新装版 竜馬がゆく (5) (文春文庫) (文春文庫 し 1-71)
- 文藝春秋 (1998年10月9日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167105716
作品紹介・あらすじ
池田屋ノ変、蛤御門ノ変と血なまぐさい事件が続き、時勢は急速に緊迫する。しかし幕府の屋台骨はゆるんだようにも見えない。まだ時期が早すぎるのだ…次々死んでゆく同志を想い、竜馬は暗涙にむせんだ。竜馬も窮迫した。心血を注いだ神戸海軍塾が幕府の手で解散させられてしまい、かれの壮大な計画も無に帰してしまった。
感想・レビュー・書評
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【感想】
長編だから仕方ないが、些か中弛みが・・・
勿論、物語自体は面白い。
ただ、個人的に坂本竜馬の「無敵のヒーロー感」がどうしても鼻についてしまう・・・笑
何故そんなにも余裕があるのか、何故そこまで達観して物事を見抜く事ができるのか。
坂本竜馬がこの時点ですでに無敵すぎて、もはや現実感がやや喪失しちゃっている気がしちゃう(笑)
また、「おりょう」の人間性というか、自分勝手さが個人的にはかなり嫌いだな(笑)
こんなウザイ女性のどこに竜馬は惹かれたの??
おりょうとお登勢様、お田鶴様の掛け合いのシーンなんて、一切興味がないなぁ・・・・
あと、これは決して嫌ではないのだけど、この時期の西郷隆盛のレベルが高すぎてヤバイ(笑)
もはや神様クラス。
それだけに、司馬遼太郎の作品でこの時期の西郷隆盛の人生全体にフォーカスした作品がないのが残念だなぁ。
「翔ぶが如く」の西郷は、個の時期と比べてスッカリ腑抜けになってしまった西郷なので、物足りない・・・
いちエンターテイメントとしては、「竜馬がゆく」よりも「龍馬伝」のほうが好きだな~。
(清河八郎やお田鶴様など、主要人物がちょこちょこ抜けているのが玉にキズだけど)
【あらすじ】
池田屋ノ変、蛤御門ノ変と血なまぐさい事件が続き、時勢は急速に緊迫するが、幕府の屋台骨はゆるんだように見えない。
つぎつぎ死んでゆく同志をおもい、竜馬は暗涙にむせぶ。
そして、自身にも危機が迫る。心血を注いだ神戸海軍塾が幕府の手で解散させられてしまった。
【引用】
1.竜馬の眼さきは長くなった。いま、五尺の体一つが死んだところで何になるか。
(わずか百や二百の浪士の手で、三百年の幕府が倒れるはずがない)
成らぬことは成らぬ、と竜馬は思った。成るには時の勢いというものが要る。
(今は、力を培養する時だ。その時機を辛抱できぬのは男ではない)
2.維新(これあらた)
池田屋の変の直前、熊本人の宮部。
「詩経の項に維新(これあらた)なり、という言葉がある。維新回天の道はまだまだ遠い。我々が死に、次に誰かが死ぬ。
坂本くんのごとき人は、それをまとめて完成させてくれる人だろう。まだまだ残しておくべき人物だ」
3.外交能力のなさは日本人の欠点とされているが、古来の薩摩人に限っては、まるで異人種ではないかと思われるほど外交能力に満ちていた。
薩摩藩の外交の最終目的は、まずここで幕府の力を借りて長州を討ち、それとは別に捕虜を優遇してのちに長州と手を握り、幕府を倒すときの布石をしておこうというのである。
4.「命も要らず、名も要らず、官位も金も要らぬ人は、始末に困るものなり。この始末に困る人ならでは、艱難(かんなん)を共にして国家の大業は成し得らぬものなり」
西郷の人物像はわからない
西郷は「敬天愛人」という言葉を好んだが、これほど私心のない男はなかった。
若い頃から「私心を除いて大事を成す」ということを自分の理想像とし、必死に自己を教育し、ついに中年にいたって殆どそれに近い人間ができた。
【メモ】
竜馬がゆく 5
p52
・今は、力を培養する時だ。その時機を辛抱できぬのは男ではない
海軍塾は、崩壊の危機にある。
京都の志士連中がやってきて、古高俊太郎らの京都蜂起への参加を塾生に説いたのだ。
ひと昔前の竜馬なら、一剣をひっつかんで京へ馳せ登っていたかもしれない。そういう快挙のためにこそ、国もとを脱藩してきたではないか。
が、竜馬の眼さきは長くなった。
いま、五尺の体一つが死んだところで何になるか。
(わずか百や二百の浪士の手で、三百年の幕府が倒れるはずがない)
成らぬことは成らぬ、と竜馬は思った。成るには時の勢いというものが要る。
(今は、力を培養する時だ。その時機を辛抱できぬのは男ではない)
p102
・維新(これあらた)
池田屋の変の直前、熊本人の宮部。
「北添くん。詩経の項に維新(これあらた)なり、という言葉がある。維新回天の道はまだまだ遠い。我々が死に、次に誰かが死ぬ。坂本くんのごとき人は、それをまとめて完成させてくれる人だろう。まだまだ残しておくべき人物だ」
p209
西郷は、長州嫌いの幕府や朝廷でさえ肝を冷やすほどの「長州撲滅論者」である。
そのくせ、憎んでいない証拠に、蛤御門の戦いで獲た長州人を薩摩藩邸に収容し、客人をもてなすような優遇をして、密かに長州へ送り返している。
