ナイルに死す〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 15)
- 早川書房 (2020年9月11日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151310157
作品紹介・あらすじ
結婚まもない美貌の資産家ジャクリーンとその夫サイモン。エジプト旅行出た二人を、サイモンの元恋人のリネットがつけていた。そしてついに、ナイル河の船上で悲劇が起こる。船に乗り合わせた名探偵ポアロが暴く驚愕の真相とは?
感想・レビュー・書評
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BSドラマでのキャスティングを思い出しながら読む。結末知っていてもなかなか事件起きなくても、ポアロの調査によって徐々に明らかになる事実に釣られてぐいぐい読んでしまう。最後犯人の罪に至るまでの告白も深い。やっぱり傑作だと思う。
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ナイル川クルーズで起きる殺人事件!
大金持で美貌のリネット、その夫のサイモン。そしてサイモンの元婚約者のジャッキー。三人の愛とミステリーの最高傑作。
単なるミステリーにとどまらぬ、作者の痛烈なメッセージに驚嘆しました。 -
クリスティーの中東もの(そんなシリーズは無いが)。
通勤時間等で数ページづつしか読めないので、例によって登場人物の名前と関係性が分からなくなり、「登場人物」ページをチラチラ見て読了。
本書は「オリエント急行の殺人」のナイル川豪華客船版というと、私の表現は陳腐かな。推理小説なので感想を書くとネタバレになりやすいのでやめましょう。
ポワロシリーズもまだ沢山あるけど、次はミス・マープルシリーズもいいかな。 -
美貌の資産家で、なんでも自分の思い通りに物事を進めてきたリネット。彼女は友人ジャクリーンの婚約者サイモンを奪い、結婚する。新婚旅行に向かうリネットとサイモンを付け回すジャクリーン。そして、悲劇はナイル川のクルーズ客船の中で起こる。
私の中のポアロシリーズナンバー1。何度も読み返しているが、面白さがあせることはない。
本書の魅力の第一は、サイモンをめぐるリネットとジャクリーンの愛憎劇である。
本書はかなりの長編ながら、物語の半分近くまで殺人事件は起こらない。情熱的なジャクリーンによる執拗なストーキングと、それにおびえるリネットの様子がさまざまなエピソードにより延々と語られる。
これまで何でも自分の思い通りに進めてきたリネットは、自分には本当の味方はいないのではないか、と初めて不安になっていく。彼女は傲慢ではあるが、現実的な判断力を持つ有能な女性である。ただの嫌な人間として描いていないからこそ、その後に起こる事件が余計に悲劇性を帯びてくる。
魅力の第二は、悩める若者に寄り添う「パパ・ポアロ」の存在である。探偵として事件解決のために活躍するのはもちろんだが、この物語では、初期のポアロのようなアクの強さがなく、若者をさりげなく助けようとする人生の先輩としてのポアロの姿が見られる。
魅力の第三は、何か秘密を抱えていそうなクルーズ船の乗客たちである。
登場人物の多いクリスティの作品の中には、たまに捨てキャラもいるが、この物語はキャラクターの造形がしっかりしており、それぞれのエピソードも非常に面白い。
魅力の第四は、前半の物語に織り込まれた伏線回収の見事さである。
一見事件とは関係のなさそうなエピソードや会話が、後になって急に重要な意味を持つものだったことが分かった時の驚きがたまらない。
魅力の第五は、ナイル川クルーズというゴージャスな設定である。エキゾチックで謎めいた舞台設定が、物語の怪しくもの悲しい雰囲気の演出に役立っている。
魅力の第六は、ラストの余韻である。クリスティの作品は、犯人が分かったら、はい、終わり、とばかりに淡々と締めくくられる作品も多いが、この物語は、読み終わった後も登場人物それぞれに思いをはせてしまう余韻がある。
クリスティの魅力がすべて詰め込まれた作品。少々長いが、一気に読み終えること間違いなしである。 -
某奇妙な冒険がきっかけでエジプトに興味を持ち、手に取った一冊。かなりページが進むまで事件は起こらないのですが、その分エジプト旅行を堪能した気分になれました。
しかしその間にも微妙な人間関係や緊張感が描かれており、きっと二度目に読んだ時には「すでにこんなに細かい描写が」と驚くことと思います。
一癖も二癖もある人物ばかりの中、私のお気に入りはアラートン夫人とコーネリア。今作の数少ない良心的存在でした。
やや割り切れない結末ではありますが、お見事、と言わざるを得ない潔さでしたね。
ちなみに原作を読了後にピーター・ユスティノフの映画版も視聴。
尺の都合上、人物や展開に多少の変更はありましたが、想像が難しいナイル河下りを映像で補ってくれる、なかなかの良作でありました。 -
クリスティの作品中もっとも長い物語、一気読み。ミステリーは加速するスピードでもって読破するにかぎる。真犯人は映像で知っているものの、やはり文章の方が登場人物は生きる!踊る!あらゆる先入観への警告。エキゾチックな背景と普遍的な悲劇。作家も名探偵も、人間観察は得意でないと務まらぬ。
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#読書記録 2024.1
#ナイルに死す
#アガサ・クリスティ
複雑に絡まった犯罪の糸を解いて、最後に残った糸がたどる先は、あまりに哀しくて切ない。
謎解きのトリックで見せるミステリではない。
登場する人物やその心情がリアルだから、読み手の心に訴えかけてくる。ラストでの犯人の心情に共感して胸が詰まり、本作が長く愛される訳を理解できた気がした。
どんでん返しにばかり力を入れて、人物描写が薄っぺらな最近のミステリでは、到底及ばない魅力。犯罪を描かず人を描いているからこそ、謎解きに納得感があるんだ。
#読書好きな人と繋がりたい
#読了
#ミステリ
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なかなか事件が起こらないのに不思議と退屈せず読み進められた。事件が起きてからはあっという間に最後まで読み切ってしまった。面白かった。