- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166607525
感想・レビュー・書評
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塩野さんの「ローマ人の物語」を3分の2ほど読み終えたのですが、いつも思うのは歴史から学ぶことは多い、と言うことです。この本は彼女が10年ほど前に書いた著書で、まだ「ローマ人の物語」が完結していない時に書かれたようです。執筆中の心境なども綴られていて興味深いのですが、なんと言っても国の在り方や政治についてなど、国際情勢を交えながら日本のリーダーたちへ物申している内容が、ローマ人の物語で再三取り上げていることに通じているので、やっぱり黙って見ているわけにはいかないのだろうと思ってしまいます。
私自身もローマ人の物語を読んでいて文章を抜き出していますが、政治家やビジネスマンには必携の書ではと常々思っていたので、この本の苦言は塩野さんなら、さもありなんと思ったのでした。
この時代のブッシュはいなくなり、アメリカはトランプへ。イギリスはEU離脱を巡り国が割れ、安倍首相は長期政権下で外交に精を出しても、日本の立ち位置はパッとせず、北朝鮮の動きに手も足も出せず、韓国とは犬猿の仲状態の現在。これを彼女はどう思っているのか気になります。この頃の首相は小泉さんでしたが、案外塩野さんが彼を評価しています。この本の筋とは離れますが、最近では息子の進次郎氏に注目している記事が雑誌にあったようなので、政治オンチの日本人にあって彼が本物のリーダーになるのか…ホント誰かいないのか…と思うのです。
それにしても、世界における日本の非力は目に見えるし、国際連合の力の低下も今じゃ歴然。国際政治におけるプレーヤーの持つ切れ味の良い剣は、5つということです。1.拒否権をもっている 2.常任理事国である 3.海外派遣も可能な軍事力 4.核をもっている 5.他国に援助も可能な経済力 。日本はこの中で一つしか持っていないのですから、力がある筈はありません。そこでどういう国を目指すのか考えるのは私たちなのですが…詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
文藝春秋連載のエッセイ集。イタリアに住む著者の視点から、日本への鋭い批判、提言が面白い。印象に残った記述を記す。
「ユリウス・カエサルは、言っている。「人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。多くの人は、見たいと思う現実しか見ていない」
「なぜか、危機の時代は、指導者が頻繁に変わる。首をすげ代えれば、危機も打開できるかと、人々は夢見るのであろうか。だがこれは、夢であって現実ではない」
「情報に接する時間を少し節約して、その分を考えることにあててはいかが」 -
いつもながらの爽快な日本へのメッセージ。
外から見るからこそ見える、日本人の不甲斐なさ。
著者にはこれからも、どんどん日本への提言をお願いしたい。 -
イタリア在住の執筆家。
文藝春秋に連載されたエッセイをまとめたもの。
海外からみた日本の状況をローマの歴史や錯綜する欧米の歴史などを踏まえ、提言・分析している内容。
客観的に分析しているので内容は信用できる。
カエサルの言葉
人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。
多くの人は、見たいと思う現実しか見ていない。
これは、EU離脱問題の英国を見誤った原因を端的に表しているように思える。 -
週刊誌に連載されたエッセイをまとめた1冊なので、全体を通してのメッセージがあるわけではなく、本書のタイトルには少し違和感もある。ただ、各エッセイともに、ローマを中心とした歴史をベースに日本の現状をみると、こういうふうに感じられる、という姿勢がベースになっていて、なるほど、という鋭い指摘も多い。エッセイのまとめと捉えて楽しむとよいと感じました。
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思考力に惚れ惚れする。
現在の世界情勢を、古代ローマを参考にしながら読み解いているのが面白い。
文章執筆への姿勢も、非常に参考になる。 -
面白かった…!!
はっきりとした物言いが小気味良い。
現代と歴史を有機的に結びつけた分析は説得力がある。
色々と、覚えておきたいと思ったことが多かった。
特に最近日本の働き方について考えることが多いものだから、自尊心と職業の関係のところでは、頭を抱えてしまった。
この本が出版されてから、4年が経とうというのになにかが良くなっている実感があまり持てないのだ。
考え続けたい。 -
軍事力の話から入る。世界に冷遇されてる日本。
大国の間に立つ微妙なポジショニングを強かさをもってして
絶妙なポジショニングにしなさいという意見には賛同できる。
ローマ史から大国が長続きする訳を紐解く。
日本の宗教観など、あらゆる知識を有機的に
政治や外交という事象に結びつけられていると思う。 -
ちょいと古くなってますが,ピリッとしてました。
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ローマの歴史と日本の政治を随時比較して、説明しています。
面白かったです。