からだの一日: あなたの24時間を医学・科学で輪切りにする

  • 早川書房
3.57
  • (9)
  • (16)
  • (21)
  • (5)
  • (0)
本棚登録 : 210
感想 : 25
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (398ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152090805

作品紹介・あらすじ

腸は脳に無断で指令を出し、力を込めることを考えただけで筋力は増える。爆発的に増えつつある人体に関する知見を、最新の医学・科学を通じて紹介する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 私達の体には、脳内はもちろん、人体の隅々まで無数の体内時計が組み込まれていて、
    その理由は、私達は自転する惑星上で進化したからだそうだ。

    遡ること数十億年、生物は全て単細胞で生暖かい原始の海に浮かんでいた。
    真昼のまばゆい太陽と夜の冷たい闇が、毎日毎日数兆日に渡って繰り返され、
    やがて生命が誕生。そして時は流れ、遂に体内リズムを太陽日と同調できるようになった。

    この体内時計に従って、私達の体内で24時間どんな事が起こっているのかを
    科学的見地から詳しく解説してくれている。
    科学の発達によって解明された事は、偉大な自然と生命の繋がりだということが興味深い。
    体内時計に逆らった生活をしていると、そりゃあ病気にもなるでしょう。

  • 「風邪の科学」の著者。知りたいことの視点が面白い。文章は平板。原題が「SEX SLEEP EAT DRINK DREAM」なので、身体反応の仕組みを集めた本。面白い知見が多いので、5年に一度位リニューアルしてくれるといいのにな。

    ・癌治療薬の多くは急速に分裂する細胞をターゲットにしている。正常細胞が24時間ごとであるのに対し、癌細胞は6~12時間で増える。骨髄や毛穴、消化管内壁なども高速で分裂するのでターゲットとされ、貧血、脱毛、胃腸の不調を副作用として起こす。消化管内部細胞は午前7時前後、脊髄の細胞は正午頃に分裂するが、ある種のリンパ腫は午後9~10時に活発に分裂する。つまり、夜間に化学療法を行えば、副作用を抑えられる。

    ・「日中に寝なきゃ勤まらなかったさ。自分が背負った責任を果たすにはそれしかなかった。一日が二日になるんだ。まあ、少なくとも一日半になるのは請け負うよ。」ウィンストン・チャーチル
    仮眠の効果は夜間労働、長時間労働にも高い効果がある。太平洋を渡って長距離飛行を行うパイロットは反応時間が長くなり、3~10秒のマイクロ睡眠と言われる短い眠りにしばしば落ちる。一部のパイロットは太平洋横断飛行の途中で40分仮眠するよう指示され、平均26分眠った。仮眠しないと飛行最後の一時間半で延べ120回マイクロ睡眠し、着陸準備で降下中の最後の30分には22回マイクロ睡眠した(120回に含む)。一方仮眠すると、同じ一時間半で34回だけで、最後の下降中の30分にはマイクロ睡眠がなかった。

    ・余分に1000キロカロリーを取ると平均して、1/3は脂肪に1/3は基礎代謝に1/3は非運動性活動熱発生(姿勢を変える、立つ、貧乏ゆすりなど)に消費された。

    ・「男は目で恋をし、女は耳で恋をする。(ウッドロー・ワイアット)」

  • 人間の体は、概日リズムに支配されている。それを崩さないように生活するのは、現代社会ではなかなか難しいが、せめて、早寝早起きと規則的な生活に努めようと思った。2011年9月11日付け読売新聞書評欄「空想書店」。

  • からだの一日

     おもにサーガディアンリズムをもとにした、いちにちの身体の活動を解説したもの。
     概日リズムはもちろんのこと、腸内細菌の話もおもしろかった。

    ・われわれの睡眠は1.5時間ごとのリズムと、覚醒系と呼ばれる回路によって司られている。眠りに落ちるのは、後者の活性が落ちるから。

    ・腸内細菌は個人で違いがある。太りやすい菌ばかりいる人たちは、同じカロリーを摂取しても太る。ダイエットに成功した人はやせた人たちの腸内細菌に近くなる。

    ・薬物摂取のタイミングは薬効に関係する。抗ガン剤では副作用が軽く勝つ、効果がよくでるタイミングがある。(時間治療・クロノセラピー)

    ・交代勤務は体に悪い。高コレステロール値、気分障害、不妊、心臓発作やガンの高い罹患率につながる。

  • 図書館本。 体に関することを、一般的な一日を追いながら解説していく本です。それほど深くは書かれていないので、体についての入門書といった感じ。けれど入門書にしては専門用語が多いので、まったくの初心者向けでもない。執筆の資料として読んだけれど、思っていたより大まかな一日だったので残念。ところどころ海外らしい一日があるので、日本人の一日では少し違ってくるのかと思います。けれど為になる内容も多いので、体について知識を広げたい人にはお勧めです。

  • 面白い

  • 一日の時間に沿って近年の身体に関する論文をわかりやすく紹介し、興味深い発見の数々を紐解いてくれる名著。そのリファレンスの多さに驚く。作者が元来は文系の人間なのに驚いた。

  • ヒトの24時間を、医学・科学で見ていく一冊。概日リズムにより、食べても太りにくい時間や、薬の効果のある時間、運動効果のある時間などが解かれています。
    睡眠の大切さもしかり。
    本来の体のリズムに反し、人工灯の下で生活していく便利な不自然さ。いくら自然とは言えもう戻れない生活は、今後どんな影響を及ぼしていくのか。
    いろいろ興味深い一冊でした。
    専門的な内容なのに、訳が良くて分かりやすいのも、楽しめた要因です。

  • 三葛館医学 491.3||AC

    病気になったり、調子が悪くなったりしない限り、あまり自分のからだのことを意識することは少ないかもしれませんが、365日24時間、からだの中では様々なことが起こっています。本書では人間の1日を追いかけながら、その時からだでは何が起こっているのかを解明します。朝の目覚め、食事、歩くこと、午後の眠気にあくび、ストレス、相手の顔の認識や、惹かれあうメカニズム、などなど・・・何も意識していなくても、眠っている間も常に反応は起こっています。前書きにもありますが、読んだあと、体中を意識しすぎて何もできなくなることのないようにご注意ください。
                                  (うめ)

    和医大図書館ではココ → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=56146

全25件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

サイエンスライター。1980年、イェール大学卒業。生理学、生態学、進化生物学、環境科学など幅広い分野の記事を『ナショナル ジオグラフィック』などの著名誌に寄稿している。邦訳書には『かぜの科学』『からだの一日』(いずれも鍛原多惠子訳、早川書房)がある。

「2018年 『鳥! 驚異の知能 道具をつくり、心を読み、確率を理解する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ジェニファー・アッカーマンの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×