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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784163909455
作品紹介・あらすじ
『イエス伝』(2015、中央公論新社)などの著者であり、自らもキリスト者である若
松英輔さん。『トマス・アクィナス 理性と神秘』(2017、岩波新書)などの著作がある哲学者である山本芳久さん。
ともに同じ神父に学んだ二人が、中世哲学・神学の巨人トマス・アクィナスと、彼に影響を受けた近代日本の哲学者や文学者たちの言葉を読み解く。言葉・神秘・歴史・悪・愛・聖性の6つの切り口をもとに、静的で倫理的なキリスト教のイメージを動的に刷新する、
非キリスト者にも開かれた柔らかくも深遠な画期的キリスト教講義。
感想・レビュー・書評
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キリスト教の本を読むのは初めてだが、キリスト教に興味を持ち始めて最初の本がこの本というのは、おそらく運がいいのではないかという予感がする。扱われているのは「愛」、「神秘」、「言葉」など、キリスト教の基本の基本の概念のみであるが、それだけで十分、キリスト教に対する自分のいままでのイメージがいかにでたらめだったか実感できる。語りが肩ひじ張っていないのも非常によい。そこは著者が神父や教会の人ではない、という点が地味に効いているのかもしれない。一般的な現代人の感性でも取っ付きやすく感じられたし、キリスト教に対する興味も深まった。入門書として非常に満足。
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本屋で衝動買い。表題から誤解を受けるかもしれないが、これは「キリスト教を手っ取り早く学べる入門書」ではない。また対談者の二人は井上洋治神父の元で共に学んだことのあるカトリック信徒であり、内容はかなりカトリック寄りである。キリスト教における6つの中心的概念をテーマに、信徒でない日本人に誤解を受けやすい部分についての解説を試みている感じの一冊である。巻末のブックガイドは秀逸で、日本語で入手しやすいカトリックやキリスト教について学べる本がズラリと並べてあるので、お薦めできる。ただし、ところどころ会話の噛み合ってない印象が残る部分があることや、中途半端な問題提起で終わってる箇所があるのは、ちょっと残念な感じだった。
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本書『キリスト教講義』はキリスト教について長年思索を深めてきた若松英輔氏と山本芳久氏によるキリスト教のエッセンスを語りつくす本である。
キリスト教は西洋のものであると思ってしまっている人も多いと思う。しかしそれが西洋の見方に収まらないことを若松氏は『イエス伝』において論及している。文化内開花(インカルチュレーション)とは単に日本的にキリスト教を理解しようということではなく、深くキリスト教の伝統に分け入った先に見出すものがそれまでのキリスト教には見出されなかった側面を照らし出すものではないかという問いかけを含むものなのである。
とはいえキリスト教を研究するとなればその遺産に分け入る必要がある。その時に英語で読むキリスト教についての文章はスッと理解できるのに、日本語になった途端に読みにくくなるという経験をしたことのある人もいるかもしれない。本書はそのような人にぜひ薦めたい一冊である。というのも本書においてキリスト教の基本的な発想が平易な日本語で正確に表現されているからである。若松氏の端的な問いかけに応じる山本氏の返答を通してキリスト教の根本問題へと分け入る洞察が次々と提示されていく。今私たちがキリスト教の古典を受け留めることの意味が様々な角度から照らされていくのである。そしてその問題群は目次からもわかるように現代社会を貫くものなのである。
中でも印象的なのは悪に対峙するために私たちに求められているのは正義ではなく聖なるものではないかという若松氏の問いかけである。本書において深掘りされる新約聖書の罪理解やアウグスティヌスの自由意志についての省察がこのことに結び付いて、そこからヴェイユやアーレントを読むことの意味を読者に問いかけるのである。上記の洞察のみならず本書全体を通して、読者はキリスト教の古典的著作が今日性を携えたテクストとして読み解かれるのを目の当たりにするであろう。
