レオナルド・ダ・ヴィンチ 下

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  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163910000

感想・レビュー・書評

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  • 「スティーブ・ジョブズ」を書いたアイザックソン著ということで読んでみた。
    ダヴィンチが書き残したノートを基に多方面にわたる才能を記す。読み応えあった。

    以下、読書メモ:

    レオナルド・ダ・ヴィンチ 上、下
    Walter Isaacson
    土方奈美 訳

    一章
    ヴィンチ村のレオナルドという意味。
    非嫡出子に生まれたので、自由に学ぶことができた。
    二章
    14世紀、イタリアは近世でルネッサンス期、日本は室町時代
    フィレンツェ
    メディチ家
    師に就き、油絵で新しい技巧を取り入れ、師を超える。
    三章
    同性愛者
    「画家が裸体を描くとき、身体の各部位を正確に表現するためには、神経、骨、筋肉、腱の構造を解剖学的に理解しておくことが不可欠である」
    「描かれた動きは、人物の心理状態に合致しなければならない。人物の動きや体勢は、真の心の状態をそのまま映すこと。動作は心の動きを表すこと。」
    四章
    30歳にミラノへ
    武器案
    都市建設案
    五章
    人類の観察力と想像力のすさまじさを見せつける比類なき記録
    現存は7200ページ、実際はその4倍あった。
    六章
    演劇プロデューサー
    舞台装置が科学探求のきっかけに。
    グロテスクシリーズ
    七章
    手癖が悪い美少年のサライ
    老人を若者の隣に描く
    「快楽にふけるときは、その背後に苦痛と禍根が潜んでいることを忘れるな」
    八章
    ミラノ大聖堂のティブリオ(円蓋)
    ウィトルウィウス的人体図
    九章
    ルドヴィーコ公の騎馬像は戦争で未完に。
    馬の解剖
    一〇章
    経験→原因
    当時の学者は古典文献をそのまま引用する傾向があった。
    一一章
    飛行装置の研究は舞台装置を製作するため。
    ニュートンの運動の第三法則(作用反作用)、ベルヌーイの定理(流体の流れが速くなると圧力は低くなる)を理解していた。
    一二章
    機械工学の研究
    永久機関は不可能との結論
    摩擦係数
    一三章
    すべては数学で表せる。
    代数は苦手、幾何学が得意。=連続、アナログ
    円を同面積の正方形に変換する。ある図形の面積や体積を変えずに別の図形に変換する方法の研究
    一四章
    解剖学
    頭蓋骨のスケッチの芸術的美しさ
    歯のスケッチで歯科学のパイオニア
    一五章
    岩窟の聖母の製作。左の赤ん坊はヨハネ、右の赤ん坊がイエス。
    一六章
    音楽家の肖像
    白貂を抱く貴婦人
    ミラノの貴婦人の肖像
    美しき姫君
    一七章
    幾何学、彫刻、音楽、絵画、詩歌のどれに優位性があるか
    スフマート 輪郭線をぼかす技法
    遠近法 物体が遠ざかるほど小さくなるようにする方法、遠ざかるほど色に変化をつける方法、遠ざかるほど物体の細部が見えにくくなるようにする方法

