SFまで10000光年

著者 :
  • 早川書房
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152095527

作品紹介・あらすじ

昨年十二月に逝去した水玉氏が、SFマガジンに十年にわたって連載したエッセイコミックがついに単行本化。九〇年代サブカルチャーの奔流のなか著者が到達した〝SFファンという生き方〟とは?

感想・レビュー・書評

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  • ■五つのメモ
    ・いかにもこの著者らしいレイアウトのイラスト&エッセイ。亡くなった後に出版されたようです。絵柄はもとより好きです。続巻の『10万年』もあるようなのでぜひ読みたい。コレ、図書館で借りたんやけど誰も読んでないくらいキレイなんで「誰も読まへんのやったらボ、ボクにくださいっ!!」とか思いました・・・

    ・著者はディープなのでついていけないところはありますけど、けっして他者に押しつけたりしません。ただ楽しんではることへの共感は強く生じ、うらやましくなり、SF者的な部分のない人でも自分の中にいくばくかのヲタク魂が眠っていたことに気づいてしまうかもしれないおそろしい一冊です。

    ・SFとはどんなものであるか、SF者であるということとはどういうことか、ひいては「ソレ」を「好き」であるというのはどういうことかという考察の繰り返しでもあります。

    ・かろうじてSF案内としても参考にできます・・・・・・?

