人間の叡智 (文春新書)

  • 文藝春秋 (2012年7月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (232ページ) / ISBN・EAN: 9784166608690

作品紹介・あらすじ

なぜあなたの仕事はつらく、給料は上がらないのか? TPP加盟はほんとうに悪なのか? 橋下徹氏にこの国をゆだねるべきか? こうした問題を解くキーワードが「新・帝国主義」です。いまや米露中、EUと中東は、「新・帝国主義」によって世界を再編し、国家のエゴ剥き出しで戦っています。

今こそ「帝国主義」という言葉の悪魔祓いをし、現状を冷静に認識するときです。食うか食われるかの帝国主義的外交ゲームの中で、少なくとも食われないようにすること。その武器になるのが、「人間の叡智」です。

ハイレベルな世界情勢をわかりやすく語りおろした、佐藤優氏、渾身の一冊。



●第1章 なぜあなたの仕事はつらいのか

給料が上がらないわけ/3・11 国家が消えた瞬間/本質が見えてないTPP反対論/保護主義と移民の運命

●第2章 今、世界はどうなっているか

何に怒っているのか不明な巨竜・中国/曖昧な帝国・イギリスに学べ/「プーチン皇帝」と北方領土返還

●第3章 ハルマゲドンを信じている人々

終末思想のイラン大統領が核のボタンを押す日/北朝鮮とイスラエルの真意/新しい「東西対立」/とんでもない鳩山イラン訪問/日本は核武装すべきか

●第4章 『資本論』で人生が開ける

日米安保という「国体」/エリート層の崩壊と「脱原発」/宇野経済学で貨幣と労働がみえる/ゼロ成長社会脱出の処方箋

●第5章 ファシズムと橋下徹

ハシズムとファシズム/「家政婦のミタ」が示すもの/実は独裁的な野田政権/物語の力とアイロニー

●第6章 どうやって善く生きるか

二つの古典をもて/「心が折れてしまう」人へ/マネー教育をしてはいけない/東大秋入学は国家の生存本能

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

現代社会の複雑な問題を鋭く分析し、冷静な視点から解決策を提示する一冊です。著者は「新・帝国主義」という視点を通じて、仕事の辛さや国際情勢の変化について深く掘り下げます。特に、国家のエゴやエリート層の問...

感想・レビュー・書評

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  • 入ってくる情報の質が下がったから、具体論からだんだん抽象論が多くなってきた。それでも過去の遺産が物を言って、まだまだ読ませる。そろそろ現場に戻してあげないと。

  • 英知を求める身としてこのタイトルを冠する佐藤優の本は読まないわけにはいかない、と手に取った。

    佐藤優氏は時事と、その読み解きのために読んだ(読んでいる)本を結び合わせて新書の形で本を出すことが多いため、時を経て読むと答え合わせをするようにも読める。ただし時事理解のアナロジーとして紹介される本は多くが古典なので時代が経ても参考になることに変わりはない。その点で学ぶ点は多く、賞味期限切れのような印象は受けなかった。

    本書の時代背景ではまだ東日本大震災と福島原発事故が収束しきらず、民主党が政権を取っていて橋本府知事が持てはやされていた。そして中国はまだ拡大途中で、イランの動向に注視する時期であった。

    その後と言えば自民党が政権奪回し、トランプショックがあり、ブレグジットがあり、コロナ禍、東京オリンピック、安倍首相暗殺事件、ロシア-ウクライナ戦争、イスラエル-ガザ戦争が起きている。10年そこらでこれだけのビッグニュースが起き続けている。

    新・帝国主義のフレームワークはこの過去12年を経てもまだリアルタイムの情勢を把握するのに有効だ。資本主義や新自由主義の暴走・拡大に対抗する術なり思考法なりも然り。ということは逆説的に、この12年間、本書が出版され重要な知恵が目の前にあったのに、状況を覆すだけのパワーにはなり得なかったとも受け取れる。

    本を読む人口は、本書では佐藤優氏の肌感覚で人口の5%程度と述べられているが、実際の統計では日本では継続して約半数の人が月に1冊以上を読んでいることが分かっている。
    5%程度なのは、月に10冊近く読むかなりの読書家である。
    小中高生は大学生・社会人より多くの割合本を読む。そして読む量も多い。しかし大半が小説である。