    一八章
    最後の晩餐
    イエス「あなた方のうちの一人がわたしを裏切ろうとしている」
    左手のグループ バルトロマイ、小ヤコブ、アンデレ キリストの発言に反応する様子 バルトロマイは立ち上がろうとしている。
    二つめのグループ ユダ、ペトロ、ヨハネ ユダはイエスを裏切る約束をした見返りの銀貨の袋を握りしめる。ペトロは驚きかっとしている。ヨハネは悲しそうに諦観している。
    キリストのすぐ右手のグループ トマス、大ヤコブ、フィリポ トマスは人差し指を立てている。
    右端のグループ マタイ、タダイ、シモン イエスの発言の真意を議論するのに夢中。
    遠近法の消失点はイエスの額
    舞台演出で学んだ知恵 壁や天井を消失点に向けて急激に縮小(加速度的遠近法)→窓が三つしか入らない、壁のタペストリーのプロポーションが不正確、食卓が小さすぎ、食卓や床が鑑賞者の方に傾いている
    絵の中の光が修道院の実際の窓からの光と同じ方向で融合する。
    水彩と油彩を混ぜた革新的手法のため劣化が早く20年後には絵の具が剥げ落ちはじめた。
    少なくとも六度の修復
    一九章
    1494年6月 生母カテリーナ60歳マラリアで死亡
    フランスがミラノ征服
    二〇章
    1500年初頭にフィレンツェに戻る。
    50代
    糸車の聖母
    二一章
    聖アンナと聖母子 モナリザに匹敵する傑作と言われているが、不自然さもある。
    二二章
    レダと白鳥 下絵と模写のみ残る。
    サルバドール・ムンディ(救世主) 2011年に発見。水晶玉に光学的描写はしなかった。
    二三章
    チョーザレ・ボルシアに軍事技術者として使える。
    二四章
    フィレンツェからアルノ川を下ったピサから、川の流路を変えて川を奪う計画
    ヴィジョナリーは無理を承知で挑戦し失敗をいとわない。イノベーションは現実歪曲フィールドから生まれる。
    二五章
    アンギアーリの戦い 模写しか残っていない。
    ミケランジェロ
    ダビデ像
    レオナルドとミケランジェロの戦争画の下絵はルネッサンスの転換点になった。
    二六章
    またミラノへ
    14歳の美少年フランチェスコ・メルツィ
    二七章
    1508年 解剖学研究の第二幕
    心臓
    胎児
    二八章
    水の動きの研究
    二九章
    ローマへ
    鏡を使って光を焦点に集める方法の研究
    三〇章
    指を指すポーズ
    洗礼者聖ヨハネ
    荒野の聖ヨハネ 後年バッカスに修正された
    受胎告知の天使
    三一章
    モナリザ
    屋根がかかっているはずなのに、前方から光が降り注いでいる。
    右目の瞳孔の方がやや大きい。
    眉がない。レオナルドが時間をかけすぎたため土台部分の油絵の具が完全に乾き、作品が初めてクリーニングされたときに眉が剥げ落ちた。
    髪は透明なベールで覆われている。
    三二章
    フランスへ フランソワ一世
    三三章
    自己完結する瞬間はない。どの瞬間も直前と直後の瞬間と結びついている。
    飽くなき好奇心を持つ
    学ぶこと自体を目的とする
    子供のように不思議に思う気持ちを保つ
    観察する
    細部から始める
    見えないものを見る
    熱に浮かされる
    脱線する
    事実を重んじる
    先延ばしする
    「完璧は善の敵」で結構
    視覚的に考える
    タコツボ化を避ける
    届かないものに手を伸ばす
    空想を楽しむ
    パトロンのためだけでなく自らのために創作する
    他者と協力する
    リストを作る
    紙にメモを取る
    謎のまま受け入れる
    結び
    キツツキの舌の構造

  • 電子書籍

  • この本を読んでわかったのは、レオナルドはいわゆる”天才”ではなかったということ。
    多くの挫折や悩みを抱えながら、それでも自身の好奇心を純粋に追求し、死ぬまでその信念にブレがなかった人。
    そして、非嫡出子であり、父からの愛に飢えていたがゆえに、自分を認めてくれる権力者の庇護を終生求め続けた人。
    (それでいながら、言うことをきかないこともしばしば。。)

