新装版 昭和史発掘 (1) (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (417ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167106997

作品紹介・あらすじ

厖大な未発表資料と綿密な取材によって、昭和初期の日本現代史の埋もれた事実に光をあてた不朽の労作が新装版で登場。政界に絡む事件の捜査中に起きた「石田検事の怪死」、部落問題を真正面から取り上げた「北原二等卒の直訴」、他に「陸軍機密費問題」「朴烈大逆事件」「芥川龍之介の死」など五篇を第一巻に収録。圧倒的な面白さ。

感想・レビュー・書評

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  • 予想を裏切らない読みごたえがある。今も政治家の問題が取りざたされているが、これを読むとむしろ今のほうがいいんじゃないかという気さえする。上に立つ者は「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」の世界観なんだろうな。

  • 昭和初期に起こった事件を著者がその背景や真実を分析した本。芥川龍之介の自死以外の事件は全く知らなかったが興味深く読んだ。石田検事のような政治家、警察が絡んで真実がわからない事件は今でもあるからやるせない。芥川龍之介に女性問題があったとは驚き。

  • 「松本清張」の『昭和史発掘(1)』を読みました。
    「松本清張」作品は昨年の12月に読んだ『死の発送』以来ですね。

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    厖大な未発表資料と綿密な取材によって、昭和初期の日本現代史の埋もれた事実に光をあてた不朽の労作が新装版で登場。
    政界に絡む事件の捜査中に起きた「石田検事の怪死」、部落問題を真正面から取り上げた「北原二等卒の直訴」、他に「陸軍機密費問題」「朴烈大逆事件」「芥川龍之介の死」など五篇を第一巻に収録。
    圧倒的な面白さ。
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    本編に収録されているのは、以下の5編です。

     ■陸軍機密費問題
     ■石田検事の怪死
     ■朴烈大逆事件
     ■芥川龍之介の死
     ■北原二等卒の直訴

    本作品は「松本清張」のライフワークだったらしく、、、
    厖大な資料と綿密な取材に基づいて書かれたようで、その考証には、説得力が感じられましたね。

    でも、当時の歴史的背景や政治家等の相関関係等をキチンと理解してないので、読後も理解不足は否めない感じです。

    興味あるテーマなのに、自分の中で上手く消化しきれないのがもどかしかったですね。


    やや文章が難解な面もあるので… 全9巻は、到底、読めそうにないですねぇ。
    1巻で断念です。

  • 開国後の日本国家の陰湿さが機密費事件、大逆事件、検事の怪死、軍隊内の差別問題を通じて展開。芥川の項が必要なのか不明

  •  今はどうかしらないが、日本史の授業でもあまり詳細に習った記憶のない昭和初期史。そのトピックを史実を中心として深く掘り下げる。名前しか知らない政治家や要職の人物の込み入った話がどんどん出てくるが、さすがに筆達者な筆者の手にかかるとすらすら読めて、なかなか興味深い。第1巻は田中義一政友会内閣誕生にまつわるトピックが3話と芥川龍之介の自殺、それに北原二等卒事件。政治史というわけではないので芥川の話などが出てくるのだがちょっと異質な感じ。知られざる一面ではあるものの週刊誌的であまり興趣が湧かない。それより北原事件がすこぶるおもしろい。ほんとにこれが実話なのか。泣く子も黙る日本軍隊でこんなことがあるなんてねぇ。まさに腫れ物に触るというわけだ。

  • ★★★2020年1月★★★



    さすが清張、暗~い感じがよく伝わってくる。
    昭和史の闇の部分を鋭くえぐる作品だ。
    昭和2年生まれの祖母の事を思いながら読んだ。戦前という時代は僕には想像がつかない時代だ。

    ・陸軍機密費事件
    ・石田検事怪死事件
    ・朴烈大逆事件
    ・芥川龍之介の死
    ・北原二等卒直訴事件

    これらの事件を追いながら、歴史の流れを知ることができる。特に印象に残ったのは朴烈だろうか?
    差別され、しいたげられた人々の姿がよく映し出されている気がする。

  • 昭和史発掘 [01]

  • 大逆事件を計画したとされるアナーキスト朴烈のスキャンダル写真
    そんなものに振り回されて議会は空転する
    モラルをめぐるヒステリックな論争のなか、大正ロマンの時代は終わり
    田中義一の軍機密費着服疑惑をもって昭和の幕がひらいた
    腐敗の時代であった
    芥川龍之介は、現実の汚さに耐えられず死を選択し
    勇敢に声を上げる者たちは、権力にふみつぶされていった
    権力とはなにか?
    人々は、天皇こそ権力と信じている
    しかし堅く守られたその実態を知る者はほとんどなかった

  • 「非常に同情する」と言い放つことこそが上からの目線による差別感情である。肝に銘じます。

  • 芥川龍之介の死だけが「作家論」的で異質な他は、昭和の時代を暗黒にするさきがけの秘話だ。

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著者プロフィール

1909年、福岡県生まれ。92年没。印刷工を経て朝日新聞九州支社広告部に入社。52年、「或る『小倉日記』伝」で芥川賞を受賞。以降、社会派推理、昭和史、古代史など様々な分野で旺盛な作家活動を続ける。代表作に「砂の器」「昭和史発掘」など多数。

「2023年 『内海の輪 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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