【2021年本屋大賞 翻訳小説部門 第1位】ザリガニの鳴くところ

  • 早川書房
4.24
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152099198

感想・レビュー・書評

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  • 読み終えて少し経つが、暗いけれど印象に残る小説
    人間って、弱いけれど強いんだな

    • しずくさん
      ハッピーアワーをキメたK村さん、おはようございます!
      今日の出勤時もきっと混んでいらっしゃるのではないでしょうか。
      たくさんのフォローを...
      ハッピーアワーをキメたK村さん、おはようございます!
      今日の出勤時もきっと混んでいらっしゃるのではないでしょうか。
      たくさんのフォローをありがとうございました。
      ”ザリガニの鳴くところ”は印象深く、原作もDVDもどちらも(私としては珍しい)観ています。良い作品でしたね!




      2024/02/06
    • ハッピーアワーをキメたK村さん
      しずくさん♡

      こんばんは〜
      こちらこそ沢山のいいね、
      ありがとうございます(๑・̑◡・̑๑)

      今朝も迷った挙げ句懲りずに早めに家を出てバ...
      しずくさん♡

      こんばんは〜
      こちらこそ沢山のいいね、
      ありがとうございます(๑・̑◡・̑๑)

      今朝も迷った挙げ句懲りずに早めに家を出てバスにしました
      しかし普段通りで大丈夫でした
      少しでも雪が降ると大騒ぎです

      しずくさんは長崎の方なんですね
      良い所ですよね〜
      私九州大好きなんです
      ハウステンボス、大村湾、中華街、軍艦島、出島、グラバー園…
      きっと地元の人しか行かない様な素敵な場所もあるんでしょうね!


      『ザリガニの鳴くところ』のDVDもあるんですね〜
      へえ〜、あの湿地が映像化されたんですね
      興味深いです♪

      これからもよろしくお願いします(o^^o)
      2024/02/06
  •  湿地で一人暮らすカイアの成長とその近くで起こった殺人事件の真相を究明していく話。物語の構成が上手く、丁寧な成長と真相究明が交互に語られ途中でダレないように工夫されていた。また、章ごとに年も書かれているため、殺人事件の年にだんだん近付いていくというワクワク感もあった。裁判の時には徹底的にカイアからの事件についての話を排していたのも推理要素があり面白かった。
     全体を通して自然と成長と愛の話だったと思う。読んでいる最中には違和感があった箇所(牢屋から出たがっている割には裁判に非協力的な面であったり、最後にダイジェストで先のことが描かれるところとか)も最後の真相で意味があったのだと分かった。カイアは陪審員との例え少なくても存在した今までの積み重ねと弁護士のトムの力量と偏見で無罪を勝ち取ったが、私のような読者こそ、その裁判の陪審員だったのだと思う。いくらカイアの成長を見てきたとは言え、どこかで私の中で偏見は残り続け、無罪になってほしいであったり、殺人を犯すイメージができないといった曖昧な勝手な気持ちで裁判のシーンを読んでいたと思う。けれどそんな私のささやかな期待や願いといったものは自然の前では無力で、あるべきようにあるという本能の力を感じた。本文にあったようにそこには善も悪もないのだろう。カイアが真相に対し隠しはしたものの捨てきらないことに、気持ちが現れていたと思う。

  • 評判になっていたので気にはなりつつ、どこかで「これは文学だ」という評を目にしたものだから、なんとなく敬遠していたのだった。思わせぶりでちょっと退屈な感じかなと思って(←思い切り偏見)。今頃になって読んでみたらまあこれが、抜群のストーリーテリングでページターナーで、冒頭から一気に引きこまれ、どんどんのめり込み、早く続きは読みたいが読み終わるのはもったいないという、至福の読書タイムとなった。深い余韻を残す文学作品にして、一級のエンタメ。素晴らしかったです。

    過酷な状況(胸が締め付けられる)を生きる少女の成長譚であり、差別や偏見への告発でもある。背景には少女が住む湿地の自然や生き物が叙情豊かに描き込まれ、動物学の博士号を持つという著者のまなざしの深さが伝わってくる。しかも、冒頭で登場する死体をめぐる謎が物語を牽引し、出色の法廷劇へ、さらに事の真相へとつながっていく。様々な要素が渾然と溶け合う物語の豊かさをしみじみと味わった。

    69歳にして初めて執筆した小説だとあって、これには驚いた。現在と過去が交錯しながら進んでいくのに、とても読みやすく、長篇だが全くだれるところがない。静かに閉じられるラストには、人の暴力性(それもまた自然から与えられたもの)への諦念のようなものを感じた。

  • 物語の中にいろいろな要素が含まれている、
    贅沢な一冊。
    前半は苛酷な人生を歩む少女に胸が痛み、
    中盤からは法廷シーンにハラハラし、
    ラストは…ラストは語ることはできないけど
    納得の結末だった。

    自然界の不思議や美しさにも
    静かな感動があった。

  •  野生の少年、オオカミ少年、ジャングルブック、といったイメージはこの本には全くわかなかった。野生の中で独りで生きる少女の物語でありながら。

     人間世界と隣り合わせに生きることで、文明世界から差別と偏見で見られるといった、社会的側面を持つからだ。また彼女に文字や言葉を教える文明世界側の少年が、彼女を世界と繋げる絆となる点においても。

