シャルリとは誰か? 人種差別と没落する西欧 ((文春新書))

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166610549

感想・レビュー・書評

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  • タイトルがキャッチーなので気軽に読み始めたら、中身ががっつりお勉強テイストだったw
    このテイスト、大学卒業以来・・・wがんばるw

  • 陳腐なシャルリ事件解説書かと思ったらかなり硬派なフランス社会論だった。フランス一般の捉え方に異を唱えるタイプの本なので最初の一冊には向いていない。ただ、読む価値はある。
    そもそもライシテの歴史を踏まえた「俺たちが政教分離を守っているのだからお前らも守れ」という主張が正しいのかを検証し、またデモ参加者の地域が都市部に偏っていることを論証する。(フランスでは都市と地方の格差が深刻である)
    とはいえ、新書の紙幅上仕方ないが、反EUなど従来の主張を繰り返して紙幅を費やし、かつアプリオリにされている部分が多く論証が足りておらず、また主として人口統計に依存した切り口では物足りない部分が多いため、全体としてざっくりとし過ぎている印象が強い。

  • フランス人は面倒くさいと良くわかった

  • あまりに自分には読みづらいため、読んだことにする。

  • 2017/12/19読了
    2015/1に発生したシャルリ社襲撃事件に端を発した「私はシャルリ」デモに対する筆者の違和感を通じて、現在のフランス、ヨーロッパ、EUに潜む差別意識を分析した本。
    ・文章が読み辛い
    他の方も書いているが、文章が理解し辛い。フランス語だからなのか、訳がイマイチなのか、二重否定の多用や、回りくどい文が多く、意図を読み取るのに苦労する
    ・フランスの歴史/政治的背景の知識が必要
    フランス内の地域毎に歴史/政治的背景を絡めて分析を行なっているので日本人には辛い。例としては極端だが、フランス人に戊辰戦争における薩長土肥と会津の確執について理解した上で現代日本の政治的な分析を理解しろ、というレベル。加えてフランス内のカソリックとプロテスタントの関係性や宗教心も絡むので大変。
    ・ドイツ=EUは悪であるの前提
    筆者の前著のドイツ帝国が-は未読だが筆者がドイツ=EUが嫌いなのはよく分かる。今やメルケルはドイツ国内の政治で苦労する有様なのに(この辺出版時期と読んだ時期のズレがある)。
    ・多元的分析
    フランス内の地域/教育レベル/宗教/風土など多元的分析を行なっているので、シャルリ運動の本質がよく分かる。上記のハードルがきついが。

    最近、特に東欧で右翼(ナショナリズムを煽る勢力という意味での)が伸長しているが、EU=汎ヨーロッパに憧れつつも平等主義が抱える差別意識が噴き出していると考えると分析の一部は当たっていると思う。なにより、ファナティックな流れに逆らって上梓した辺り、フランス人の面目躍如と言えるだろう。

  • フランスの風刺週刊誌「シャルリ・エブド」が武装した犯人に襲撃され
    たのは2015年1月7日。そして1月11日、フランス各地では犠牲者を
    追悼する為のデモ行進が行われた。参加者は300万人とも400万人
    とも言われる。

    言論機関への襲撃はショックだったし、各国首脳が参加したパリの
    デモの様子は壮観でさえあった。だが、最初の衝撃の波がおさまり
    はじめると「何かが違う」と感じるようになった。

    それはインターネット上に溢れる「Je Suis Charlie(私はシャルリ)」の
    スローガンと、フランスが掲げている「自由・平等・博愛」の間に矛盾が
    あるのではないかと思ったからだ。

    「私はシャルリ」と表明することが、犠牲者への共鳴となり、言論・表現
    の自由は暴力には屈しないというシンボルとなったのだろうが、「シャル
    リ・エブド」がムハマンドを風刺することで、自分の信じる宗教や文化を
    侮辱されたと感じた人もいたのではないか。

    なので、タイトルに惹かれて本書を手の取ったのだが私には難解で
    あった。だって、フランスの政治と言えばフランス革命くらいしか
    分からないのだもの。それも漫画『ベルサイユのばら』が参考書だ
    ものな。

    租借できないままに理解したところでは、実は表現の自由を擁護する
    為のデモではなく、世界各国が少なからず陥っている不平等社会を
    容認する為のデモであったのだ。

    著者はデモ参加者の社会階級の統計を利用し、参加者には中産階級
    以上が多くを占め、労働者階級の少なさを指摘している。不平等主義
    がフランスのみならずEUを席巻し、イスラム教徒に対する差別的な行動
    がイスラム恐怖症を引き起こしている。

    だからか。「シャルリ・エブド」襲撃事件は大きく取り上げられるのに、
    ユダヤ人商店襲撃事件はまるで「なかった」ことになってしまっている。

    「シャルリ・エブド」襲撃事件があった同じ年の11月。パリ同時多発テロ
    が起きた。「私はシャルリ」のスローガンのように、この事件の後には
    SNSのプロフィール画像にフランス国旗を重ねている人を多く見かけた。

    そして、2016年3月にベルギーの首都ブリュッセルでの連続テロの際に
    はベルギー国旗が同じようにSNSに溢れた。

    フランス国旗やベルギー国旗を掲げる人は多いのに、シリアやイラク、
    アフガニスタンの国旗を掲げる人は何故、いないのだろう。テロが起き
    ているはヨーロッパだけではないのに。

    ここにも無意識的な差別が表れていないだろうか。イスラム世界で
    イスラム教徒がテロの犠牲になっても、私たちには関係ない…と。

    尚、「シャルリ・エブド」襲撃事件ではイスラム教徒の警察官も犠牲に
    なっていることを付け加えておく。だから、私は「私はシャルリ」とは
    言えないし、フランス国旗も掲げられない。勿論、ベルギー国旗もだ。

    もう少し私の頭が良ければ、本書から読み取れることがもっと多く
    あったと思うんだ。自分の頭の出来が残念。

    翻訳の仕方もあるのかもしれないが、フランス人の書く文章は饒舌
    だね。

  • 前提とすべき知識が多すぎて、そして、
    それに加えて、翻訳が難解なこともあって、
    いまいち頭に入ってこなかった・・・

    とにかく、著者の主張がフランス国内において、
    主流ではなく、抑圧されていたことだけはわかった。

  • 問題は英国…、「ドイツ帝国」が…に比べて読みにくく、なかなか読み進まないが、この本が最も本質についてしっかり書いてあるようなことが問題は英国…に書かれていたので、今一度トライしてみたいと思う。

  • 序章の前の「日本の読者へ」だけは読みやすかった。私もシャルリエブドは大嫌いだしテロのあと、デモはよいとしても深く考えずに「私はシャルリ」とか読者が増えたとかかなり違和感あった。多くの新しい読者は低劣な内容にすぐ離れたと思うけど。。。作者がこの事態に疑問を投げかけ、そのとき遠く離れた日本のメディアが作者のより所になった、足場になったのは嬉しい。
    本文は難しいことを難しく書いて、こんなの理解できるのどこの学者だよというかんじ。多くの人に理解される努力をしなければ書く意味ないと思うのだけど。

  • そのうち再読したい。

    フランスの知識ないから、いまいち理解できず。
    文体が私には読みづらく。

著者プロフィール

1951年フランス生まれ。歴史人口学者。パリ政治学院修了、ケンブリッジ大学歴史学博士。現在はフランス国立人口統計学研究所(INED)所属。家族制度や識字率、出生率などにもとづき、現代政治や国際社会を独自の視点から分析する。おもな著書に、『帝国以後』『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』などがある。

「2020年 『エマニュエル・トッドの思考地図』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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