- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152095244
作品紹介・あらすじ
金や時間など何かが足りないと思った瞬間、あなたの認知能力は落ちている。欠乏が欠乏を生むメカニズムを精査し、従来の行動経済学の常識さえ塗り替える、天才研究者のコンビによる待望の解説書
感想・レビュー・書評
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「貧すれば鈍する」と言われる。常におカネや時間などの不足分に気を取られて(どんな手を使ってでも埋め合わせよう!)IQが下がってしまっているという。「まな板の法則」のように不足分に関する雑念がCPUを専有して、切るべき具材を置くスペースが狭くなるのだ。つまりピンチ度合いが増すほどに酔っ払っているくらい思考力が低下してしまうということ。本書はそんな「欠乏の行動経済学」について解説されている。
(行動)経済学からの説明は本書に譲るが、自己啓発系の本家「7つの習慣」の第一の習慣「主体性を発揮する」ためのマインドセットとしても本書は重要である。つまり「0の習慣」ともいうべきなのが「心身ともに余裕のある状態を作ること」である。本書のアドバイスに従えば、「第三の習慣」で最重要視される「緊急ではないが重要なタスク」を継続できるようになる。
行動経済学の権威であるダニエル・カーネマンが「ファスト&スロー( https://x.gd/18Q0p )」で説いた認知バイアスの「システム1」に囚われないようにするためにもまずは「余裕のある状態」に自分を置くことである。
そのためにはおカネも時間もギチギチに使い道(予定)を詰め込むのではなく3~4割程度の余裕(バッファー)を設けておきたいところだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【感想】
いつも時間がない、時間がないと思いがちだったけれども、
時間がないと言う欠乏性に陥っていることに気づかされた。
特に、身体の疲れにより休息が必要と同じように、精神的にも消耗したときに回復を必要とするというのは心に残った。
育児はまさにこれ。
あと、今まで貧困は金銭面しか考えていなかったけれども、
心理的状況や処理能力まで目を配ると言う事はなかった。これも新発見。
【心に残ったところ】
・ひとつのことに集中するということは、ほかのことをほったらかしにするということ。
・欠乏とは、自分の持っているものが必要と感じるものより少ないこと
・欠乏は人の心を占拠する
・欠乏状態とは、失敗できる余裕がないことだけではく、失敗する場面が多い。
・だから、スラックがあることは、豊かさを感じられ、心のぜいたくにも感じる。
(大きなスーツケースに物を詰める時、トレードオフになっていることにすら気付いていない)
・トンネリングは、トンネルの内側のものが鮮明に見えるが、トンネルに入らない周辺のものは何も見えなくなる視野狭窄の状態。
・トンネリング(差し迫った欠乏時に起こす。
例:借金を重ねることなど)を起こし、ほったらかしにし
・ジャグリング(緊急の課題を曲芸並みに次々とやりくりすること)によって欠乏の罠に陥る
・スラックをもとう(ショックをやわらげるくらい)
・本人の意思の問題ではなく、欠乏マインドセットを知り欠乏の罠を避ける方法、やわらげる方法を
・ダイエット、孤独感、借金なども欠乏マインドセット
・処理能力に負荷がかけられると、衝動抑えるのは難しくなる。
(控えたいケーキを食べることや、言うつもりのない言葉を口走るなど)
・自分が孤独になると思い込んだ人は2倍近くたくさん食べている。
他には脂っこい食べ物の摂取量がかなり多い。
★貧困は物質的は状況に重点が置かれがちだが、心理的状況、処理能力にも目を向ける必要がある
(よく眠れていない?頭をきちんと働かせるのが難しい?気が散りやすい、動揺しやすい?そんなことが毎日起こる?)
・圧倒的に1番多かった答えは時間。(中略)
もっと自由な時間が欲しいのだ。
人は身体的に疲れきって休息を必要するのと同じように、精神的にも消耗するので回復する必要がある。
ところが欠乏が長引くと処理能力の負荷は蓄積されがち。
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「時間がない」「お金がない」などの欠乏(◯◯が足りない)とその影響を解説した本。貧困の解説が多い。欠乏によって頭の中がいつもその事にとらわれ処理能力が低下し、肝心の欠乏を引き起こしている原因を解決するのが難しくなる負のループに入ることが解説されている。時間がない場合は最悪すべてのスケジュールをドタキャンして断ってしまうこともできるが、貧困でお金がない場合は何も手放すことができない。そのため貧困の欠乏の負のループは脱出が難しいという。
欠乏とそれによる処理能力の低下は新しい視点でとても参考になった。豊かな内に欠乏状態にならないように対処することと、処理能力は筋肉のように疲れると落ちるものであるという点はこれからの生活ですぐに役立てられるところ。 -
初級者向き
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橘玲の推薦本。
読んで改めて、余裕(ゆとり)が大事だと思った。
常に忙しく、コップの水がいっぱいの場合は新しい水を入れることが出来ず、入っている水を捨ててから入れるしかない。
切羽詰まった状況だと目先のことしか見えず、大切なことを見落としてしまう可能性がある。
心に余裕をもつ生活が大切だと思った -
何事も常にマージン(余裕スペース)が必要
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経済学者と心理学者が共著した行動経済学の本。
欠乏は心を占拠し、その対象のことをいつも頭のどこかで考えることになる。心の中の一部が占拠されることで処理能力が落ちる。処理能力が落ちるとへまをする。これは著者によるとバックグラウンドで開いているプログラムのせいで処理速度が落ちたパソコンと同じ状態らしい。
そして欠乏は新たな欠乏を生み出し、深みにはまっていく。
その負の連鎖を裁ち切るには「想定外」に対応する時間やお金をあらかじめ「計画内」にいれておくといいらしい。本の中ではこれはスラックという言葉で表現される。
負の連鎖を人間の意志の力で断ち切るのは難しいので、外的な仕組みを作ることが大切なのだそうだ。 -
2022/04/24 読了
#読書記録
#rv読書記録
時間に追われる人、あるいはそれに限らずなにかに追われ苦しんでいる人には、例えば金銭や時間といった問題だけでなく、処理能力においても問題が発生しているという事実を、明確なデータとともにしめしている。
仕事でもあったなと感じる場面も想像でき、逆に言えばあらゆる人に読んで欲しいと思える。再読価値あり…かな。
読んでる最中、途中適当に読んで理解がかなり薄い所がある。まさに"欠乏"状態に陥っていた。理由の一つが図書館への返却期限。まさに"欠乏"による処理能力の低下が起こった一例か…
おそらく今後も同じことに直面するんだろうなぁ。。。人間は愚かだ。 -
欠乏マインドセットの指摘。
期限やストレスのメリットに対して、欠乏となる不足感によるマインドワンダリング(別の集中)やマルチタスクのようなジャグリングによる欠乏を紹介。
特に貧困は貧困ループに陥りやすいマインドセットになることがよくわかる。
豊かさとは何か?となったときに、人間の自信過剰に気を払って
計画やリマインダを効果的に扱い、真の豊かさを手に入れる設計が必要だ感じた。
ループは習慣なので、今やっている習慣が悪循環になってないかは定期的に確保する客観視の時間は必要だろう。
仕事でもプライベートでも余白となるスラックを用意しておきたい。