- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163733500
感想・レビュー・書評
-
NHKのテレビを見て、すっかりはまってしまいました。
すぐに購入、夢中で一気読みしたのですが、文章よりも、テレビで直接彼女の話を聞いた方が、ずっとずっと面白いです。
「選択」について、さまざまなアプローチから議論していくのですが、わたしがライフワークとしている「ストレスマネジメント」にも通じるところがあり、非常に興味深い内容です。
何よりも、全てが、実験に基づき実証されていることが、作者の思い込みや絵空事でない、真実をあぶり出していると思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自己決定権と幸福について以前より興味があった。
大学では倫理学教室で自己決定権について勉強した。
欧米が医療において自己決定権を勝ち獲った歴史を学ぶにつけ、自己決定権の重要性を感じていた。
そして医師になった、実際に自己決定権を重視した診療に努めた。
でも自己決定権の重視だけでは患者さん達はちっとも幸せにならなかった。
実際の現場は思想の世界とは違う、少なくともこの国では自己決定を皆それほど望んでいない。
こうぼんやりと感じていたことが、この書物を読んで確信に変わった。
医師患者関係は必ずしも契約モデル的な対等な関係だけでは上手くいかない。時にはパターナルに、時にはマターナルに振る舞う必要がある。
このバランスが難しい。今後も診療を通じて学んでいくしかない。
この書に触れて、進むべき方向がまた一つ明確になった -
あらゆる場面での選択を例に、行動の主体とその選択について科学的考察をまとめた一冊。どのテーマもよく練られた文章、構成だったと思います。その分、読み進めるにはページ数以上に根気が要りました。
選択なんてことを本にしようものならいかにも胡散臭くなりそうです。そもそも選択の数さえ無限に存在するように思える上、認知している状況も一様ではないでしょうし。そんなところを巻末のソースノート・文献欄の厚みが実証するように見事に科学的に分析していたと思います。
続刊が出たらまた読みたい。 -
盲目であるということ、インド系であるというマイノリティである彼女だからこそ書けた本だと思う。
生死を扱う場合などは必ずしも選択の自由が最善を指さないという観点に納得。
よりよい選択のために知識や経験を蓄えようと思うと同時に、よい専門家を見極める力と頼ることも学びたいと思う。 -
【2011/2/17 facebook】
「1つはっきり言えるのは、人は可能な限り選択の自由を求めるということだ。わたしたちは、自分の人生を前向きにとらえれば、状態がきっとよくなると信じたいのだ。」
自分で決定できるという状況は、自分の人生に納得と満足を与えてくれるということでしょうか。 -
TEDでも講義。
-
「選択権を持つことは生き物の基本的欲求である」という冒頭に書かれているテーマを様々な実験・データから分析・解釈していきます。
一番興味が引かれたのは、動物園の動物の寿命。
野生の動物より、はるかに食糧、衛生状態の面でめぐまれているにもかわらず、圧倒的に短い。たとえば野生のアフリカ象の寿命は56歳ですが、動物園のそれは17歳。動物園の動物には、過剰な毛づくろいや、意味もない往復運動などの神経症状をみせる動物が多いらしい。その理由は、野生のときのような、「選択」ができないからだ、ということが明らかにされています。(^^ゞ -
膨大なデータと数字に基く考察が大量に記されている。これほどインプレッシブな本は読んだことがない。
結論にだけは賛成できないが、そんなの問題にならないほど良書。 -
人生において何回選択する機会があるのだろう。そして、その選択は、何を食べるかといった簡単なものから、結婚や転職などの重大なものまで様々である。自由に選択出来ることもあれば、そうでないものもある。自由に選択出来る恋愛結婚は必ずしも幸福になるものでもないし、選択肢を制限された見合い結婚で幸福を感じることはままある。また、商品を購入するとき、自分で自由に選択したと思っていても、実は心理的にうまく誘導されていたりもする。さらに、選択肢が制限されると満足度が下がるといった実験結果もあるようだ。そんな選択をしていくことで、私たちは道を切り拓いていくことが出来る。選択とは芸術のようなものなのだ。