本書の特徴は具体的な問いかけに対する明快な返答だけでなく、さらに問いを深めたい人のために用意された巻末のブックリストにある。カトリック神学を学ぼうと思う人にとって必携であるカテキズムやデンツィンガーのみならず、日本語で読めるキリスト教文学の精華の数々が紹介されている。さしずめ最初で最後の読書案内のようである。多数ある翻訳の中でなぜこれらの書が選ばれたのかということは詳しく述べられていないが、山田晶訳のアウグスティヌス『告白』とトマス・アクィナス『神学大全』は古典として手許に置いておきたいものである。本書『キリスト教講義』はキリスト教をこれから学びたい人にも、すでに学び始めている人にも強く薦める一冊である。 -
文藝春秋
若松英輔 山本芳久
キリスト教講義
キリスト教のキーワード「愛」「神秘」「言葉」「歴史」「悪」「聖性」について、様々なテキストから言葉を選び、説明した対談集
キリスト教の特徴を「理性」と「理性を超えた神秘」の両立に見出している。受肉、キリスト復活、天使、サタン、聖性といった「神秘」の奇妙さが、聖書の文学性を高め、キリスト教の奥行きを深めているという論調。神秘は、人生を支えているものとして語られ、人が 神と結びつく可能性を意図しているとのこと
「初めに言があった〜言は肉となって わたしたちの間に宿られた」「悪は 善の欠如である」などの言葉は、神秘の意味を知ると理解が進む
「初めに言があった〜言は肉となって わたしたちの間に宿られた」
*言=イエスキリスト、肉=人間
*神である言葉が人間となって私たち人間の間に宿られた
悪は善の欠如である
*より高い善を犠牲にすることによって、より低い善を実現することは悪しき行為の本質
*悪は存在しないのでなく、悪は あるはずの善がないということ
*悪とは人間のなかに内在する、聖なるものを破壊しようとする衝動であり、罪とは異なるもの
*本来、求めなければならないものを破壊しようとする衝動を伴ったものが悪
個々の人間が、神の前に立つ時には力を持たないけれど、個を失って人が大衆になった時から どこからともなく巣くってくるものが悪
聖性=宗教の核にある非合理的な直接的な体験
*聖なるものの本質はヌミノーゼ〜戦慄と魅了の相反する要素を持つ
*貧しさの中心にいることで、人は聖性と出会う〜貧しさは、欠落というより不完全
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入門のつもりだったけど難しかった。ただ、お二人のキリスト教への熱いおもいな、キリスト教というジャンルの教養の重厚さがしることができた。フレデリックみたいなキリスト、水俣病はジェノサイド。
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体系的に、キリスト教について教えてくれる本ではありません。
キリスト教における言葉・神秘・歴史・悪・愛・聖性の6つの概念について掘り下げている本です。
結局のところ、言葉を使って概念化しても、つかみきれないものがキリスト教にはあるという主張に筆者二人が落ち着いてしまい、あまりキリスト教に対する理解が深まりませんでした。
ただ、アウグスティヌスの自由意志論を知ることが出来て、よかったです。 -
【ダイナミックなキリスト教。現代の悪にどう立ち向かうのか?】愛・神秘・言葉・歴史・悪・聖性の切り口をもとに、倫理的なキリスト教イメージを動的に刷新する、画期的キリスト教講義。
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差し支え無ければ書きたい、
カトリック者のキリスト教入門書(いわゆる入門書的な内容では無いし、違うとも書かれている)と。
待ちに待った一冊。
まさにこういう本が欲しかった。
それぞれに追ってきた山本芳久氏と若松英輔氏のお二人がキリスト教について書かれるなんて、今年一番の吉報なくらいの勢いで歓喜した。
宗教はよそ様から見たら、実際のところとズレもあるし、キリスト教はなおさら研究だけされてる方の本、プロテスタントの方が書く本、カトリック者の書く本と、それぞれ内容に差異がある。
関心を持たれているのではあれば、是非三者三様の著書に目を通していただきたく思う。
今までカトリック者の視点で書かれた入門書は専門書の類になりがちだったので、メジャーな出版社で気軽に手に取れつつも、良質な内容の本があればとの願いが、この本で叶った。
山本芳久氏の「トマスアクィナス」、若松英輔氏の「吉満義彦」も併せてお勧めしたい。
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18/12/17。
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