    本書では小説を読むことも重要であると薦めている。私としてもそれは非常に同感。ただし、当然娯楽小説だけでは不充分で、やはり古典なり哲学書なり、なんなら技術書や実用書も併せて読むべきだと思う。

    日本人の平均読書量は長年横ばいだ。となると、どれだけ啓蒙しようと今後も読書量は大きくは変わらないと想定できる。
    となれば、社会を変えるパワーは読書人層による影響度にかかってくる。
    本を多く読む各層のエリートが、ストーリーを語り、読まない層を動かすほどの影響を及ぼす必要があるのだろう。

    読む力はあくまでベースである。その上で、実行に活かさねばならない。
    これは仕事はもちろん、他者との関係性であったり、生きるための指針であったり、そういった日常の言動に対して活かすということでもある。
    自分の日常の言動、所作に反映させてこそ草の根の変革は始まるし、その集積が国を潤させる。

    最近読んだ本からの影響で今自分は「美意識」のような、再現可能な論理とは異なる、情緒や直観的な部分に再度目を向けている。
    これは本書でいうところの、同朋意識を持つ、中間団体を守る、どう死ぬかを考える、各人目の前の仕事に励むといった通底するメッセージにも重なってくる。
    多層的・複合的な目線での日本人としてのアイデンティティを持ち、美意識、倫理感、道徳心を持ち、アクションを重ねるというベクトルを、大事にしていきたい。

  • 帝国をつくるには、多様な民族を統合するための神話が必要になるのですが、その神話が見えない。(49ページ)

    要は人格統合の話と似てるってことなんだと思った。国と人。大きさが違うだけで共通点はあるんだな。
    いつも読みやすいから読んでいる。自分が同じ場所からしか物事を見ていないというのがよくわかる。出版されたときよりも時間が経っているので、変化はあるけどそれでも、あれはそういうことだったのか…というのが解説されているから助かる。

  • (2013/4/18)
    ロシア通で鈴木宗雄さんと組んでソ連に近づきすぎて、ソ連ロシアと距離を置きたい国内勢力にさされた佐藤優さん。
    頭がいい方なのだろう。
    話がどんどん進む。
    正直ついていけない。

    かろうじて2つほどおさえることが出来た。

    一つは、帝国主義から資本主義にかわるなど国の体制がかわるのは、
    別に反省してそうなったわけではなく、そうしないと具合が悪いから変わるのだということ。
    国に善意などない、というところかと。

    もう一つは、今の日本のエリートは単に20歳前後の記憶力がいいだけで、
    アカデミックさを持っていない。本来のインテリではない。
    その程度のレベルで官僚になるから間違いを認めず、上司が国政の判断を誤る。
    これはすっきりする考え。
    佐藤氏によれば、読書人口は人口の5%。5から600百万人。私も入れてもらってもいいかな。
    マラソンもどうにか市民ランナーとしては上位10%には入ってそうだから、
    文武両道、いい線行ってるかなと、関係ないけど自画自賛。

    橋下、小沢、前原、野田、天皇制、このあたりの批評もあるなど、
    大きくは日本全体を語る本ではあったけれど、全体的には私にはわかりにくかったのでした。

    第1章 なぜあなたの仕事はつらいのか
    第2章 今、世界はどうなっているのか
    第3章 ハルマゲドンを信じている人々
    第4章 国体、資本論、エリート
    第5章 橋下徹はファシストか
    第6章 いかに叡智に近づくか

  • 2023/11/12

  • 「新・帝国主義」の世界でどうやって生きていくのか、その生き抜くために必要は「武器」を身につけるには、という本です。
    具体的なハックのようなものは少なく世界情勢の現状分析が多いのですが、インテリジェンスオフィサー佐藤優氏の現状分析についてはある程度信頼をおいているので、非常にためになりました。

