- Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151799525
作品紹介・あらすじ
村にやってきた美しい美術教師。悲劇はここから始まった。老弁護士の回想で語られる事件の真相とは? 傑作ミステリがついに復刊
感想・レビュー・書評
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ある田舎町の学校に女性教師が赴任し、そこから起きた事件
田舎町の平穏だけど退屈な空気感
そこに現れた異質な存在に惹かれる少年(過去)と、それによって人生が変わり果てた老人(現在)が事件について語っていく。
真相がわからないまま進むが
引っ張り込むようなエンタメの要素は無い代わりに各場面静かで鮮明な描写と比喩に浸り、物語に引き込まれた。
意図してるものかはわからないけど、現在と過去を交互に読むうち老人と少年が混ざり切り替わりの境目が無くなる瞬間を何度か感じ、混乱するではなくて「語っている現在の主人公自身が過去と行き来している」ように読めた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
トマス・H・クックは初めて読んだ。
すごく好みで驚き。クラシックな雰囲気、静かな筆致で、過去の事件が少しずつ浮かび上がる。
その少しずつの書き方が、すごく上手い。最初は地味かなと思って読んでいたけれど、ぐんぐん引き込まれました。登場人物も多くないけれど、一人一人の置かれた立場からの思惑が練り込まれている。
堪能しました! -
ミステリーと一言で表現出来ない。細やかな情景、語り部の心情、結末は最初から分かっているようで、しかし深層は分からない・・・とても残酷な美しい、人間を描いた物語だった。初クック作品だったが、善き作家との出逢いに感謝。
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初版は1998年。ミステリーですが、恋愛を主軸にしています。心理描写や比喩表現が非常に美しい。主人公の過去の回想と現代を行き来しながら物語は進みます。エンタメ要素は皆無。文学的な作品となっています。ただ読む人によっては、それが難解に思えたりすることもあるかもです。読後、余韻に浸りたい方にオススメです。
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以前にクックの「夜の記憶」を読んだことがあり、この作品はまあかなり、いわゆる「イヤミス」で読んだ後になんとも言えない気持ちになって、登場人物の名前を全く別のシチュエーションで聞いてもその気持ちが蘇るトラウマミステリーでした。
なので、なんとなくしばらく遠ざかっていたクックなのでした。
こちらの作品も形は違えど、遠い日に起こった出来事を深い悔恨をもって回想する、そして出来事の真相が明らかになる、という点では同様の展開。
他にも「記憶シリーズ」があるらしくて多くがこのようなパターンで展開されるお話との事、普通ならばワンパターンと感じてしまうところなのですが、これがクックの筆力にかかると仮にワンパと思っていたとしても深く引き込まれてしまうのです。
ミステリーといってもかなり文学フレーバー強し。
エンタメを求める方にはフィットしないでしょう。
巻末の翻訳家の解説によると本国アメリカの書評家の間ではクックは「雪崩を精緻なスローモーションで再現するような」と表現されているらしいのですが、ほんと、これ、上手い事言うな〜と感心しました。
まさにその通りで、事件の起きた背景や小さな誤解や保身の嘘や優しい嘘などをとても繊細に描いて秀逸。
人物描写、その感情の描き方もとてもセンシティブです。
この作品は「アメリカ作家クラブ賞最優秀長編賞」を受賞していたり、邦訳された1996年の「文春ミステリーベスト10」の海外部門1位、「このミス」海外編2位など、クックの実力を日本国内にも知らしめた1冊なんですよね。
クックを初めて読む方はこの作品をぜひお勧めしたいです。 -
静かな文章だからこそ、ぞっとする内容だった。
文学小説慣れしてない人には、ちょっと読むのが苦痛かもしれないと思った。 -
9月2日 日本経済新聞 書評
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