外交能力のなさは日本人の欠点とされているが、古来の薩摩人に限っては、まるで異人種ではないかと思われるほど外交能力に満ちていた。
薩摩藩の外交の最終目的は、まずここで幕府の力を借りて長州を討ち、それとは別に捕虜を優遇してのちに長州と手を握り、幕府を倒すときの布石をしておこうというのである。
p265
・西郷の人物像はわからない
西郷は「敬天愛人」という言葉を好んだが、これほど私心のない男はなかった。
若い頃から「私心を除いて大事を成す」ということを自分の理想像とし、必死に自己を教育し、ついに中年にいたって殆どそれに近い人間ができた。
天性によるだろうが、そういう鍛錬によって、異常なばかりに人を惹きつける人格が出来上がった。
この異常な吸引力が彼の原動力となり、彼のためには命も要らぬという人間が群らがって集まり、それが大集団となり、ついには薩摩藩を動かして維新が完成した。
「命も要らず、名も要らず、官位も金も要らぬ人は、始末に困るものなり。この始末に困る人ならでは、艱難(かんなん)を共にして国家の大業は成し得らぬものなり」 -
「古高俊太郎」とでてきた瞬間、その後の悲劇がばーっと頭を駆け巡って、胸が張り裂けそうになった。
前巻同様、ぜんぶが今につながってると思うから、いろいろ切なくなるんだろうな。
わたしのなかでは源平や戦国時代は完全に歴史だけど、幕末明治はまだまだ近代に近いのかもしれない。
それにしても、お田鶴さまと おりょうの対面は蛇足でしょう。
ロマンス要素も大事だけどさ。
ちょっとでいいんだよ。 -
▼四巻から引き続いて、「竜馬はあんまり活躍しないけど、時代は大激動」という「司馬講談版、幕末激動列伝物語」ですね。竜馬はあんまりこの巻では「ゆく」って感じじゃないです。うろうろしています。
▼「燃えよ剣」を書いた人ですから。新選組にも愛着はあるので、池田屋の変を被害者の側から書くにせよ、その語り口は実に融通無碍自由自在です。
▼それにしても、まあ歴史上の風雲児とか言われる人はみんなそうですが、本当に表舞台で活躍したのって、2年とか、そういう場合が多いんですよね。そう考えるとビートルズですら長命。 -
池田屋ノ変、蛤御門ノ変と多くの血が流れる事件が起き、神戸海軍塾がその流れもあり解散させられたりと激動。西郷隆盛と坂本龍馬が初めての出会い。後半戦へ向け更に盛り上がって来ました。龍馬自体も命を狙われたりと気が抜けません。
久坂玄瑞、来島又兵衛等が好きな登場人物。
おりょうも漸く、龍馬と結ばれた。名作です。 -
全8巻の物語もここからが後半の折り返し。
長州が半分、次いで薩摩、竜馬の話という感じ。
長州が無念の大敗を喫し、血生臭さが増していく。
竜馬は、勝海舟の神戸海軍塾の解散、西郷との出会いを経て、やがて会社の設立を思い描いていく。
長州の池田屋ノ変など、重暗い話が続くなか、
おりょうさんが個性を爆発させるエピソードが印象的で、菊の枕エピソードや、お田鶴さんとの女同士のバトルなど、閑話休題として面白かったです。
いよいよ薩長同盟が近づいてきたかという感じで、
次巻も楽しみです。 -
愛されてるなぁ、竜馬。勝さん、残念だったね。船没収だし…、幕府に呼び出されるし…。もー。おりょうさん、やったね。抱かれたね。夢が叶ったね。(書くとき気まずくなってきた。)
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○あン人がこんど来たとき、貴方の虫ケラはもう居りもさぬ、というのは人間の信義にかかわりもそ(285p)
○金よりも大事なものに評判というものがある。世間で大仕事をなすのにこれほど大事なものはない。金なんぞは、評判のあるところに自然とあつまってくるさ(335p)
★西郷吉之助が出てきた -
どんどん動いてきました。 この巻、前半は池田屋の変、そして、禁門の変。来島又兵衛。 そして、龍馬と西郷の会合。 でも、何と言っても、お登勢さんとお田鶴さま、、、。素敵です。
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長州は苦しい時代へ。薩長の関係を考えると、どうしてここから、あの幕末を迎えるのか、まったく謎です。まだ機が熟さないって、あと三巻しかないですよ!
行き過ぎたヒーロー感が鼻につき、おりょうの良さがとうとう最後まで理解できず…(笑)
あまりにも同感でついコメントして...
行き過ぎたヒーロー感が鼻につき、おりょうの良さがとうとう最後まで理解できず…(笑)
あまりにも同感でついコメントしてしまいました!
いつもコメント有難うございます!(^^)
作中で、「竜馬はいつも女性にお世話される側だから、逆に自分が世話役になれるおりょうに...
いつもコメント有難うございます!(^^)
作中で、「竜馬はいつも女性にお世話される側だから、逆に自分が世話役になれるおりょうに気がいった」という風な記述がありましたよね(^^)
わからない気もしませんが、、、笑