    いままで疎かにしていた「古典を2冊読む」「小説で追体験をする」について興味が出てきた。

    【なるほどな点】
    ・つまり、今の不況や雇用の問題は、日本人の賃金が(同じ作業をしている)中国人の賃金と同じまでに下がらないと解決しないことになります。(P14)
    ・新帝国主義の世界では、大国間の戦争は防げるでしょうが、帝国主義の時代と同様国家の生存本能がむき出しになってきます。相手国の立場などを考えずに、自国の利益を最大限に主張する。相手が怯んで、国際社会が沈黙すれば、横車を押す。そうして権益を拡大して行く。(P24)
    ・TPPは新・帝国主義の時代において、アメリカと日本が提携して中国との間に壁を作る「枠組み」として浮上してきたのです。(P32)
    ・中国はネーションビルディング(民族形成)のため、日本を敵のイメージとして利用している。(P44)
    ・民意があの国をやっつけろと言って、その民意に反することができないのだったら戦争を防げない。(中略)ところが「王」がいれば民意がなんと言おうと王が決める、(中略)問題は解決するわけです。(P50)
    →その点でいえば、支那では民意は関係ないわけだし、日中戦争の危険性は少ないのだろう。
    ・アメリカからすれば、中国が航空母艦から飛行機で沖縄を爆撃できるならば、海兵隊をおいておくには近すぎるので危険です。そのときは普天間基地も、沖縄県外に移設される可能性が相当に高まります。(P54)
    ・民主主義の起源は、良き者を選ぶというより、悪しき者を排除することなのです。(P65)
    ・各国が自国の利益をむき出しに帝国主義の論理で行動し、そこにゲームのルールがわかっていない中華帝国やハルマゲドンを信じているペルシャ帝国が加わっているのが、いま、私たちが生きている世界です。(P124)
    ・記憶力だけが優れた、試験勉強エリートに頼っていたのでは、日本はもはや国家として生き延びることができないのです。(P124)
    ・私のいうエリートとは、いわゆる偏差値エリートのことではありません。自分のいる場所を客観的に認識して、それをきちんと言語で説明できるのがエリートの条件です。人間の叡智を備えた人びちのことです。(P157)
    ・帝国主義は収奪するために常に「外部」を創りだしていかないといけない。(P170)
    ・ファシズムとは、味方を束ねて動員型政治を展開するところに特徴があります。(その点で橋本氏の政治手法をファシズム的「ハシズム」というのは間違っている。)
    ・世界が帝国主義化しているなかで、脱原発は言えても脱電力は本当に可能なのか。(P179)
    →帝国主義化することにより、外国からのエネルギーを期待する脱原発後の電力政策は可能なのか。
    ・東京の脱原発集会では、集まっただけで何の要求も突きつけてこなかったので、野田政権は原発再稼働ができると判断したのでしょう。(P182要)
    ・合意事項は守る、約束は守るというのがいままでの国対政治、日本の政治のルールでした。ところが菅直人前首相が登場して、約束はしたけど約束は守るとは約束していない、ルールを導入したわけです。(P184)
    ・時代の対で読まれて、常に一定の読者がある知的な遺産には、それなりの道筋、理屈が備わっています。(P209)

    【参考図書】
    ・「父・金正日と私 金正男独占告白」(五味洋治)
    ・「ファウスト」(ゲーテ)
    ・「ガルガンチュアとパンタグリュエル」
    ・「ローマ帝国衰亡史」

