祝祭のハングマン

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163916446

作品紹介・あらすじ

法律が裁けないのなら、他の誰かが始末する。
司法を超えた復讐の代行者――それが〈私刑執行人(ハングマン)〉
現代版〝必殺〟ここに誕生!

警視庁捜査一課の瑠衣は、中堅ゼネコン課長の父と暮らす。ある日、父の同僚が交通事故で死亡するが、事故ではなく殺人と思われた。さらに別の課長が駅構内で転落死、そして父も工事現場で亡くなる。追い打ちをかけるように瑠衣の許へやってきた地検特捜部は、死亡した3人に裏金作りの嫌疑がかかっているという。父は会社に利用された挙げ句、殺されたのではないか。だが証拠はない……。疑心に駆られる瑠衣の前に、私立探偵の鳥海(とかい)が現れる。彼の話を聞いた瑠衣の全身に、震えが走った――。

感想・レビュー・書評

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  • これは、これは…。
    まっとうに考えると、なかなかの問題作。
    是非の分かれる作品かも。

    御子柴というダークヒーローを生み出した中山氏。
    今回は、さらにさらに ダークなヒーロー 誕生。
    その名も「私刑執行人 (ハングマン)」

    そして、ハングマンの相棒は
    現代ミステリーには欠かせない(?)有能ハッカー。
    そんなこと出来ちゃうんだ、と、びっくり。

    さらに、ダークヒーローとしっかり関わる
    二十代の女性刑事、春原(すのはら)瑠衣。
    読み終えて、彼女の未来が心配に。
    重い荷物を背負って、これからどうする?
    シリーズ化されるとしたら注目したいところ。

    ところで、中山氏はいつもお茶目。
    一課のエース、犬飼隼人や麻生警部って…。
    どこかで見た名前。
    別の作品の登場人物がチラリと顔出し。
    期待どおりに読者を楽しませてくれます。

    図書館予約で四か月半も待ったのに、
    あっという間に読んでしまいました。

  • 警視庁捜査一課の瑠衣の父が工事現場で亡くなる。
    中堅ゼネコンの課長が、2人事故で亡くなったあとに…である。
    明らかに会社絡みの事件であり、会社に利用されて殺されたと思われるが、証拠がない。
    たとえ状況証拠で無理やり起訴しても公判で負ければ何の罰も受けずにのうのうと以前の生活を取り戻すのである。
    父親が関係しているため瑠衣自身は、憤りを感じながらも捜査に手を出せない。

    そこに現れたのが、以前は刑事で今は探偵をやっているという鳥海である。

    なるほどそうなるのか…と
    ほぼほぼ推察してたが、やはり思いだしてしまうのは、必殺仕事人である。
    現代版でいうと私刑執行人〈ハングマン〉ということになるのだろう。

    おもしろいほどサクサク読めた。
    シリーズ化するのかな。




  • 中堅ゼネコンヤマジ建設。課長ばかり、3人も亡くなる。事故か事件か?
    主人公、春原(スノハラ)瑠衣は警視庁刑事。
    瑠衣の父親は土木課長だった。よりによって、父子家庭だったのに父親まで・・・・

    遺族は捜査に加われない、という規則が
    ある。瑠衣は同僚に捜査の進捗状況を
    聞くしかできない。結局、3件共不審死で片づけられてしまった。
    瑠衣はとうとう、自分一人で調べ始めた!

    そんな時・・・・一人の男が事件について
    声をかけてくる。自分は探偵だと言う。
    でも、ただの探偵ではなかった!

    私刑執行人――ハングマン!

    狙うは、社長と秘書。
    “人を呪わば穴二つ”
    瑠衣は二人が、事件を不審死に仕立て上げたことが、許せない!

    黒塗りの車は祝祭の中を走ることが
    出来ないから、なんと変装をする。
    瑠衣!覚悟だ!後ろから社長へ近づく。
    ハロウィンという祝祭の中、
    何が起きても皆、気付かない・・・

    2023、4、15 読了



    • ポプラ並木さん
      アールグレイさん、
      ハングマン!!刑事とハングマン、凄い組合わせ。そこが面白そうだけど、最後どうなるのかが気になりました。
      アールグレイさん、
      ハングマン!!刑事とハングマン、凄い組合わせ。そこが面白そうだけど、最後どうなるのかが気になりました。
      2023/04/19
    • アールグレイさん
      こんにちは(^_^)/ポプラさん

      社長はどうしても、渋谷を車で通りたかったのですが、自分で変装して歩くと。ハングマンは盗聴器で。瑠衣は、社...
      こんにちは(^_^)/ポプラさん

      社長はどうしても、渋谷を車で通りたかったのですが、自分で変装して歩くと。ハングマンは盗聴器で。瑠衣は、社長に手を掻けたことになっています。多分、簡単には捕まりそうには・・・・
      2023/04/19
  • 司法を超えた復讐の代行者。
    それが、ハングマン。

    警視庁捜査一課の刑事瑠衣は、中堅ゼネコン勤務の父親と二人で暮らしていた。
    ある日、父親が勤める会社の、資材部課長が、トラックに轢かれて死亡した。
    事故ではなく、何者かに突き飛ばされたらしい。
    そして、その半月後、同じく、経理課長が、駅の階段から転落死する。