     優しさと残酷さを併せ持つ、野生と文明の分岐点。明確な直線ではなく、水面で交じり合う絵の具のように刻々と色合いを変えてゆく。それがこの小説である。

     1952年、アメリカ南部。ノースカロライナ州の海に面する湿地帯。たった独り、離散してゆく家族たちから取り残された少女。1969年、火の見櫓から墜落した死体が発見される。フーダニットのミステリ。二つの時代が併行して語られ、やがてそれらが合流する最終章。

     何といっても家族から捨てられる少女の孤独が際立っている。そして彼女を救うのが湿地の生き物たちであること。自然そのものの中で独りの生き物として動物、鳥たちに交じり合う存在であること。その中で静かに成長する彼女の研ぎ澄まされた感性が素晴らしい。小説全体に謳歌する鳥や虫や植物たちなど生命への讃歌は、読者の感性に否応なく鳴り響く。

     砂浜で貝を掘り集めて港で売りさばき、最低限の買い物を店で済ませて湿地の小屋に帰り、電気も水洗もない場所で暮らす幼き少女。ボートで行き来する海と沼。繰り返される野生の中の昼と夜。こんな小説があるのだ、と感性を揺すられるページの数々。出会いと別れが訪れる。心の震えと、絶望と、再生への希みと。

     これらを書き記す作者は69歳女性、初めて小説を書いたという本業は動物学者なのである。フィールドワーク経験ゆえか、自然描写は半端ではない。昨秋ポケミスで出版されたジェイムズ・A・マクラフリン『熊の皮』の作者も山育ちのネイチャーライターであり随所に自然に親しむ作者のカラーが滲み出ていたが、この手の原始回帰型ミステリは、今後、文明批判的側面を武器に、新型コロナ禍に脅かされる今日の文明に警鐘を鳴らしてゆくのかもしれない。

     十年に一作の傑作、と言われる本書。嘘ではなかった。ぼく自身、この書は十年に一作あるか否かの傑作と認めたい。今年のミステリでの首位格は、既に本作で決定としたい。この少女を生きてほしいという作者の心の響きは必ず伝わってくる。少女カイアと、彼女を助ける人々の優しさがたまらない。家族は家族ではなく、他人が家族より愛の強い世界。差別と偏見に満ちた世相だからこそ、優しさは真実のものとして受け入れられる。

     いくつかのシーンでは読者は涙を禁じ得ないだろう。心をひっつかまえに来る小説なのだ。これほど情動豊かな作品はそう滅多にあるものではない。心や情に飢えた人々に読んでいただきたい。様々な魅力に溢れた作品でありながら、ミステリとして法廷小説として読める終盤。そして結末の見事さ。新人作家とは思えない書きっぷりを、じっくりとご堪能あれ!

  • ずっと気になっててやっと読めました。
    ミステリー要素もありつつカイアが湿地の大自然に囲まれて孤独の中でも懸命に生きてきた壮絶な半生が描かれてとても惹き込まれた。
    湿地帯って見たことないけど、とても細かい描写で景色を想像しながら読むのも楽しかった。

  • 本屋大賞。映画化。不幸な女性のラブロマンス+法廷ミステリ。湿地での足跡のない死体、時系列が前後する2場面展開の構成から、仕掛けのありそうな本格かと思いきや、とてもシンプル。
    不幸の描写とラブロマンス部分が長過ぎるかな、映画だと湿地の美しさとか場面展開を早めることで2時間ぐらいにちょうど纏まりそう。全体的に暗い話で展開が遅いので、気合入れて読まないと積み本になる恐れあり。
    ミステリとして読む分にはアンマリでしたね。作者は動物学者で初小説とのこと。面白い人生。

  • 湿地に住むカイアは、最初は家族で貧しいながらも楽しい日々を送っていたのですが、母親が家を出て行ってから、兄弟が一人一人家を出てしまい、酒癖が悪い父親と二人っきりになります。

    その父親もそのうち出て行ってしまい、1人での生活が始まります。

    そんなカイアも大人になるのですが、カイアの所に通っていたチェイスという、裕福な男性の遺体が見つかります。

    カイアがいかにして生きてきたか?いかに孤独だったか?ということが書かれ、そこからカイアが独り立ちする話しかと思いきや、チェイスが遺体で見つかってから全く別な話になっていく感じで。(しかも自然な流れでなっていく)

    2つの話をいっぺんに読んだ感じでした。

  • 引き込まれた…
    湿地、町の情景を思い描きながら読んだ。一人でいる状況は、私には自分の母の今の状況と重なった。カイアとは、かなり違うが。
    最後の最後、やっぱりそうだったかと納得。裁判の時になんとなく違和感があったままだったので、最後は、府に落ちた。A. Hは、思いもよらなかった。

  • 物語は迫力があって、読み応えがあった。
    最後はどんでん返し?もあって、ページをさかのぼったり、何回も最後の詩を読み返した。
    湿地に住んでいるというだけで、村人から差別され、それ以上傷つけられないようにに人との交流だを絶って生きる。もう裏ぎられたくない。けれども心の片隅では、仲間が欲しい、誰かに支えてもらいたい。そんな心の揺らぎが読んでいて切なかった。
    最後は驚きが2回やってきて、なるほど、と思った。
    一年以上積んでいたけど、読んでよかった。

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