- Amazon.co.jp ・本 (445ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151300035
作品紹介・あらすじ
深夜の電話に駆けつけたシェパード医師が見たのは、村の名士アクロイド氏の変わり果てた姿。容疑者である氏の甥が行方をくらませ、事件は早くも迷宮入りの様相を呈し始めた。だが、村に越してきた変人が名探偵ポアロと判明し、局面は新たな展開を…驚愕の真相でミステリ界に大きな波紋を投じた名作が新訳で登場。
感想・レビュー・書評
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「この部屋の全員が何かを隠していらっしゃるのです。あなた方全員にお願いします。真実を語ってくださいーー包み隠さず」
深夜、シェパード医師のもとにかかってきた執事を名乗る電話。すぐに駆けつけると、村の名士アクロイド氏が短剣で殺害された姿で見つかった。死亡推定時刻は、午後9時45分から午後10時。事件前に付近で目撃されながら行方不明となっているアクロイド氏の養子ラルフが容疑者とされる。
シェパード医師は、隣に引っ越してきた変人が名探偵ポアロであると知り、共に真相の解明に乗り出すがー。
本作のワトソン君は、シェパード医師。ヘイスティングズは名前だけしか出てこない。
ポアロのもったいぶった物言いや仕草にもだいぶ慣れてきて、登場すると思わずニヤッとなる。
部屋から盗まれたフェラーズ夫人の青い封筒の手紙。
位置の変わっていた安楽椅子。
急に暇をとらされたメイド。
外から走ってきたらしい家政婦。
開いていたシルヴァー・テーブルの蓋。
キングス・アボット駅からかけられた偽りの電話。
東屋に残されていた白い木綿の端切れと、羽軸のついた羽根。
アクロイド氏が殺される前に部屋から聞こえた話し声。
シェパード医師の姉が森で盗み聞きした男女の声。
行方不明の40ポンド。
捨てられた「Rより」の指輪。
謎の断片が拾われていくけれど、一体何がどう繋がるのかさっぱりわからない。
どの人もこの人もなんだか怪しい。
冒頭に引用したポアロの言葉のとおり、包み隠さずに真実を話している人はいないのだ。
人は、たとえそれが殺人事件とは関係なくても、別の意図によって、後ろめたいことは隠そうとする。本作で登場する人たちは皆、人に知られたくないことのある人たちなのだ。
ポアロは巧妙に言い繕われた中から、真実を洗い出していく。その推理はいつもに増して鮮やか。
それにしても、位置の変わっていた安楽椅子がそんな意味を持っていたなんて。
でも、断片の繋がりはわからずとも、私にしては珍しく、犯人はわかってしまった。今思うと、このアクロイド殺しのオマージュだったのかなと思うが、似たようなトリックものを読んだことがあったのだ。できれば最後にびっくり、わぁ!ってなりたかった。
結末は物悲しかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
地主アクロイドの死をめぐり、名探偵ポアロが真相を暴く。語り手がなぜ彼なのか、、と終始疑問に思いながら読み進めていたが、そういうことだったのか。解説を読んではじめて、この小説の精巧な作りがわかった。ただ、犯人は薄々気づいていたので、そこまで驚きはなかったなぁ。
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作家の代表作と言われるこの作品は、はじめから直感的に犯人が分かりました。なので評価は4にさせていただきました。次回に期待します。
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The Murder of Roger Ackroyd(1926年、英)。
ポアロ・シリーズ。アクロバティックなトリックが有名な作品で、この作品によってクリスティは推理作家としての地位を確立したと言われる。
医師のシェパードは、村の名士アクロイド氏から相談を持ちかけられた。今朝シェパードが死亡診断した女性の本当の死因について話したい事があると言う。しかし、全てを語り終える前にアクロイドは何者かに刺殺されてしまう。そんな折、シェパードの隣に越してきた人物が探偵ポアロであることが判明し…。
発表当時は、このトリックのフェアネスについて物議が醸されたらしい。否定的な見解もあったようだが、現在では叙述トリックの名作として認められている。いずれにせよ少なくとも小細工ではない(小細工というには、あまりに大仕掛けなので)。 -
細かく章が分かれていて読みやすく、
この小説が当時物議を醸したのもよく分かる非常にトリッキーなプロット。
ただ偏りは多少あるものの、情報自体はしっかり開示されており、
注意深く読み進めていけば、間違いなくフーダニットは解決できる。
現代でも間違いなく楽しめる前衛的な作品。
改めて、本当に凄い。 -
結末知ってても面白い
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あやごぜさん、こんばんは。
レビュー楽しく拝見しています。
〝クリスティー強化ウィーク〟とってもいいですね‼︎‼︎応援してます♪
うちの近...あやごぜさん、こんばんは。
レビュー楽しく拝見しています。
〝クリスティー強化ウィーク〟とってもいいですね‼︎‼︎応援してます♪
うちの近くの図書館はクリスティーがあまり置いてなくて(20冊くらい?)強化しづらいのが残念です。2021/06/25 -
111108さん♪
コメントありがとうございます!
111108さんは、私の中で勝手にミステリ仲間だと思っております(^-^)
確かに...111108さん♪
コメントありがとうございます!
111108さんは、私の中で勝手にミステリ仲間だと思っております(^-^)
確かに、図書館利用によって蔵書のラインナップ異なりますよね~。"強化ウィーク”
応援して頂き、ありがとうございます!
今はちょっと多忙で、読ペース遅めてすが、時間取れたらクリスティー漬けを堪能したい所存です~(*^^*)2021/06/26 -
2021/06/26
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真相に薄くベールがかかってはいるけれど
騙すような書き方はしていない。
住人たちから話を聞きまくっても
自分は決して多くを語らず
何かを掴んでいたとしても
誰に何を聞かれてもはぐらかし
真相を話すため主要人物たちを集めた場では
「早く犯人の名前言えよ!」と
ツッコミたくなる回りくどさで
犯人に間接的に語りかける。
引退後でも、あのポアロは健在だった!
核心には触れてないけど絶妙なバランスで
伏線がちりばめられていて
読み進めるごとにワクワク度が増す。
アガサ・クリスティーデビュー100周年。
2020年になった今も変わらず魅了し続けるって…
改めて考えると、めっちゃすごいことだよなぁ…
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