さらば、神よ

  • 早川書房
3.29
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152099570

作品紹介・あらすじ

神さまはあまりにたくさんいて、とても気ままで、実際のところどんな仕事をしてるのかもよく分からない。未来を歩むための勇気は、科学にもらった方がいいんじゃない? 「自分で判断をできるようになった」みんなに贈る、ドーキンスの新たなる科学賛歌。

感想・レビュー・書評

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  • 「利己的な遺伝子」の著者リチャード・ドーキンス氏の宗教決別本。
    訳者によれば、氏の「神は妄想である」のヤングアダルト版とも言える本だそうだ。つまり入門編。わかりやすく宗教の矛盾を説く。

    目を見ひらかされる部分も多くあり、宗教について考えたいと思っている人には良書だと思う。

    「神はとてもたくさん!」
    「聖書はグッド・ブックなのか」
    「善良であるために神は必要か?」
    「きっとデザイナーがいるはず?」
    「私たちは信心深くなるように進化したのか?
    親切になるように進化したのか?」

    各章のタイトルの抜き書きだが、タイトルだけで挑戦的で興味深い書ということが十分伝わる。

    もう一度噛み締めて読みたいが、返却期限が来てしまったので図書館に返す。

  • 無神論者の科学者として有名な著者による、神との決別を促す一冊です。
    宗教や不確定要素に対して、感情的ではなく理性的で科学的な立場からアプローチしています。
    私もどちらかと言えば無神論者であり理系なので科学を重んじる志向をしていますが、各々の進む道を矯正しようという気は毛頭ありません。
    それはしつこい布教活動と同じであり、それに加えて科学は宗教と異なり間違いを認め改めることがあり得る学問であるからです。
    ユーモアたっぷりの筆致で読みやすいので不信心者の私には楽しめましたが、信心深い方はこういう考え方もあるだろうと許していただけたらと思います。

  • 神話は歴史でも事実でもない(価値は違うところにある)。宗教の矛盾を説く。むしろ第1部では、世界中の色んな宗教、特に過去一世を風靡したけれど今は廃れてしまった新興宗教なんかを教えて貰った。このまま宗教話で終わっちゃうんじゃないかとドキドキするくらい(笑)…冗談だろ!

    真面目な話、こういう本が生まれるくらい、日常生活で「神の存在/不在」を意識している人達が、世界の多くを占めているのか?なら、我が国・日本が、国際社会の中で、幾ら金を積んでもなにかと軽んじられる理由は、こういうところにあるのかも。

  • 神は存在せず、今後の人類の進化にはその存在が足枷になるだろう、というのを懇切丁寧に解説してくれる。
    十戒は殺戮と民族浄化を是としており、決して博愛の思想ではないこと、宗教としての主張は時代によって主張を二転三転させていること等々。本書で語られるエピソードの断片は知っていたが、知の巨人・リチャード・ドーキンスが体系化してわかりやすく教えてくれるのだからありがたい。凡人の私でも神のデタラメさに対して理解が深まった。イエスの少年時代の畜生エピソードの下りは必読だ。
    一見摩訶不思議な生物の多様性も、誰かがデザインしたのではなく、小さな突然変異の積み重ねだということを「生命の歴史は繰り返すのか?」を読んでいたから納得できた。そりゃあ30万世紀も経てばアメーバも人間ぐらいには変化しているだろう。

  • リチャードドーキンス「さらば、神よ」https://hayakawa-online.co.jp/smartphone/detail.html?id=000000014569 読んだ。日本人には常識ばかりで別に読む必要はないんだけど、この本の意味は、これほどまで懇切丁寧に反論してもまだ科学を受け入れないカトリックという存在を理解することだと思う。非科学が主流の世界がわたしの隣に存在する(おわり

  •  聖書の記述は、現実にあったことではない。それを理路整然と述べる前半。進化は真実であるということを述べる後半。

     多くの日本人にとって、自明というか、「そんなこと当たり前」という話。そもそも一神教の世界観は肌感覚としては理解不能。だからと言って、積極的な無神論者というわけではない。したがって、サブタイトルの「科学こそが道を作る」は重要なテーマなんだけど、一神教信者とは多分違うアプローチが必要なんだと思う。
     一神教信者の国ではないけど、だからと言って、エビデンスは無視され、科学が疎んじられているこの国。

  • リチャード・ドーキンス(1941年~)は、英国の進化生物学者・動物行動学者。一般向けの著作を多数発表しており、存命の進化生物学者として、最も知名度の高い一人。
    1991年発表の『The Selfish Gene(利己的な遺伝子)』で、「生物は遺伝子によって利用される"乗り物"に過ぎない」という比喩的表現を使って、「自然選択の実質的な単位が遺伝子である」とする遺伝子中心視点を提唱したダーウィニストであり、科学的合理主義の推進者である。また、科学的合理主義の推進者であることと表裏一体ともいえる、徹底した無神論者・反宗教主義者であり、科学的精神の普遍性と反宗教を説く啓蒙書として2006年に出版された『神は妄想である』は、30を超える言語に翻訳され、最も有名な一冊となっている。
    本書は『Outgrowing God:A Beginner‘s Guide』、即ち、「神を卒業するためのビギナーズガイド」の全訳であり、上記の『神は妄想である』のコンセプトを、世界の将来を担う若者向けに書いたものとも言える。
    ドーキンスが、無神論者・反宗教主義者の立場からの発信を強め、宗教との対決姿勢を明白にするようになったのは、2001年3月11日の米国同時多発テロがきっかけだというが、それは、人の心を救うはずの宗教が、怒りと憎しみを煽り、多くの人の命を奪うテロや戦争を引き起こすことに気付き、「宗教は有害である」という結論に達したからである。それまでも、科学的合理主義と反宗教は同一線上にあったが、3.11により立ち位置が変わったのだ。
    本書では、第1部「さらば、神よ」で、神を信じるべき理由の正当性を徹底的に覆し、第2部「進化とその先」で、生きものの複雑さや美しさをつくり出した自然の仕組みを明かしているが、第2部の進化論に関する研究・解説については、『進化とは何か』(ファラデーが1825年に英国王立研究所で始め、その後も毎年行われている“クリスマス・レクチャー”において、ドーキンスが1991年から5回に亘って行った内容を編集したもので、2016年、日本語版文庫化)に、平易かつ興味深く書かれている。
    私も基本的に、この世界(宇宙を含む)のあらゆる事象は科学的に説明し得ると考える(現在は超常現象と言われる現象が仮に実在したとしても、いずれそれは科学的に解明される)科学的合理主義者であり、本書の内容に得心するが、何より重要なのは、科学的合理主義が導く無神論(特に、扇動的な一神教に対する)が、世界の平和に大きく貢献するということであり(世界の争いの全てが宗教に起因するわけではなく、様々な面での格差の是正も大事なことであるが)、その意味において、ドーキンスのスタンス・主張に強く共感を覚えるのである。
    (2020年8月了)

  • 宗教や神は人間ホモサピエンスが生き残るために造った知恵のひとつだよねって私も思う。そんな古い脳の奥の方にあるだろう遺伝子に操られるままだから世界中で争いが絶えないのでは。
    そんなことをつらつら考えながら、分かりやすい文章に助けられ色々と納得いたしました。

  • 良い本でした。

  • ドーキンスさんの宗教悪口はまだ続いてたのか。キリスト教聖書の悪口満載。

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著者プロフィール

英国の進化生物学者。世界的ベストセラー『利己的な遺伝子』で知られる。ほかの著書に『盲目の時計職人』『神は妄想である』『遺伝子の川』『進化とは何か』など多数。

「2022年 『これが見納め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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