  • 元外交官の佐藤優のによる一冊。
    2012年初版発行。

    内容は現代日本においてどのように生きていくかというもの。
    わかりにくい個所もあったが、勉強になった。

  • 政治
    社会

  • 元外務官僚 佐藤優による、現在の社会「新・帝国主義」について書かれた本。国際関係論、哲学、歴史、情報管理に詳しい著者だけあって、説得力ある内容となっている。著者のものの見方は鋭い。
    「旧来の帝国主義も、(現在の)新・帝国主義も「食うか、食われるか」の弱肉強食を原理とする」p7
    「新・帝国主義という国際環境の中で、困難な国内状況に直面しているにもかかわらず、日本人も日本国家も生き残らなければならない」p8
    「神学の世界には「総合知に対立する博識」という格言がある。断片的な知識をいくらたくさん持っていても、それは叡智にはならないということだ。断片的な知識をいかにつなげて「物語」にするかが、有識者の課題と私は考える。ここでもストーリーテラーとしての能力が必要となる」p9
    「日本で工場が閉鎖され失業者が出ることは、中国やタイやベトナムなどで何倍かの労働者が雇われることを意味します」p14
    「いまの不況や雇用の問題は、日本人の賃金が中国人の賃金と同じまでに下がらないと解決しないことになります」p14
    「国家というのは、国家自身の生き残りを考え、そのためには何でもするものです」p21
    「(帝国主義とは)国内の市場が狭くなって投資の可能性に限界がきたときに外国へ出て行き、富を確保することによって生き残るという重商主義の延長」p23
    「世界が、弱肉強食の帝国主義的傾向を強めていることを冷静に認識しましょう。帝国主義国はまず相手のことなど考えずに、自国の利益を拡大していきます。相手国が激しく反発し、国際社会からも「いくらなんでもやり過ぎだ」と顰蹙を買う場合には、帝国主義国は協調に転じます。こうした食うか食われるかの帝国主義的外交ゲームの中で、日本が少なくとも食われないようにすることが、政治家の責務なのです。そこにしか、日本とあなたが生き延びる道はありません」p40
    「(核保有について)世界の核不拡散体制を崩す最初の旗を振る必要はないという感覚が私にはあります」p122
    「各国が自国の利益むきだしに帝国主義の論理で行動し、そこにゲームのルールがわかっていない中華帝国や、ハルマゲドンを信じているペルシャ帝国が加わっているのが、今、私たちが生きている世界です」p124
    「(戦後の考え方(3つの主義))合理主義:非合理な精神主義が日本をおかしくした、生命至上主義:命よりも国家が大事というイデオロギーが無謀な戦いに導いた、個人主義:国家や組織が個人を押さえつけないといけないという発想が無謀な戦争を起こした。この3つの主義が絡まり合って戦後日本のあり方が基本的に決まっていった」p126
    「(城内実衆院議員)天皇は国の象徴であった方が、元首であるより超越的でいい」p135
    「衆愚政治になるというのは、言い換えればエリートの否定です。ポピュリズムはエリートを認めない。だから専門知識の欠如した民衆が直接に専門的領域に入ることができると思われてしまう」p137
    「新自由主義の弱肉強食の原理は、最強国に有利」p177
    「現代でも日常的に読書する人間は特殊な階級に属しているという自己意識を持つ必要があると思います。その人たちは学歴とか職業とか社会的地位に関係なく共通の言語を持っている。そしてその人たちによって、世の中は変わっていくと思うのです」p206
    「東大の学生は真面目で優秀です。しかし、言われたことをそつなくこなすばかりで、授業をさぼって好きな小説を読んだり映画を観たり、自分のやりたい勉強をやる学生が少なくなった」p220
    「ゼロ成長を前提に成熟社会をなどという議論がありますが、ゼロ成長で安定した社会を求めるのは無理です」p223

  • 【由来】
    ・amazonで鈴木宗男関連の書籍から

    【期待したもの】
    ・TPPを含んだ今の日本を取り巻く状況についての視点が獲得できれば。ただし出版は2012年なので、それであればより最近の佐藤優本が読みたい。

    【ノート】
    ・古典は2つ以上持つとよい。それはやはり長い時間、支持され続けてきたものには、それだけの含蓄があるということ。例えばファウスト。ちなみに、「ファウスト」と言えば、20年以上も前にたまたま読んだ「世界」の読書特集のようなところで、誰かが挙げてたのを、なぜか覚えている。

  • "佐藤優さんがわれわれのレベルに合わせて現在の社会を語ってくれているもの。
    相互に理解をするには、互いの知識レベルが近くないと中々理解し合えない。優しく書いているとはいえ、手ごわい本である。
    佐藤さんと同じレベルに近づける気分になれる本といったほうがよいかも。
    他国、他民族を理解するには、歴史、宗教、文化など多面的にとらえたうえで、相手がどんなふうに考えて行動するかを捕まえる必要がある。
    今回とても勉強になったのが、イランという国がどんな思想を持っているかを学べた点。
    世界を理解するには、宗教、哲学、歴史を肌感覚として理解していないといけないこと。"

  • タイトルがあれだけど、期待を裏切らない。

  • オーディオブックで聞き流してしまったため、深く、面白そうな内容をキャッチできずに聞き終わってしまいました。
    もう一度紙の本で読み直す必要があるなぁ、と感じています。
    帝国主義、ポピュリズム、マルクス、イデオロギー、リベラル・・・用語として知ってはいても、しっかり理解し自分で使いこなせるレベルになっていない言葉や概念が多く出てきて、片手間に聞き流せる内容ではありませんでした。
    もっともっと勉強が必要。勉強して、また読み直そう、と思った一冊。
    これでも、この著者の著作の中では、わかりやすく書かれた本だということ。頭の良さが、次元が違う感じです。