    多くのことに対して好奇心を持ち探求し続けたその精華が、「モナリザ」に結実しているからこそ、名画と言われるのだろう。
    実物を見たくなった。

  • 隅から隅まで面白い。上下巻で5000円と少し高いが、少しでもレオナルドに興味があれば是非読んで欲しい。

    ・アナロジーを用いて帰納的に考えるところは見習わなきゃなと勉強になった。

    ・レオナルドの眼球の構造と唇の筋肉に関する知見がモナリザを世界一有名な絵画たらしめたのだと分かる。

    巻末には我々がレオナルドから学ぶべき、意識的に真似できる姿勢がまとめられている。「飽くなき好奇心」を絶えず持とう。

    上下巻通して、なぜ美術館でレオナルドの作品が同時代の画家とは一線を画していたのかが判然とした。それなのに、彼は絵画には関心を逸らした時期も多い。全く関係のない領域への熱心な姿勢が、結果的に、そして付随的に絵画に生きてきたということか。

    スティーブ・ジョブズのconnecting the dotsの精神と似ているものであり、奇しくも同著者はジョブズの伝記も書いている。

  • 上巻下巻とで長かった。絵画のところより兵器の図案や解剖図の方が面白い。

  • ふむ

  • レオナルドダビンチがわかる非常に良い本。
    非常に面白い。
    数多くあるメモや絵画の写真も豊富にあり説明とてらしあわせて読むことで非常によくわかる。
    画家としてのダヴィンチなんてほんの一部でしかないというのがよくわかる。本人もあまり気が乗らなかったみたいだが。
    他の様々な分野の表現の探究研究の表現の1つとして絵画があるような感じ。

  • 今の日本で考えると、レオナルドみたいな子供は、病気を持った子として認識されそうだ。興味は異常値、いろいろやるけど、最後まで出来ることは少ない、ノートに字を書くときは鏡文字、服装は奇抜、公証人の父親は、公証人として継がせなかった部分など、少なくとも適性はないなと見ていたのだろう。でも、結果として、歴史に名を残す天才として後世に語り継がれる。

    面白いのは、絵が飾られる場所や観られる角度など入念に考えてるのに、絵具の持ちについてはそこまで拘らなかった所。瞬間を切り取ってその当時の人にどう魅せるかがその時気になってた事なのかな。

    能力は、軍事、水力、解剖学、地質学などなどでいかんなく発揮されていたが、ノートは取っていたのに、発表はしてない。まあ、後からノートがみつかってとんでもない人だったと。

    本とは別の話題で、都市計画の話が出た時に、レオナルドも上階と下階に分けて人の動きを考えてる絵があったなと検索してみたら、下絵をベースに模型を作ってる人がいて、その時に感じたのは、そこまででもないか?という事。 レオナルドは、膨大なアウトプットをしているけど、殆どが世に出ていなかったのは、ある意味、出すほどでも無いという判断がレオナルド自身にあったからなのかも知れない?と思ってしまった。

    それでも、世に光の当たる残されたごく少数の作品も、その裏には膨大な研究の上に成り立っているんだなと感慨深いものがあるし、光の当たらない影の努力を強く肯定するものと思われる。





  • 500年前の人物について、ここまで詳細な記録や考え方が現代にまで伝えられてるのがすごい。興味深く、面白い内容で一瞬で読み終えてしまった
    これらの内容を知った上でヨーロッパに旅行へ行けばより楽しめるかと

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著者プロフィール

ウォルター・アイザックソン【著者】Walter Isaacson
1952年生まれ。ハーバード大学で歴史と文学の学位を取得後、オックスフォード大学に進んで哲学、政治学、経済学の修士号を取得。英国『サンデー・タイムズ』紙、米国『TIME』誌編集長を経て、2001年にCNNのCEOに就任。ジャーナリストであるとともに伝記作家でもある。2003年よりアスペン研究所特別研究員。著書に世界的ベストセラー『スティーブ・ジョブズ』1・2、『レオナルド・ダ・ヴィンチ』上下、『ベンジャミン・フランクリン伝』『アインシュタイン伝』『キッシンジャー伝』などがある。テュレーン大学歴史学教授。


「2019年 『イノベーターズ2 天才、ハッカー、ギークがおりなすデジタル革命史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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