三国志 第一巻

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163597508

感想・レビュー・書評

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  • 126ページ当たりで挫折。安帝の暗愚さにいらいらしっぱなし。心穏やかな時に読むと教訓を引き出せる作品なのだろう。仕事で気がめいってる状態ではこれ以上読めない。

    安帝の幼いころが聡明であったことの考察は秀逸。聡明であったのではなくて、言われたことに素直に従っていたのが周りに聡明であると思われていただけ、というような説。おおいにうなずける。 自分をいかに磨くかというのは大切だ。早いうちからいろんな人にもまれ、いろんな人から指摘を受けないと、自分の姿は見えない。

  • 吉川三国志と全く異なる入り方。後漢の光武帝から物語は始まる。後漢がいかに幼帝が多く、その取巻き、外戚、宦官たちに支配されていたか。時代背景が詳細に語られる。謀略、取入りで国が傾いていく姿が痛々しい。そんな中で順帝保を擁立する19名の宦官によるクーデタの場面は感動的。凛として19名の前に顔を出す順帝と、死を覚悟した王に付いていくことを確認した面々。その中に曹操の養祖父・曹騰の若き日の姿が。不遇の日に楊震が密室で旧友からの贈り物を「天知る。地知る。我知る。なんじ知る。たれも知らないとどうして謂えるのか」という言葉は印象に残るが、この楊震も宦官に陥れられ、毒を仰ぐ結末、暗澹たる気持ちになる。

  • 「天知る地知る我知る人知る」という成語を言ったのは後漢の楊震という人で、そこから話が始まる。1巻読んで、まだ三国志のメジャーな人が誰も出てこない。曹操の祖父の曹騰が出てくるぐらい。というか、曹騰伝。
    それはそれでけっこうありだけどね。私は好き。歴史はその前の時代があってこそだから。

    でも、この時代の話は、なんか読んでいておもしろくない。
    それは、「清廉な官僚」が氾濫を起こしている地方に赴任して徳で片付けるところ。
    「張綱」が徐州を巡察して、盗賊の「張嬰」を下す。

    狙ってないのだけど、たまたま毛沢東の伝記を読んでいて、彼が中国の歴史をまるごと否定したのも分かる気がする。

    たしかに「張綱」はえらい人だ。時代に関係なくえらい。だけど、社会構造に由来する矛盾を個人の道徳で解決するのは、解決にはなっていない。

    たぶん毛沢東もそう考えただろう。だけど彼も現実の統治者となった。そこをどうしたのか、毛沢東の伝記の続きを読むのが楽しみだ。

著者プロフィール

宮城谷昌光
1945(昭和20)年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。91(平成3)年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。94年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年、第三回司馬遼太郎賞、01年『子産』で吉川英治文学賞、04年菊池寛賞を受賞。同年『宮城谷昌光全集』全21巻(文藝春秋)が完結した。他の著書に『奇貨居くべし』『三国志』『草原の風』『劉邦』『呉越春秋 湖底の城』など多数。

「2022年 『馬上の星 小説・馬援伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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