    ・単品で読んだときは薄味やと思ってましたがまとめて読むとキョーレツでした。しっかり読むと時間はかかりますが、しっかり読むほどに楽しめます。

    ■適当なメモ
    【愛】道を誤っていることに《なぜ本人は気がつかないかってゆーと、それはホラ〝愛〟のせいなんだわよホホホ》p.56
    【青背の本】ハヤカワSF文庫のことでしょう。著者は全部読んでるって? そしてそれを「あたりまえか」というところがおそろしい・・・
    【あのアレ】いつかほんとうにやってみたい、あのアレ。
    【アヒル】著者の脳内に浮いているらしい。
    【アンドロイド】どうやら著者はアンドロイドに萌えるようだ。
    【いきなり】《いきなり本題に入っちゃう、ってのがヲタクの特性なんぢゃないかと最近思うっす。オレの芸風ってのがソレだしなそもそも(笑)。人生いろいろね。》p.38
    【いさましいちびのイラストレーター】著者の自己紹介文。当然けなげな『いさましいちびのトースター』からなのでしょう。
    【ウルティマオンライン】「Wizardry」か「Ultima」かということで、スタンドアローンのウルティマはやってましたがオンラインはやってません。まあ、ゲームでまでコミニュケーション必要ないなあというのが理由のひとつでしたが、本当は通信代が怖かったからでした。当時定額制がまだなかったと記憶してます。
    【異色作家短篇集】ぼくもかなり集めました。
    【宇宙の果てがお花畑】p.217。そういやTV版の「キャプテン・ウルトラ」がそんな感じで終わったような?
    【エヴァ】カヲルくんの出演頻度がいちばん高くて次がレイでしょうか。シンジくんもまあまあ。アスカはあまりヲタ心をくすぐらなかったようで。もっとも眼帯美少女になったアスカならもっと登場したかも?
    【SF】《〝呪い〟とかに近いかんじかも(ヲイ)》p.80
    【SF者】SFファン、その中でもヲタク的な人のことかと。ストーリーよりもSF成分が大事? この言葉にはマイナスイメージがある場合もあるそうです。
    【大槻ケンヂ】出番の多いキャラクタです。
    【大森望】出番の多いキャラです。
    【街頭テルミン】あったら楽しそう。
    【カウボーイビバップ】スパイクも著者のお気に入りのようです。僕的にはアニメのトップテンに入るやろうと思います。
    【ガオガイガー】勇者王やっけ? 勇者シリーズのラストやったと思います。エクスカイザーとファイバードは気づかずに観損ねてるので観たいです。水玉さんの獅子王凱期はかなり長期に及んだようです。
    【覚悟のススメ】すんごいマンガでした。濃すぎてついていきにくかった。水玉さんによると過剰で飽和したうえにさらにつけ加えたら結晶ができたといった作品だったとか。
    【カブトン】つのだじろう作。頭蓋内がパチンコっぽくなっていて喜怒哀楽の受け皿があって球がそこに入るとその気分になる。水玉さんはときおりそういう脳になるそうです。ところでぼくはあれは「ピュンピュン丸」に出てきた設定やと思い込んでました。
    【キャラクタ】うーん、なんにせよキャラは重要やと思います。キャラが世界のイメージを作るんやから。キャラクタ小説とか言われるものでなくてもキャラが存在する表現であるかぎりは。『吾輩は猫である』とか太宰治とかかなりキョーレツやと思うけど・・・。《そもそもオレの場合「さしえ」の仕事のほとんどは――〝キャラ〟を描く仕事だと思ってるもんで・・・・・・》p.141。水玉螢之丞さんの絵は強いので作品に影響を与えすぎるきらいはあるけど。神麻嗣子シリーズなんて水玉さんの絵でなかったらまったくイメージ違った作品に感じてたやろうし。水玉さん挿絵で雪風とか読みたかったような気もするし。
    【禁止語】「ね」と「みんな」。なかなか厳しい・・・
    【銀背の本】ハヤカワSFシリーズかなにかのことだったかと。金背もあり。有馬温泉みたい。
    【ケッテンクラート症候群】その国の人は瞬間的に反応する動体視力を持つ。個人的には「ああ、『少女終末旅行』のアレ」と思う程度ですがたしかに模型を作りたいとは思います。
    【ケミカルX】それ的なものが入っているとSFになるという何か。
    【こんなもんいかがっすかぁ】当時買おうと思ってましたがほとんど出会えず買わないままになってます。古書でもええんやけど、完全版が復刊ドットコムで出てるみたいなんで、どっちか欲しいなあとは思ってます・・・・・・とか思っている間に注文してしまいました、古い版上下を。
    【自己完結】《今月も自己完結ぐるぐる状態なのでした。》p.41
    【事実ギャグ】《現在の自分を簡潔に説明できちゃう〝事実ギャグ〟的材料って、もしかしたら誰もが持ってるものなんじゃないでしょーか。》p.87
    【12年もののSFギャグ】ホントにやる人がいたら楽しそう。
    【神聖モテモテ王国】あれはSF? うーん、よくよく考えるとSFでいいかも。最近、読み返してたとこなんやけど。
    【人生台無し】《この、「人生台無し」って、オレにとってはすこぶる重要なキーワードなんですよ。》《自分の人生を台無しにできる機会をもてあそぶことのかっこよさ(って今気がついたけとソレってつまり〝ハードボイルド〟の主成分ぢゃん)なんですよ。》p.166。なるほどなあ。よくよく考えてみるとおもしろい作品ってのは人生台無しにしそうな連中が必ずいるような気もします。たとえばシャア・アズナブルとか、カテジナさんとか、カミナとか、今やってるアニメ「SYNDUALITY Noir」がいまいちノレないのは主人公のカナタが人生台無しにしそうにない安全性を感じさせるところなのかも?
    【SPA!】信用できない雑誌?
    【星雲賞】えー? 水玉さんは受賞してしかるべきでしょうとぼくなんかは思いますが。
