海鳴り (上) (文春文庫) (文春文庫 ふ 1-18)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167192181

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  • 全2巻。
    時代小説。

    老人の恋とサスペンス。
    なんか失楽園思い出した。
    見たこと無いけど。

    乱暴にまとめると
    ダブル不倫と商業サスペンスって感じなんだけど
    老人だけにしみる気がした。
    死ぬまでのあと10年どう生きるか。
    家族を捨てようと決心したくだりは
    なんだか泣きそうになった。

    年取ったんだろうなあ。
    やっぱり。
    自分。

  • ジャンルとしては時代小説の恋愛ものに入るんだろうけど、現代社会にもきれいに当てはまる気がする。

  • 新兵衛の回りには不穏な空気が的割りつく。
    次々に繰り出される陰鬱な悩ませごと。
    寿命を縮めるようなストレス。
    しかし江戸の地理を本の少しだけ学んだからか、
    いつも以上に文字から映像が浮かび出てきてワクワクする。
    両国がどういう場所だったのか、回光院の役割は、
    商人(あきんど)はいつの世も
    そのやり方を変えず共通しているのだなぁ〜。

  • 四十代半ばの紙商小野屋新兵衛と老舗の紙問屋丸子屋のおかみおこうが、紙問屋の寄合いの帰り道に起きたある出来事をきっかけに想いをよせあっていく。
    不義密通がきびしく罰される時代に、プラトニックに想いを寄せ合っていく二人がせつない。

    二人の想いとともに、人生50年という時代すでに老いを感じている新兵衛の心の翳りを軸に、家族・女・仕事の陰影が描かれている。

  • 剣客ものと違って一気に読み上げる熱も湧いてきません。
    ユーモアも無く全体的にじっとり湿った暗さが付きまとう話です。
    ですがいいです。下巻もよっくりじっとり読みます。

  • すごい。

    最後の展開が速いが、それにもちゃんと理由がある。読み応え大有り。

  • 紙商・小野屋新兵衛の人生への後悔と焦り。商売の成功と冷え切った家庭。人妻おこうとの叶わぬ恋。傷を舐め合うような密かごと。そして二人は…。

    新兵衛とおこうの最終判断の是非はおいておいて、男なら新兵衛の苦悩に少なからず共感するんじゃないかな。

  • ある日、ふっと老いを実感した小野屋新兵衛が真に心休まる場所を求めてさまよう様子が描かれています。

    しあわせとはそもそも何なのか。
    この本を読んで、そんなことを考えました。

    しあわせとは、これから失おうとする過去に、先へ歩もうとする未来に、人の生のあらゆる場面で柔軟に姿を変えつつ存在するもの。

    今、探し求めているしあわせと、まさにその瞬間に手にしているしあわせの姿が違うとき、人は既に手の中にあるしあわせに気づかず、彷徨い始めてしまう。

    現在、自分自身が手にしている幸せを大切にしようと思えた一冊です。

  • 時代小説とはいっても、この作品には剣のシーンなどは一切登場しない。町人の恋愛を描いた作品。


    紙問屋を営む小野屋新兵衛は、今で言うところの新興企業の社長といったところだろうか。
    独立してから新兵衛は家庭は二の次にして、必死に働いてきた。

    しかし、商いが軌道に乗ってきた頃、新兵衛は白髪を見つけ、老いを感じるようになる。このまま年を重ねていくのかという不安に苛まれるようになっていく。


    父親である新兵衛の言うことを聞かず、岡場所に出入りする息子。妻おたきとの不和。同業者の嫌がらせ。言う事を聞かない身体。そんな状況が新兵衛に襲いかかる。


    そんな中、同じ紙問屋である丸子屋の女将、おこうと出会う。おこうに惹かれていく新兵衛。しかし、江戸時代という時代がそれを許さない。悲劇的な結末を予感させる。どんどん読ませてしまうところが藤沢さんのすごいところだ。


    タイトルにもなっている『海鳴り』という言葉は本を読んでみるとわかる。時代恋愛小説の傑作!

  • 藤沢周平の人情物語の名品。
    不倫が主題やけど、明るい終わり方で、読んで良かったなって思える1冊☆

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著者プロフィール

1927-1997。山形県生まれ。山形師範学校卒業後、教員となる。結核を発病、闘病生活の後、業界紙記者を経て、71年『溟い海』で「オール讀物新人賞」を受賞し、73年『暗殺の年輪』で「直木賞」を受賞する。時代小説作家として幅広く活躍し、今なお多くの読者を集める。主な著書に、『用心棒日月抄』シリーズ、『密謀』『白き瓶』『市塵』等がある。

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