様、こんばんは~、お返事も読みました!どうもありがとうございます。

      そうです、そうです、「いかにもアメリカンな」の表現、言い得て妙、ですねえ! なんと言うか、タフなチャラ男みたいな、そんなことですね。

      後編もいつか読みたいです。

      お勧めの本も探してみます!

      これからもよろしくお願いいたします♪
      2014/01/14
  • 「そんなことはどうだっていいんだ。

    要は、
    自分はこうあるべきだ、という考えにとらわれないことだ。

    自分にできるものなら、自分の気に入っていることをするのがいちばんいい」


  • 予想される展開がずっと続く。翻訳が読みにくい。普通の物語。

  • アメリカの作家「ロバート・B・パーカー」のハードボイルド小説『初秋(原題:Early Autumn)』を読みました。

    海外のハードボイルド小説は一昨年の11月に読んだ「レイモンド・チャンドラー」の『ロング・グッドバイ』以来なので久しぶりですね。

    -----story-------------
    離婚した夫が連れ去った息子を取り戻してほしい。
    ―「スペンサー」にとっては簡単な仕事だった。
    が、問題の少年「ポール」は彼の心にわだかまりを残した。
    対立する両親の間で駆け引きの材料に使われ、固く心を閉ざして何事にも関心を示さない少年。
    「スペンサー」は決心する。
    「ポール」を自立させるためには、一からすべてを学ばせるしかない。
    「スペンサー」流のトレーニングが始まる。
    ―人生の生き方を何も知らぬ少年と、彼を見守る「スペンサー」の交流を描き、ハードボイルドの心を新たな局面で感動的に謳い上げた傑作。
    -----------------------

    私立探偵「スペンサー」を主人公とするシリーズ全39作品のうちの第7作にあたり、1980年(昭和55年)に発表された作品です、、、

    「スペンサー」と15歳の少年「ポール」の交流が物語の中心となっており、固く心を閉ざして何事にも関心を示さない少年「ポール」を「スペンサー」が、精神的にも肉体的にも鍛え、自立し、自分の力で運命を切り開くための生き方を伝授して行く… というプロセスを描いた作品でした。

    謎解き等のミステリ的な要素はほとんどないので、本シリーズの世界観や「スペンサー」の価値観に共感できないと、愉しめないだろうなぁ… と思える作品ですね、、、

    個人的には、少年が成長するプロセスを描いた作品は大好きな部類だし、「スペンサー」のカッコ良さも感じられたので、愉しみながら読めましたね… 『東西ミステリーベスト100』で海外篇の93位として紹介されていた作品です。


    「スペンサー」は、「パティ・ジャコミン」という依頼人から、離婚した夫の「メル・ジャコミン」が、息子の「ポール」を連れ去ってしまったから、奪い返して来て欲しいの依頼を受ける… 「スペンサー」は、「メル」の愛人「エレイン・ブルックス」の住所を手がかりに「メル」の居場所を突き止め、「ポール」を見つけるが、彼は両親の愛情も知らず、固く心を閉ざして何事にも関心を示さない少年だった、、、

    依頼通り「ポール」を「パティ」の所へ連れ帰るが、「パティ」は「こんなに早く帰って来るとは思わなかった」と、「スティーヴン・コート」という男を連れ込んでおり、「スペンサー」は「ポール」と二人で食事に行くことに… しかし、「ポール」は食事にも関心を示さず、注文も全て「スペンサー」任せだった。

    3ヵ月後、「パティ」から、「ポール」の周りを怪しげな男たちがうろついていると連絡が入る… 「メル」に依頼された男たちが、「ポール」を「パティ」から奪おうとしていたのだ、、、

    「スペンサー」は、「パティ」の依頼で家に住み込み、一度は男たちを追い払うが、「パティ」が攫われてしまい「ポール」との交換を要求される… 「スペンサー」は、相棒の「ホーク」の助けを借りて「パティ」を奪い返すことに成功する。

    その後、「パティ」から、「ポール」を「メル」に見つからない場所にかくまってほしいと、依頼された「スペンサー」は、「ポール」が夫婦の争いの道具として利用され、彼自身が自立していないことを見抜き、ボクシング、大工仕事、ランニング等を軸にトレーニングを行い、「ポール」を自立させようとする… しばらくして突然パティから連絡があり「息子をメルのもとに返すから返して欲しい」と言われるが「スペンサー」は「ポール」のために拒否、、、

    「スペンサー」は「ポール」を両親から引き離すために、二人の弱みを探り出そうとする… 「スペンサー」と「ポール」は、「メル」の背景を洗い、「ハリー」とつるんで放火による保険金詐欺を働いていていることをつきとめ、さらに「パテイ」は毎月ニューヨークへ出向き男漁りをして過ごしていることをつきとめ、ようやく自己を確立した「ポール」が演劇学校に行きたいと言うのを受け、「スペンサー」は二人に「ポール」の生活に干渉しないこと、「ポール」の生活に必要な金をだしてやることを約束させる。


    「スペンサー」の言葉や行動は、「ポール」のように無気力に生きる少年だけでなく、いつの間にか惰性で生きるようになってしまった、我々、大人の心にも響きますね、、、

    シリーズの第18作『晩秋(原題:Pastime)』では、青年となった「ポール」と「スペンサー」が再会するらしいです… 機会があれば、読んでみたいですね。





    以下、主な登場人物です。

    「スペンサー」
     私立探偵

    「スーザン・シルヴァマン」
     スペンサーの恋人

    「パティ・ジャコミン」
     依頼人

    「ポール・ジャコミン」
     パティの息子

    「メル・ジャコミン」
     パティの前夫

    「スティーヴン・コート」
     パティの愛人

    「エレイン・ブルックス」
     メルの愛人

    「バディ・ハートマン」
     用心棒

    「ハリイ・カトン」
     中古車センターのオーナー

    「シェリイ」
     ハリイの手下

    「ホーク」
     スペンサーの相棒

  • 「いいか、自分がコントロールできない事柄についてくよくよ考えたって、なんの益にもならないんだ」

    ハードボイルドと呼ばれるジャンルの1作らしい。ハードボイルドと聞くと男らしさとか渋いとかそんなイメージあるけど、思ったより視点はフラットだな。

    最初は読みづらさあるけど、慣れてくる後半にかけて面白くなってくる。内気な少年が自己を確立していく展開はやっぱり見てて気持ちが良い。

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