  • 古典、物語のよる軸

  • 現代は「新・帝国主義」の時代だという立場から、国際政治のさまざまな問題を分かりやすい言葉で論じている本です。

    著者は「はじめに」で、これまで刊行してきた本に対して「難しい」という声があったことを考慮し、「今回は、思い切って語り下しで、わかりやすい本を作ることにした」と述べています。ただ、著者の本の一番の魅力は、著者自身の教養の背骨となっているキリスト教神学、ナショナリズム、マルクス主義のトリアーデが、現代の状況を見据えながら掘り下げられていくところにあるのではないかと思っており、そうした掘り下げがほとんどなされていない本書には、あまりおもしろさを感じませんでした。

    著者の主張する「新・帝国主義」とは、21世紀においては従来の国民国家の枠を超えた「帝国」の勢力均衡に基づく国際政治の秩序が形成されつつあるというもので、にもかかわらず、日本ではそうした認識が根本的に欠如していると著者は批判しています。柄谷行人も近年文明論的な枠組みに基づく思想を展開していて、著者と立場を異にしつつも、呼応するところがあるのはおもしろいと感じました。ただ私自身は、こうした文明論的な議論の枠組みにはまだなじめずにいます。

  • 佐藤さんの本をまともに読むのは初めてだったけど、語り下ろし形式だった本書を手に取れたのは良かったかも。
    わかりやすく、また知識のあまりの豊富さに圧倒されながら、最後まで楽しく読ませていただいた。
    いくら最新ニュースを追ったからといって、歴史という教養が足りないと、その掘り下げは浅くなる。
    上っ面だけのコメントの軽さを実感させてくれるような本だった。

  • タイトルがすごいんだけど、内容は現代世界の読み解き方と生き残り方、みたいな本。
    ご本人が子どもにも日本語を学ぶ外国人にも分かるように書いた、と言うだけあって、分かり易い…比較的。
    心から本当にすごいと思うのは、大量に本を読んでてなおかつ自分のものにしてるとこ。
    本書の中でもぽんぽんいろんな本が(しかも読みづらい古典的な本が)引用されて出てくるんだけど、ちゃんと氏の説を補強する役割として出てくる。その本の内容に引っ張られたり振り回されたりしない。
    本ッ当に頭の良い人なんだなあ、とつくづく。
    こういう現代論のサガで、取り上げられてる出来事がちょっと古いので、今の状況をどう思ってるのか聞いてみたい。

  • 2015

  • [世を生きるには]外交から芸能に至るまで幅広く執筆活動を手がけている元外務省主任分析官の佐藤優が、一般の読者を想定して書き記した今日的日本論であり、今日的文明論。急速にその姿を変えつつある世界の中で国家や個人が生き残る術を説いた作品です。題名の厳かさにひるんでしまいそうですが、記述はわかりやすさに重きを置いているように感じられました。


    新書とは思えない程の情報の濃密さ(量というのとはちょっと異なるものです)にまたまた驚かされました。近年の動きを基にしながら、その深部で進む世界規模での構造の転換を救いとっていくあたりは非常に読み応えがあります。その見解に賛否はあると思いますが、一流のインテリジェンスを有する人物の語る言葉として傾聴に十分値するエッセンスが詰まっているように感じました。


    上述したとおり、本書はわかりやすさを心がけて作成されており、それが結果として佐藤氏の考えを端的にまとめあげる効果をあげているため、「執筆活動が盛んな佐藤氏のどの著作から手をつければよいかよくわからない」という方にもオススメできる著作です。でもちゃんと濃密な読書体験をさせてくれるあたりが佐藤氏の作品から離れられない理由なんですよねぇ。

    〜結局、人間はナショナリズムとか、啓蒙の思想、人権の思想、そういうもので動くのだと思うのです。......ただし、それらの思想は全部まやかしなのです。まやかしだとわかっている人たちが、承知の上でそれらを使っていかにイメージ操作をしていくかというのが課題です。〜

    この人の本を読むとなんだかはっぱをかけられているような気に☆5つ

  • 日本も帝国。
    古典を読むべし。

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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