その峰の彼方

著者 :
  • 文藝春秋
3.28
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感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (492ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163900025

作品紹介・あらすじ

警察小説、冒険小説の世界で確固たる地位を築き、『還るべき場所』『未踏峰』『春を背負って』など、山を舞台にした力作でも知られる笹本稜平さん。本作は北米大陸最高峰・マッキンリーが舞台の本格山岳小説です。最高の技術と精神力を持ちながら、ただ純粋に山と対峙することを願い、日本の登山界と距離を置く孤高のクライマー・津田悟は、ヒマラヤよりもマッキンリーを愛し、最難関である厳冬の未踏ルートに単身挑み、消息を絶ちます。愛する妻は子供を身ごもり、アラスカを舞台にした大きなビジネスプランも進行中。なのになぜ今、彼はこのような無謀なチャレンジを行ったのか。大学時代の友人・吉沢をはじめとして結成された捜索隊は、壮絶な山行ののち、脱ぎ捨てられた上着や手袋を見つけてしまう。津田にいったい何が起きているのか? 極限状態の向こう側にたどりついた人間は、自らの生と死と、どのように折り合いをつけるのか。感動のドラマが待ち受けています。

感想・レビュー・書評

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  • 評する自分の考えを表す言葉が思いつかない。どうもホテル投資の話が挟み込まれている事が、美談でまとめたがっている頭の中で、嫌悪を感じてしまっている。何となく勿体ないなぁ。

  • 500アラスカのマッキンリーを舞台とした山岳小説.大自然にたいする詳細な記述や心理描写がみられるか,少しくどい感がある.読んでいても今一乗り切れず後半はとりあえずストーリーを追うだけになってしまった.余計なお世話だが,もう少し内容を絞って中編小説位にした方がよかったかも.筆力あるだけに残念.

  • INTO THE WILDと同じにおいがして492ページの長編作ハードカバーで購入。

    極寒の北米最高峰マッキンリーの冬期単独登攀を試みるクライマーが、人生を賭して見たものとはなにか。彼を救うために、友人や現地ガイドが二重遭難のリスクがありながらも、レスキューに向かう話。
    なぜ山に登るのか、なぜ生きるのか。彼の人生を通して、周りのひと彼自身も生きる意味を知り分かち合っていく。

    アラスカで出会ったインディアンの話す、文化や考えが素晴らしくて興味深かった。

    読んでいてメモを取ってしまうところ多々。いろいろ考えさせられます。

    人間は自然の一部であること。
    生かされていること。
    心を開いて感じるすべてを受け入れること。

    北欧に行った時、大自然を前に、人間はちっぽけでほんとに生かされている存在なんやなぁと感じたの思い出した。考え過ぎて悩むこともあるけど、案外どうしたいか何がほしいか心は決まってたりするもんで。人の行動にはすべて奥深い意味があるそうです。うん、そうやなぁ。

    専門的な用語表現多く、なかなか頭の中で映像化されないけどかと言って読み疲れることもなく。

    最後の選択も潔いというかなんというか!考えさせられる小説、面白かった!!

  • 単独で極限状態に身を置き頼れるのは自分の気力と技術、そして神がもて遊ぶ運という天秤に翻弄されるちっぽけな一人の人間。命を落とす危険があるにも拘らず、ソロで世界最高峰クラスの山に挑むことは、自分の限界に挑戦するとか、誰よりも困難な事を達成し生きているという充実感を得たいがためなのかなと、漠然と思っていた。それでも自分の中にまだ納得出来ないところがあったのだが、本作を読んで自分の中にスッと落ちてくるものがあり、山に惹かれる人々の心が多少なりとも理解できたのが良かった。ただ、中盤と終盤の展開の違いが気になる

  • 北米最高峰のマッキンリーを舞台にした山岳小説。主人公の登山家津田は、身重の妻おり進行中の事業があるにも関わらず困難な厳冬の未踏ルートに単身挑み消息を絶つ。大学時代の友人吉沢を中心とした救助隊の決死の捜索の結果,瀕死の状態で発見されるが,さらに障害が…。山に登ることと生きることを,クライマーの魂を描く壮大な小説。読もう読もうと思いながら,500頁近くの大作に二の足を踏んでいたが,読み始めたら一気呵成に読了。さすがの作者さん,力のこもった山岳小説だ!

  • 山岳小説は新田次郎さんの物を少し読んだ事がある。
    これだけ大作の物は初めて。
    命を懸けてさえ登頂せずにはいられない冒険者の心は正直わからない。
    しかし自分という人間を知りたい時、全てを賭けてでも前進せずにはいられない。
    これも人間にはの本質の一部なのかも知れない。
    そんな事を感じた。

  • 2014/12 哲学的で観念的な小説でイマイチ。読んでいて疲れた。

  • 山岳小説としての描写・構想力はいくつもの作品を手掛けてきた
    筆者ならではのもので、高い水準にあると思います。

    ただ、前半から終りまで、
    「いい奥さんに恵まれ、子供も誕生する。
    大きな仕事も実現に向けてあと一歩のところまで順調に来ている。
    なのに、なぜこんな危険な登山に向かったのか?
    津田は何に突き動かされて山に向かったのか?」
    という主題の問いかけが何十回と繰り返されます。

    問いかける人を変え、シチュエーションを変え、
    何度も、ひたすら、くりかえし出てきます。

    また、津田救出に至るまでも、
    津田はこんなに周りから愛されてる奴で、死ぬ筈がない。
    きっと生きてる。きっと助かる。奇跡を信じようという話が
    人を変え、シチュエーションを変え、延々とくり返されます。

    分厚い本ですが、ちょっと話が進むと、上の二つが出てくるので
    もう少し繰り返しを避けて内容を絞り込めなかったのか
    という気がします。

    それに耐えられる人は面白く読めると思います。

    正直、自分に酔ってると感じる人物が多く、
    そこに違和感をかんじることも多かったです。

  • 今どこにいるのかも、生死もわからない仲間を捜索する。
    厳冬期のマッキンリーの、圧倒的な厳しさ。
    つぶさに描かれる、捜索の道のり。
    過酷なだけでなく、山への畏敬の念も伝わる。
    山だけでなく、アラスカの魅力も。
    前半は、読み応えがあった。
    後半、津田の内面の描写は、身勝手さが鼻についた。

  • 【生と死の本質に迫る、感動の山岳長編】愛する人々を残し、単身厳冬のマッキンリーに挑み消息を絶った津田。山に登ること、生きることの意味を問いなおす山岳小説の最高峰。

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著者プロフィール

1951年、千葉県生まれ。立教大学卒。出版社勤務を経て、2001年『時の渚』で第18回サントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。04年『太平洋の薔薇』で第6回大藪春彦賞を受賞。ミステリーをはじめ警察小説、山岳小説の名手として絶大な人気を誇る。主な著書に『ソロ』『K2 復活のソロ』(祥伝社文庫)他。21年逝去。

「2023年 『希望の峰 マカル―西壁』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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