    【ゼクス・マーキス】著者のゼクス期は相当長かった。カヲル期に移行するまで。
    【∀ガンダム】スパロボ者が観たらアレが「ガンダム・ブゥゥメラン!」とか叫ばれて飛ぶ。
    【チビ太のおでん】p.152。3の部分についてはぼくはナルトやと思ってました。
    【電波ハリガミ】電柱なんかによく貼ってあったハリガミ。SFっぽさをかもしだしているものも多く著者は愛好していたそうです。最近は減ってる気がします。
    【特撮の国】著者があまり渡る気がなかった国。たしかに意外。
    【ドモン・カッシュ】意外に水玉螢之丞さんに似ている? ドモン・カッシュ期はけっこう長かったようです。
    【ドラキュラ紀元&戦記】読んでみたくなりました。スパロボのノリなんだとか?
    【ドリキャス】先日、押し入れに潜んでいたドリキャスサクラ大戦バージョンを売りました。
    【トレーディングカード】《ハヤカワの出版物のカバー・イラストのトレーディングカード・・・ってのはどーかな》p.97。あーなんか欲しくなりそう。
    【夏への扉】お中元に最適。
    【入門書】《なんだかさー、SFの国っていま、流派はいっぱいあるけど入門書は一冊もないっていうかんじだもんねえ。》p.117。あー、ぼくもとりあえず『夏への扉』を紹介してたクチですねえ。
    【ネオ・アトラス】パソコンゲーム。自分の信じたものによって世界が変わっていくというのはやっぱりかなりSF的かも。
    【パワーパフ・ガールズ】著者はいっときかなりハマったようです。まあクセになるなにかはありますね。
    【番号】番号、型番などで呼ぶことの格好よさ。RX-78とか。
    【阪神タイガース】著者はファンなようです。
    【ビッグオー】アニメ「Theビッグオー」。人生台無し的なロジャーとドロシーの関係にクラクラしてはったらしい。ドロシー期もあったようです。
    【ファンシー・ミホ】キャラ萠えをボクメツしわが国を滅ぼそうとしている邪悪な魔女っ子。だが、萠えるキャラをしている。
    【風/ふう】京風らーめんとか、京風SFフェスティバルとか、日本風SF大賞とか、サイボーグ風009とか、あらいぐま風ラスカルとか、ブー風ウーとか、太陽風交点とか、山田風太郎とか・・・
    【プロ】《ヲタクがこうじて送り手側にイッちゃうのって二重に人生ふみ外してるのかも。とか思ったりもするんですあたし。(だから今さらどーしよーって気はナイ)》p.45
    【HP/ホームページ】喜ぶ知人(有名人)に、お金の入らない仕事が増えただけなのではと思う水玉さんなのであった。
    【ポケモン】あれは核戦争後の地球が舞台でポケモンは突然変異生命体なのか? という説があるらしい。個人的にはポケモンは精神生命体か、純粋なエネルギーが形と精神を持ったものやと思ってます。でないとモンスターボールに入ったり、ただの生物やったら死にまくるやろうと思われるバトルできたり、あんなに簡単に治療できたりせんやろうと。
    【星新一】元はといえば『ボッコちゃん』なんだとか。う〜ん、けっこう近いところにいたのかも。《星作品を夢中になって読んだ記憶そのものが、なによりのシアワセじゃないかと思います。》p.121
    【マジカルランドシリーズ】ロバートアスプリン著。全巻持ってます。買った理由は表紙カバーと挿絵が水玉螢之丞さんやったから。見た目はファンタジーやけどなんとなくSFっぽさを感じるんやなあ。なんでやろ。水玉さんのスキーヴ期はかなり続きそう。スキーヴに声優さんをあてるなら今なら村瀬歩さんあたりかなあ。
    【ミジンコ】《ものすごくどうでもいいようなことをものすごくムダな集中力でどんどん考えちゃってるけどはたからは何考えてんのか全然わかんなくて、とりあえず〝何も考えていない状態よりは タチの悪い状態〟と判定&放置されちゃってる》p.165
    【見道楽】《見道楽ってのは ああ楽しかったすてきだった、っていう気持ちしか残んないからねえ》p.154。たしかにリアルタイム者だけの新鮮さってのはあるかも。「ウルトラマン」の衝撃、最初の「スター・ウォーズ」(エピソードⅣ)の衝撃はそのときでしか味わえなかったもんやろなあ。
    【ミュウツーの逆襲】SFらしいポケモンでした。ゲームボーイでも研究所のシーンあたりは「メタルマックスⅡ」のような雰囲気があってポケモン全体のイメージとは違ってたかも。
    【みんな】《「自分たちのやってることは自分たち以外の人からはわかられにくい」っていう事情から強く連帯している少人数の仲間たち》p.144。セーラームーンは連発し、北島マヤは「あたし」を同じ意味で使っている。一般社会では自分だけの価値観を押しつけられる範囲内というような意味ですね。そう、それは自己愛。
    【冥府魔道】《いいもん、自分で作るもん》p.61
    【メニエール病】著者の持病らしい。
    【ユナルゲン】謎のポーションっぽいですが実在するようです。
    【ロック・ホーム】手塚治虫さんの悪役スター。水玉さんはかなり好きなようです。『模倣犯』を水玉さんは手塚キャラ総出演で読んだようです。
    【ヲタク】ソレが好きでそれによって不幸な目にも合うけどそれでも好きというような人。「浸透と拡散」によってヲタクのすそ野が広がり不幸な目に合っていなくてヲタクを自称する人たちの増加にちょっとフクザツな思いがあるようです。もっともヲタクってのはどこにでもあって、大学の先生や評論家、思想家・哲学者なんかはみんなその分野のヲタクやし、スポーツ選手やアーティストもみんなけっこうヲタクやし、政治屋は政治ヲタクやし、趣味でやってることだってヲタクやし特別なことではないんやけどそん中にちょっとイタい思いをするジャンルがあるゆうことかなあ。あるいはその人のキャラが世間一般にはイタく見えることがあるとゆう。

