ILC/TOHOKU

  • 早川書房
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本棚登録 : 77
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152096739

作品紹介・あらすじ

東北復興のため、北上山地の地下への誘致をめざしている国際リニアコライダー(ILC)。この電子・陽電子衝突型加速器が建設された近未来を舞台に、小川、柴田、野尻の3人のSF作家が、岩手と日本、物理学の新たなビジョンを紡ぐ書き下ろしアンソロジー。

感想・レビュー・書評

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  • 7:北上山地が建設候補地として挙がっている、国際リニアコライダーが完成し、実際に稼働している未来を描いたSF作品集。どれも近未来のお話で、「ありそう」「ありえるかもしれない」と地続き感を抱かせる仕掛けが見事。
    かの有名なエレン・ベイカー先生を登場させた野尻作品はILCの導入としても面白く、遠野物語や民俗学にも踏み込んだ柴田作品はファンタジックでもあるけれど、量子論からすれば決して妄想というわけでもない。小川作品は「第六大陸」を思わせるモノ作りのプライドとそのルーツ、そして……という驚きを、いつもの軽やかな文体でさくさく読ませる力作。
    物理の知識が追いつかないところは読み飛ばしてるけど、舞台が日本であること、そして素粒子物理学の最先端で、未知に切り込もうとしていることなど、興味深く読めました。

  • 岩手が舞台の近未来SF短編集。世代が異なる3人の作家によるストーリーはどれも良くできている。野尻氏は3つのエピソードの中では最もありそうな展開。ILCの風景や雰囲気をビジュアライズさせる筆致。柴田氏の話はインナースペース系のSF。柴田氏の話はILC建設にたずさわる技術者の視点の話だが映画やアニメに一番向いているか。

    東急本店のジュンク堂で朝買って、屋上→代々木オリンピック青少年センターソファ→代々木公園→ヒカリエのベンチで夕方に読了。

  • 同じ題材でも作家ごとにここまで色が違うかとニヤニヤしてしまった。野尻氏は堅実かつ誠実にILCが切り拓くかもしれない近未来を描き、柴田氏は科学の発展によって大きく乱される人間の内面、哲学、生き方を描き、そして小川氏はここではない次元へと連れて行ってくれる。三者三様に楽しめて満足だったが、何分ボリュームが物足りないので、もう1人2人書かれていてもよかったかなという印象。

  • 尻Pと同じ時代に生きて、彼の作品を、その時代性を共有しながら読むことができるということはとても幸福だと思っている。

  • ILC/TOHOKU

  • 図書館で。
    東北、岩手に国際リニアコライダーを作るぞ!という誘致活動のひとつなのかしら?でも確かに面白そう。出来るんだったら一度ぐらい見学に行ってみたい。

    長編にしてみたらなんか色々ともっと掘り下げられそうだな、と思いました。衝突することによって発生する因子というか物質がどのように現状に影響するのかと考えるのも面白いかも。

    とは言えもう少しガッツリ読みたい感じだったかな、と思いました。

  • 早川書房『ILC/TOHOKU』読了。
    ILC建設が主題の近未来SFかと思いきや、想像以上にファンタジーしてた。
    素粒子物理学と東北の歴史や民俗を絡めて短編に纏めるって、結構難事だと思うけど共著の三氏とも自身の作風に合った展開になってて「もっと長尺で読みたいね」と思わせるお話でした。

  • 岩手県に計画中のILCが、もし完成したら、というSF。3人の作家が書いているが、野尻パートが特に気に入った。想像によって作られた話だが、15年後にはこうなっているのではと信じられる、楽観的な世の中が描かれている。もちろん、SFなので、空想・想像が入っているのだが突拍子のなさが良い。

  • リニアコライダーとか実現できるといいなー。
    光輝く日本にはなってないし、アトムもマルスは生まれなかったけど、研究は続いて欲しいし、科学者を志す人が消えませんように!

  • 岩手・北上山地は国際リニアコライダーの世界唯一の建設候補地。すぐには実現しない遠大な計画であるかもしれないけど、奥深いみちのくの地から宇宙の謎を解明できたら、それはどんなに素敵なことだろうか。未来にあるのは輝かしい宇宙への扉か?その計画に異を唱えるのは古来からの蝦夷の民か?そして未来で神隠しは解明されるのか?3人の作家による岩手を舞台にしたアンソロジーは、それぞれのセンス・オブ・ワンダーが展開されていて楽しい。灰色の現在をうつむいて生きるのなら、自分がいなくなるかもしれない未来に完成するだろうILCに、明るさと希望を託したいくらいである。

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著者プロフィール

’75年岐阜県生まれ。’96年、河出智紀名義『まずは一報ポプラパレスより』でデビュー。’04年『第六大陸』で、’14年『コロロギ岳から木星トロヤへ』で星雲賞日本長編部門、’06年「漂った男」で、’11年「アリスマ王の愛した魔物」で星雲賞日本短編部門、’20年『天冥の標』で日本SF大賞を受賞。最新作は『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ2』。

「2022年 『ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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