    同じ会社の課長が、続けて不慮の事件に遭うなど、
    何かあるに違いない。
    と、瑠衣は、父親を問い詰めるが、何も聞き出せずにいた。
    しかも、その父親までもが、工事現場で、鉄骨の下敷きになり、死亡してしまう。

    捜査が進むうちに、会社の裏金作りが鍵となると掴んだ瑠衣は、予想外の行動に出る。

    大どんでん返しはなく、意外な展開になったが、割と好きなストーリーだった。

    案山子のような風貌の探偵鳥海秋彦。
    型破りの東京地検特捜部の神川淳平。
    新たなヒーローが、出てきた。
    シリーズになるのか、楽しみ。

  • 主人公である瑠衣は警視庁捜査一課の刑事。家では父と2人暮らしで、何かと父と衝突することはあったが、父の作るベーコンエッグが大好きだった…。そんな父は長年中堅ゼネコンに勤務し現在は課長職に就いていたが、ある日同じ課長職である2人が不審な死を遂げ、さらに父も工事現場の事故で他界する。父の葬儀を終えたあと、父を含めた3人の課長職に裏金作りの嫌疑がかけられていると、東京地検特捜部の家宅捜索を受けることに…。そんな瑠衣のもとを訪れたのは私立探偵の鳥海…彼からこの件に関しての真相を知ることになった瑠衣がとった行動とは…。

    やっぱり、中山七里さんの作品は読みやすかったし面白かったです。読みながら終盤、なぜこの表紙になったのかも納得できました。ただね、いくら法で裁けないかもしれないからと言ってもなぁ…その後もそのままというのもなぁ~という感じでもあるかなって…。法で裁けないのはどうしてかが追求し、そのために必要なことを白昼のもとにさらけ出すようなストーリーのほうが好きだなぁ…と、ちょっとだけ思ってしまいました。

    • ななつさん
      かなさんはじめまして!
      フォローありがとうございます。

      中山七里先生の作品、毎作楽しく読ませていただいてます。
      こちらからもいっぱい『いい...
      かなさんはじめまして!
      フォローありがとうございます。

      中山七里先生の作品、毎作楽しく読ませていただいてます。
      こちらからもいっぱい『いいね!』させていただきます。今後ともよろしくお願いします。
      2023/04/22
    • かなさん
      ななつさん、こんばんは!
      中山七里さんの作品は読んでいて楽しいですよね。
      読み始めると夢中になって読めちゃう(^^;)
      ななつさんが今...
      ななつさん、こんばんは!
      中山七里さんの作品は読んでいて楽しいですよね。
      読み始めると夢中になって読めちゃう(^^;)
      ななつさんが今後どんな作品を読まれて
      どんな感想を持たれるのか、楽しみです(^^)/
      こちらへのいいね、ありがとうございます。
      こちらこそ、よろしくお願いします。
      2023/04/22
  • 立証できず、法では裁けない悪質犯罪者を抹殺する私刑執行人(ハングマン)の鳥海と比米倉。そして警視庁捜査一課の春原瑠衣。

    瑠衣の父親を含むヤマジ建設関係者3人が立て続けに亡くなった。殺人の線が濃厚だが証拠が見つからない。思い余った瑠衣は…。

    なお、この事件は「嗤う淑女二人」の高級ホテル宴会場での17名毒殺事件と並行して起こったことになっている。

    瑠衣がずっと逡巡し続けていたせいか、痛快感はそれほどなかったな。どんでん返しも無かった。現代版大江戸捜査網。

    新シリーズになるのかな? 鳥海と比米倉はともかく、主人公の春原瑠衣は我が儘で直情径行。刑事としての実力も足りない。あまり好きになれないキャラだけどな。

  • 私刑執行人=ハングマン
    余人をもって代えがたき人材
    無念を晴らす闇からの鉄槌
    瑠衣の正義
    怪物が怪物を喰らう
    中堅ゼネコン
    ハロウィン
    ベーコンエッグ

    社会的に葬り去れる術はないか
    爽快感というよりは、じんわりと虚しさや切なさを感じてしまう
    シリーズ化しそう
    図書館本

  • 警察官の瑠衣。父親の働く会社の同僚が立て続けに事故にあい、そして父も現場事故で亡くなる。どう考えても会社内が怪しいのに警察は積極的に動かない。そんで変わり者の探偵に依頼をし、黒幕に復讐するお話。殺し方も含め現代版必殺仕置人のような感じ。なんだろハロウィンに人混みに紛れて犯行を決行するところなどよくありがち…どっかで見たことあるような?シリーズ化を狙っているのでしょうか?

  • 中山七里さんの作品は久しぶりに読む。ハングマンとは私刑執行人、それがなぜ祝祭なのだろう。いつものように題名から、内容を見積もるが、私の見積もりは大抵ハズレだ。
    法律で裁けないけど、限りなくクロ、それってどんな状況だろう。復讐をして、祝祭というのも納得し難い。

    現代版の「仕事人」のようだ。中山七里さんの作品としては合理的で論理的というより感覚に寄っている作品だと感じた。熱い想いは、主人公の瑠衣から滲み出てくる。
    警察が動かない時は、政治絡みの作品が多い中、この作品も御多分に洩れずありきたりな感は否めない。

  • 途中までに比べて、最後の方はなんとなく急いだ展開だった気がしました。

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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