  • これを見ると読まなくちゃならない本がどんどん増えるんですよ。なので、これ自体を読み終わる日は全然来ないんですよ。だよね?

  • オタクの女王にして、いさましいちびのイラストレーター水玉蛍之丞さんがSFマガジンに連載していた、イラストエッセイである。
    本屋でこの本を見つけたとき、これって単行本化されていたんだ、と手に取って愕然とした。
    蛍之丞さんは2014年12月に55歳の若さで亡くなっていた。
    私が一番好きだったPC誌EYE-CONでの連載で、その名を知っていたが、好みのベクトルが妙に合っていた。
    SF者であっただけでなく、PCがGATEWAY2000だったり、エヴァ好きだったり、猫好きだったり・・・
    この本は1993年~2003年までの分であり、その間PCやネットは驚異的な進化を遂げ、私的には独→結→子の時期を網羅するため、色々な意味で懐かしさいっぱいの本だ。
    続編10万光年はこの後の話である。

  • 読書メーターより移記

    この人の業績がもっともっと評価されるべきだと思う。まさに貴重な一冊。ご冥福を祈ります。後半の連載部分はほとんど読んでないので、ぜひ出して欲しい。

  • 面白かった!読み方を会得するまで読み進めるのに時間がかかったけど。何のことだかわからない言葉もあって、そこは置いてけぼりだった(笑

  • 当時のことはよくわからないんだけど、ワイルド・カードってそんなに流行ったシリーズだったっけ?(^^;
    水玉さん、そんな昔から病気持ちだったのねぇ。
    割と早い段階からの読者だったと思うんだけど、SFM は読んだことがないので気付かなかったなぁ。
    あまり作品が本にまとまっていないので、こういう本はたくさん出してほしいものです。
    好きな絵柄だったんだよなぁ。

  • × 在庫なし

  • 昨年末、惜しまれつつ逝去した水玉螢之丞氏が、SFマガジン一九九三年一月号から二〇〇二年十二月号まで十年にわたって連載したエッセイコミックを単行本化。

  • 2014年に急逝した水玉さん。水玉さんというと私の中では小野不由美さんとの共著を思い出す。
    / http://booklog.jp/item/1/4890529071 #booklog

    可愛らしいイラストに独特な書き文字、エッセイのSF成分の濃さたるや、にわかSFものなど鼻で笑われそうだ。水玉さんの救済措置(?)アニメキャラにゲームネタ、フィギュア造りなどにニマリとしつつ、時折描かれる体調不良なコメントがまさかを連想してしまう。

    奇しくもこの本を読みだした日に某賞受賞の知らせが届き、何とも言えない想いがした。

  • 水玉さんが亡くなって驚いたと同時に、この人を知ったきっかけってアンジェリークだったなぁとか懐かしいことを思い出した。

    イラストレーターだけれども文字が多くて多くてなんか得した気分になるページだった。
    内容も好きだったし、SFも当然だけれども、よく見たのはゲーム雑誌だったなあ。
    本当にありがとうございました。

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著者プロフィール

1959年、埼玉県生まれ。漫画家、イラストレーター。著書に『こんなもんいかがっすかぁ』『SFまで10000光年』『SFまで10万光年以上』『ワンフェスのワンダちゃん』。2014年12月逝去。

「2016年 『すごいぞ!おかあさん テレビのカレーの巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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