ザ・スタンド(下)

  • 文藝春秋
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (736ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163194707

作品紹介・あらすじ

『ザ・スタンド』は1990年代を代表する一冊である…冒険、ロマンス、予言、寓話、風刺、ファンタジー、リアリズム、黙示録…この本にはすべてが含まれている…。長編ホラー。

感想・レビュー・書評

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  • ■文庫版だと全五巻、総ページ数2,500ページにも及ぶ大作。400字詰め原稿用紙だと3,800枚くらいか。
    ■当然その分、いろんなことが書かれている。ストーリー然り、人物描写然り、会話文然り。
    ■そんな中で、この作者の特徴でもあるのだが、アメリカのサブカルチャーに関する言及がひっきりなしに出てくる。商品名だとか、流行歌だとか、映画やテレビや本の内容だとかが。
    ■作者の意図は、そうすることによってフィクションの世界に現実味を持たせること。しかしハリウッド映画好きでロック好きのぼくが読んでても、聞いたこともないような言葉がわんさか出てくる。結果、いちいち「それ何のこと?」「これどういうニュアンス?」てなぐあいになって物語に没入できなくなる。つまりぼくにとっては作者の意図なんてまったくの逆効果で、そんなサブカルのアイテムズは邪魔でしかないのだ。
    ■ひっきりなしに出てくるといえば他に聖書のこと。フリーゾーンの人間たちは、自らの行いを正当化し未来に対して希望を持とうとするために、聖書の言葉を引用しては自分たちを鼓舞しようとする。
    また”闇の男”に対比される善の象徴マザー・アビゲイルの設定は、敬虔なバプテスト派クリスチャンであると明記されている。
    物語のテーマはアメリカを舞台にした善と悪との対決。だから作者はそれに説得力を持たせるにキリスト教を持ちこんだのだろう、それはわかる。だがこれも、宗教など縁のないぼくからしたら全くもって逆効果、興ざめで鼻白んじゃうのだ。
    ■………だって99パーセントの人類が死に絶えても、生き残りにムスリムはひとりもいないんかいって! その頃太平洋をはさんだ日本では、八百万の神と閻魔様が対決してるんかいって! オオカミやイタチは悪魔の手先、イヌは人間の友だち、ウサギやシカは中立なんかいって!
    ■まぁ、善と悪、こんな単純な二元論を堂々とテーマにして、それでこんだけの分量書ききったのは、ある意味すごいとは思うけど。

  • 感染症後の世界として、人が集まる世界は、規律と倫理あるいは政治的なものがないと、生きていくことができないのかと、その必要悪を見せられる。民主主義にしろ、社会主義にしろ、あるいは、専制独裁にしても。しかたがないのかなぁ。
    だから、急進的なものも、賛同するものも、あぶれるものも、離脱するものも、諦めるものも、あり得るのかもしれない。そして、それが人類の運命なのかも。共同体の。

    トウモロコシ畑のある家のポーチでギターを爪弾くマザー・アバゲイルと、不気味な「闇の男」の夢は、最後に何を暗示していたのでしょうか。
    「どこをおのれの拠って立つところ(ザ・スタンド)とするか、そんなことは一度だって重要だったためしなどない。重要なのはただ、このおれがそこにいるということ…そしていまなお自分の脚で立っているということ、それだけだ。」の言葉が、むなしく木霊する。
    エンディングは意外とあっけなかった。(時代背景もあるのでしょうか?)パンデミックの終結もあっけなかったのと同じでしょうか?ただ、ラスベガスのきのこ雲が、あの距離で見えるか?疑問が残るのは私だけ?

    印象的なフレーズは:
    ★”事を図るは人、成敗を決するは神”
    ★ひょっとして彼が恐怖を売っているのは、それ以外に売るものがないからかもしない、って
    ★彼らは生贄だったと俺は思ってるんだ。神はいつの場合でも生贄を要求する。神の手は血で汚れてるのさ。
    ★私たちはあえて危険を冒して、生きたいと思う人生を生きるべきだって

  • 時間はかかったがその分の読み応えは抜群。ちょっと肩透かし感はあったけれども。

  • おもしろい。最後の結末が以外だった。細菌テロではなく、悪魔との戦いの話です。ランドル・フラッグはきっとダサい恰好だろうな。

    トムカレンが人気な理由も、実際読んでわかった。彼のキャラはいいね。

  • これだけ長いのに、最後までちょっとも飽きずにおもしろくすらすら読めたのにびっくりした。
    致命的な疫病が発生し、生き残ったわずかな人類が正義と悪の陣営にわかれて・・・。とてもおもしろかった。

  • 主要な人物たちが、いとも簡単に退場していきちょっと辛い展開。せめて彼らだけは助けてくれと思うぎりぎりの生存率で、挙句に「いけにえ」ですと・・・ トム・カレンの存在に助けられました。彼のその後を、もう少し知りたかった、いやまったく。

  • 私には思ってもみなかった展開。それだからいいのかも。

  • 長い長い旅を主人公たちとしてきた、と言う感じで読み終えた。
    これは「指輪物語」を読んだ時と感覚が似ている。

    一番気持ちが寄り添ってしまったのは、何故かハロルドだった。
    どじなのに高慢、頭は良いのにもてない。
    彼の事は忘れられそうも無い。
    その最後も。

  • 上巻 (790 ページ) 、下巻 (635 ページ) 合わせて
    1,425 ページの圧倒的な大長編。
    以前に出版された「ザ・スタンド」で削除された
    400 ページほどが復元された、完全無削除版。
    読み終えるのに、一ヵ月程掛ってしまいました。

    所謂、終末ものに分類されるSFホラーファンタジー(?)。
    キングは、本当にお話を創るのが巧い!
    多くの登場人物それぞれのエピソード・バックグラウンドが、細かく描写され、
    グイグイ引き込まれる。
    久しぶりにキングの作品を読んだが、偉大な作家だと再認識。
    文句なしの五つ星です。

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著者プロフィール

1947年メイン州生まれ。高校教師、ボイラーマンといった仕事のかたわら、執筆を続ける。74年に「キャリー」でデビューし、好評を博した。その後、『呪われた町』『デッド・ゾーン』など、次々とベストセラーを叩き出し、「モダン・ホラーの帝王」と呼ばれる。代表作に『シャイニング』『IT』『グリーン・マイル』など。「ダーク・タワー」シリーズは、これまでのキング作品の登場人物が縦断して出てきたりと、著者の集大成といえる大作である。全米図書賞特別功労賞、O・ヘンリ賞、世界幻想文学大賞、ブラム・ストーカー賞など受賞多数。

「2017年 『ダークタワー VII 暗黒の塔 下 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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