真夜中の子どもたち 上 (ハヤカワ・ノヴェルズ)

  • 早川書房
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本棚登録 : 239
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152076502

作品紹介・あらすじ

これはいまだかつて語られたことのない、想像力に富んだとてつもない物語。英国ブッカー賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • インド・・・学校で習ったこと
    人口の多い国、東インド会社、永いイギリスの統治、ガンジー、独立、ネール首相、水爆実験
    ・・・人人人の印象、ガンジス河の水浴、ブッダ発祥の地、輪廻転生・・・

    一般人が世界旅行に気軽に行けるようになったころ(1980年代から)
    「インドっていいよ、すごいよ、いく甲斐がある」とはまっていた友人がいた、けど・・・

    この本はそんな中途半端な関心を吹き飛ばしてくれるのだ
    まず、大げさに言えば地政学と宗教学に目を開かれる

    インドの上端部カシュミュール地方から物語は始まる
    物語の語り手サリーム・シナイの祖父が礼拝マットを敷いて祈りをささげる
    えっ、仏教ではないんだ!!
    というとモノを知らないようだが、仏教じゃなくてもヒンドゥー教かもと
    イスラム圏でもあるんだよ!!
    だが、祖父アーダムス・アジズは西欧の教育を受けての医者
    う~む、かたちだけの祈りかもしれないと
    ああ、のちのラシュデイ『悪魔の詩』が・・・

    しかし、しかし、そんなことはぶっ飛んでしまう
    めまいのするような展開、確かに面白い、エキサイティング
    マジックリアリズムとやらの妙味、エンターテインメントのお手本

    でも読むのが大変である!
    怒濤の流れ込みで、上巻を終わった

  • こいつはとんでもない本だ。イギリス在住インド出身の作家、サルマン・ラシュディの自伝風小説は20世紀におけるインド・パキスタン独立の歴史と交差しながら、そこに過去の数々の文学からのパスティーシュとマジックリアリズム的要素を闇鍋にぶち込んで秘密のスパイスを大量にまぶしたかの様な、凄まじく濃厚な一代絵巻を織りなしている。インド独立の日に生まれたことで超能力を持った主人公、サリームの語りは現在と過去を交差しながら、家族/民族/政治/宗教/男女の問題を現前させながらも物語にぐいぐい引き込まれてしまう。ぶっ飛ぶよ。

  • 長い小説だった…。サルマン・ラシュディと言えば『悪魔の詩』騒動が有名だが、この処世作も著名。『百年の孤独』と並び称されることも多いけれど、より「マジック」的な要素が強く、単純に比較はできない印象。冗長に盛り込まれた予言と懐古が所々記憶を呼び覚ましてくれるため、ストーリーは追い易い。いつかは読みたいと思っていた小説なので、読めて良かったが、しかし長かった…。

  • 「マジックリアリズムの代表作」ってカバーのそでに書いてあるんだけど、そんなに魔術的じゃない。どっちかっていうと、なにもかもが過剰なところがアーヴィングみたい。「おもしろ哀しい」ところとかも。

    サリームくんを見ていると子供時代の寄る辺なさを思い出す。「真夜中の子供たち」のひとりとして自分を特別視せざるを得ないという事情を勘定に入れても、長子独特の強迫観念がよく伝わってきて共感してしまう。親の期待には、沿えるものなら沿いたいんだよ。でもきりがないし、そっち方面に頑張っても自分の中がスカスカになっちゃうし、というようなことを思った。後半はだいぶサイキックバカ男子ストーリーになってきたけど。このあとどうなるのか。

    同じ三世代年代記構成であるアジェンデの『精霊たちの家』を読んだばかりなので、たとえば“あとでこうなる”のネタばらしのセンスがいまいちだなとか(アジェンデほどピリッとしてない)、キャラも挿話もなんか弾力感がなくてぼそぼそしてるなとか(ブラス・モンキーだけは可愛い)、気になるところは気になるんだけれど、まあ下巻に期待。

  • たまたま古本屋で、表紙が気に入って購入した。
    途中でちょっと飽きてしまった。

  • まじで読み始めたことを結構後悔し始めているが、なんとか上巻を読み終えた。
    これ全部読んだ人は結構尊敬しちゃうなあ(あ、我輩も頑張って全部読み終えます)
    時間のある人にしかオススメ出来ない

    「百年の孤独」以来の混沌感と膨張文体
    下巻はどうなるやら…なんなら上巻すっ飛ばして下巻から読みたいくらいである

  • 一体どう育ったらこんな文が書けるのか、饒舌、諧謔、ユーモア、皮肉を歴史的思考の中にまで完璧に落としめる、奇才としか言いようのない、圧倒されっぱなしの読書だった。
    印パ戦争の最中に生まれたムスリムの主人公が祖父の時代からの自分の家の系図を物語って行くのだが、その語り口ときたら、糞、糞尿、香辛料、体臭、体から出るもの全てまで描いてくるのだから余りに濃密な文にくらくら酔ってきます。さらに魔術まででてきて、でもそれがリアルである必要はないのが小説だろ、という効果をあまりにも知りすぎている書き方。現実などどうでもいいのだ、主人公が捉える主観こそが事実、という、その饒舌にどっぷり浸る物語です。百年の孤独よりどぎつい。行間から漂う空気が濃すぎる。
    本が読めることに感謝する。あと訳者さんもばけもの。すごすぎ。ありがとうございます。

  • 古本屋へ

  • 過去を語るという設定上、私たちはまだ知らない出来事が不吉に暗示される。音楽のような不思議なリズムのある文で、それに慣れるとどんどん癖になっていくようだ。インドの歴史にもうちょっと詳しかったなら、マジックリアリズムの手法をもっと楽しめた気がする。

  • is it Magischer Realismus? but i believe that who's comment. i mean, the magic across the realism appear the second half. i'm going to read it. meanwhile, i know about from the chief character of the boyhood to his grand-pa  (magic and realism 魔術的現実主義)

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