のろのろ歩け

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 323
感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163816302

作品紹介・あらすじ

『北京の春の白い服』-1999年、中国初のファッション誌創刊に向けて派遣され北京で奔走する夏美。『時間の向こうの一週間』-2012年の上海、赴任したばかりで多忙な夫の代わりに家探しを引き受けた亜矢子。『天燈幸福』-「台湾に三人おじさんがいるのよ」という亡き母の言葉を手がかりに旅に出た美雨。時間も、距離も越えて、新しい扉をひらく彼女たちの物語。

感想・レビュー・書評

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  • 北京、上海、台湾。3つの場所で繰り広げられる『彼女』達の物語。
    人種や国籍、風土、文化の違いはあるけれど、人を思う気持ち、優しい気持ち、愛は人類皆一緒です。
    ちょっぴりドキッと、
    そしてふんわりと優しい恋心に
    『彼女』達のこれからの人生を想像してしまう…そんな後味のお話でした♡

    「慢慢走」直訳すると「のろのろ歩け」
    のんびり行けや〜と北京の屋台のおっちゃんが『彼女』に声をかけます。

    あぁ、旅にでたいな〜♫

  • いつもはつるつる読める著者の作品なのになぜか読みづらかった
    時間を置いて読み直そう
    北京、上海、台湾を訪ねる日本女性

  • 北京、上海、台湾を舞台にした3編

    新しいファッション誌を創刊するために。
    赴任した夫の元へ向かうために。
    急逝した母の想い出に出会うために。

    中国へと旅にでた日本の女性たちが出会った現地の暖かさ

    なんだか自分も旅をしてる気分になれる1冊
    アジアもいいなぁ

  • 「小さいおうち」が好印象だったのと、緩いタイトルに誘われて読んだ。アジアもいいんじゃない、って思った。西洋かぶれのオイラだが、三編のなかのアジアはなんかいい感じ、そう『ブレード・ランナー』みたい。古がいものと新しいものが無秩序に並んでる。タイトルは「北京の春の白い服」のなかで露店のおじさんの科白として出てくる。慢慢走(マンマン・ゾウ)。のんびり行けや──。走り続ける北京で、全力疾走する夏美だからこそ印象的な言葉になった。オイラ的には「天燈幸福」が好き。母親が離婚した原因と探る美雨の台湾の旅。娘としては、知りたいけど知ったところで愉快ではない話だけど、美雨の母親は美雨の期待を大きく裏切ってくれる。きっと素敵な女性だったんだと思う。美雨とトニーもそんな関係になるのかな。トニーが追いかけてきそうだけど。

  • *『北京の春の白い服』―1999年、中国初のファッション誌創刊に向けて派遣され北京で奔走する夏美。『時間の向こうの一週間』―2012年の上海、赴任したばかりで多忙な夫の代わりに家探しを引き受けた亜矢子。『天燈幸福』―「台湾に三人おじさんがいるのよ」という亡き母の言葉を手がかりに旅に出た美雨。時間も、距離も越えて、新しい扉をひらく彼女たちの物語*

    特に派手な展開はないものの、異国の情景が手に取るようにわかって、一緒に旅をしたような気分になれます。忙しない中国にも「漫漫走(のろのろ歩け)」なんて挨拶があるのは不思議な感じ。でも、ちょっと愉快で、いつか自分も使ってみたくなりました。

  • 北京、上海、台湾を舞台にした小説。女性が旅先で出会ったひとは。旅に出たくなるようなお話。

  • 北京 上海 台湾を舞台にした短編3つ。どれも面白かったけど「北京の春の白い服」は仕事でおこるジレンマとか達成感、コミュニケーション問題を軽やかに描いていて好感。「さよなら」「お元気で」と同じ意味で「慢慢走(マンマンゾウ)」~ゆっくり行きな、という言葉を使うという描写のある部分が印象的。

  • 北京、上海、香港が舞台の3つの短編集。

    1990年代に中国でファッション雑誌を創刊することになった夏美。
    上海に来てすぐに、急な仕事が入った夫から、夫婦で住むためのアパートメントを見てくるよう言われた、駐在員の妻亜矢子。
    亡くなった母のゆかりの地香港に、3人のおじさんを訪ねた美雨。

    私には縁遠かった中国が舞台の話。
    どれも、舞台の情景が目に浮かぶような興味深い話でした。

    サブタイトルの漫漫走は素敵な言葉。
    離婚理由になる「感情破裂 婚姻法32条」には苦笑い。

    ずーっと昔、台湾に旅行した時に見たコアラのマーチが楽天小熊餅乾だったのを思い出しました(笑)

  • 北京、上海、そして台湾を舞台に、3人の女性の物語が語られる。最後に北京に行った時、やはりちょうど古い街がどんどん新しくなっていくのを見たので、懐かしい気がした。もう10年以上も前だから、もはや全然昔の街並みなどなくなっているかも知れないなと思う。上海は、なぜか機会がなく行ったことがないので、描かれている古さと新しさが共存するような街の様子に、いつか訪れてみたいなとまた思った。台湾は何度も訪れていて、風景の描写が意外に少なかったのがちょっぴり残念な気もするが、登場する台湾のおじさんたち(老人たち)の雰囲気は、そんな人たちが確かにいそうな気がした。

  • 2016.01.31

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著者プロフィール

1964 年東京都杉並生まれ。小説家、エッセイスト。出版社勤務、フリーライターを経て、2003 年『FUTON』でデビュー。2010 年『小さいおうち』で第143 回直木三十五賞受賞。同作品は山田洋次監督により映画化。『かたづの!』で第3 回河合隼雄物語賞・第4 回歴史時代作家クラブ作品賞・第28 回柴田錬三郎賞を、『長いお別れ』で第10 回中央公論文芸賞・第5 回日本医療小説大賞を、『夢見る帝国図書館』で第30 回紫式部文学賞を受賞。

「2022年 『手塚マンガで学ぶ 憲法・環境・共生 全3巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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