海鳴り (上) (文春文庫) (文春文庫 ふ 1-18)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167192181

感想・レビュー・書評

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  • 世話物。といっても内容はなんてことない。妻子ある紙問屋の主人が、同じ問屋仲間の女将と道ならぬ恋に陥る…という江戸時代の不倫物語。
    ただ、書き方が上手いので読ませる力は半端ではない。逆に言えばありふれた内容なだけに時代物に馴染みがない人でも共感や想像はしやすいかも。

  • 読んだきっかけ:奥さんが古本屋で105円で買ってきた。

    かかった時間:12/13-12/15(3日くらい)

    あらすじ: はじめて白髪を見つけたのは、いくつのときだったろう。骨身をけずり、果てにむかえた四十の坂。残された日々は、ただ老い朽ちてゆくばかりなのか。……家は闇のように冷えている。心通じぬ妻と、放蕩息子の跡取り。紙商・小野屋新兵衛は、やがて、薄幸の人妻丸子屋のおかみおこうに、果たせぬ想いを寄せてゆく。世話物の名品。(裏表紙解説より)

    感想: 市井物。単純な話だけどなかなか面白い。やっぱり藤沢周平は文章がうまいですね。

  • 時代小説、上下2巻。一代で築いた紙卸問屋の主人、新兵衛と人妻おこうとの恋の行方。商人としての生き様、中年を過ぎ老いを感じ始めた一人の男の揺らぎを描いた作品です。
    現代風に言うと「不倫」の話となってしまうのですが、そこへ行き着くまでの過程、心情が丁寧に描かれていると思います。

    作者の作品は剣にまつわるものを中心に読んできたので、この作品は自分の中で期待していたものと違うというか、ちょっとした違和感を感じてしまいました。
    これは他の著書を読んでから再読するとまた印象が変わると思います。

    いつものように一気に読み耽るというのではなく、少しずつゆっくり読みました。
    スカッと爽快!ではなく、ちょっとジメジメしているかもしれません。
    しかし自分の頭髪に白いものを見つけたときにふと気づくこれまでの人生の虚しさというくだりには共感を覚えました。

  • 今読んでるんだけど、もう読みたくない(T_T) 弱みにつけ込まれて脅迫されるとか、めっちゃ苦手。結末が良ければ頑張って読むけど。読んだ方、最後まで読んだ方が良かですか?

  • 40歳を過ぎた紙問屋の主人の話。まだ上巻のみ読んだだけだが、全体的に暗い話。妻と息子の愚痴をこぼして家に帰るのをためらったり、徐々に老いを実感し始めた男の切なさが描かれている。

  • てっきり、武士とはどんなもんじゃっていう内容かと思ったのだが、
    そして、人情ものというふれこみを見て、お涙頂戴の内容なのかと思っていたのだが、なんともびっくり、内容は江戸商人の不倫だという。
    これぞたぶん、時代がどうだからではなく、今も昔もたぶん変らない人間の姿なのだろう。
    不倫のお話ですが。

  • いや~この話は・・・(--;
    重くて暗い、「男女駆け落ち物語」(ズバリw)。
    酔って具合が悪くなった知り合いの人妻を助けたことがきっかけで、それがどんどん罠にはめられ追い詰められ、深みに堕ちてゆく話だ。

    最初は本当に、酔った彼女を介抱しただけだったのに、それをたちの悪い男に目撃され、強請られて、果てはトラブルの相談のため彼女と会っているうちに互いに惚れ合って本当にデキてしまう二人。
    男は働くことに疲れを覚え始めた年齢で、一代で築いた商いに不吉な影が忍び寄るのを感じている。
    家庭においては夫婦仲は冷え切っており、子供は女郎通いで跡取りとしての自覚がほとんどない。

    ・・・とまぁこんな風に、男の身辺は味気ないものだった。
    だから、胸の隙間を埋めるように、彼女に惹かれていったのもわかる気はするけれど・・・
    でも。如何に追い詰められていたとはいえ、彼女と駆け落ちを決めたときの男の様子には、あまりにもちょっとあっさりしすぎじゃないか??と思った。
    男としては、今まで自分はこんだけ家族のために頑張って。
    気の合わない女房ともなんとか我慢してやってきて。
    跡取りであるはずの長男が家を出たいというのも、許してやった。
    だから今度は。
    自分がなにもかも捨てて、好きな道に走ったっていいだろ?と言いたいように見えなくも、ない。
    勿論それは、最後の最後にどうしようもなくなってする決断であり、それまで主人公の男は心臓が冷えるような思いを繰り返し、トラブルを乗り切って、その中で一筋の光のような、彼女との関係を持ってきた。
    同情はするけど・・・、最後に見せた彼の妙な「すがすがしさ」は、私にはちと憎らしく映った。(笑)

    如何なる理由があったとしても、結局主人公の男は、自分の犯した罪と過ちから逃げたのだ。
    まんまと逃げおおせ、これから先、細々と暖かく明るい第二の人生をやり直せたとしても・・・
    決して彼の犯した罪は消えないし、それによって置き去りにされた彼の家族もまた、犠牲者なのだ。
    それを忘れず、死ぬまで苦しんでほしい、家族には顔を出さないでほしい。
    「逃げおおせても、主人公はきっと長生きはできないだろうな。」
    読み終わった後、私はぽつりとそう思った。

  • ごく端的に言うと、ダブル不倫の恋愛時代小説。

  • 藤沢さんと言えば代表作は数あれど地味に構えていたのがこの海鳴

    り。元々どの本を読んでもつつましい色気が漂って、藤沢作品の魅

    力はそこにも有るのだと私は思っていましたが、この海鳴り読んで

    見ると、こんな藤沢周平も好きに成りました。

  • 感想は下巻にて。最初はもどかしい感じでしたが、上巻の終わりころから面白くなってきました。というか私がこの作品の空気になじんできたのかもしれません。

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著者プロフィール

1927-1997。山形県生まれ。山形師範学校卒業後、教員となる。結核を発病、闘病生活の後、業界紙記者を経て、71年『溟い海』で「オール讀物新人賞」を受賞し、73年『暗殺の年輪』で「直木賞」を受賞する。時代小説作家として幅広く活躍し、今なお多くの読者を集める。主な著書に、『用心棒日月抄』シリーズ、『密謀』『白き瓶』『市塵』等がある。

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