- Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167200244
感想・レビュー・書評
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以仁王の辺りは武士のイメージが強すぎたのでその時代の貴族的な小説は面白かった。特に以仁王周辺の皇族について調べてみたい。
藤原佐理の話は物語というよりも随筆よりの文章。藤原行成との比較が興味深かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
平安時代を舞台とした短編集。
「噂の皇子」…三条天皇の皇子敦明の小説
「桜子日記」…和泉式部に仕える女の視点からの独白
「王朝無頼」…藤原保輔についての小説
「風の僧」…平将門の存在を背景とした、とある話
「双頭の鵼」…源頼政を、娘・二条院讃岐、三井寺の僧、藤原俊成の娘・建春門院中納言、頼政の郎党の視点で描く小説
「二人の義経」…近江源氏の”山下義経”と、頼朝の弟源義経の小説
「六条の夜霧」…藤原道明の登場する、とある話
「離洛の人」…藤原佐理についての話
この本の短編はどれも読みやすく、気が利いていて面白かった。
『この世をば』で登場した、敦明や、藤原佐理について、
『この世をば』での人物解釈の延長線で描かれているので、
番外として読んでも楽しめる。 -
さまざまな時代の歴史小説を発表し続ける著者による
平安末期を舞台にした短編集。
源頼政を「藪の中」スタイルで描く『双頭の鵺』は、
私が最も好きな作品のひとつです。 -
『噂の皇子』
藤原道長と三条帝の政治的駆け引き。皇后の母親としての葛藤。その中に浮き上がった主人公、敦明皇子。どこかいわゆる「草食系」を見るようなおぼつかなさを感じさせるような皇子の思惑は…。
ほんの50頁ほどの短編ですが、道長の政治家ぶりと、帝のプライドのぶつかり合いなど、なかなか読み応がもあった。
『桜子日記』
架空の人物桜子の視点から、和泉式部を描いた作品。和泉式部の「軽さ」が普通の娘にはわからない感覚というのは、歴史小説としてでなくても楽しめそうだ。
他の作品も面白かった。
永井氏は架空の人物を使って歴史を多角的に描くのが巧いと思う。 -
望みしは何ぞの前に、噂の皇子を読んでおくと、敦明のイメージが湧きやすい。
というか、ファザコン萌えなんで、読んだ当時萌えたわ。 -
三条天皇第一皇子・敦明親王をはじめとする様々な時代の皇子、もしくは皇子に近い存在だった人物たちを取り上げた短編小説。
特に敦明を取り上げた「噂の皇子」が印象的であった。道長の権勢に押され東宮を辞退したことが有名であり、時代の敗者と認知されがちであるが敦明本人の深い思惑があってことだったと理解できる。史実では見落としがちな人物たちを知れる貴重な一冊だと思う。 -
(借.新宿区立図書館、単行本)
図書館にあったのは単行本のみ。ブクログにはないのでやむなく文庫で登録。平安中期から鎌倉初期にかけての歴史の一端を切り取り、こうあったかもしれないという想像を加えて書かれた時代短篇小説集。さすがに少々歴史学的には古い解釈も入って入るがそれでもうまく書かれている。個人的には「二人の義経」で山本(下)義経がどう書かれているのか知りたくて読んだのだが、本人は登場せず九郎義経の眼から書かれているのはなるほどと思わせる。他の短編もなかなかだが、最後の「離洛の人」という藤原佐理を描いた作品は小説というより歴史随想的なもの。これはこれで興味深い。 -
主に平安時代中期の短編小説。読みやすいのですが、設定時代順ではなく、主要人物もまちまち。読みはじめが中々入り辛い。やっと入り込めたらあっけなく終わりという、少し物足りなさを感じた。
どれもメジャーではない人物にスポットを当てたお話で、中には全く知らない人物も…調べながら読みました。表題の噂の皇子は、三条天皇とその皇子側の心情が描かれている。この道長時代前後は天皇不遇の時代が続いていて、天皇は置いてきぼりの孤独と戦い、その皇子は案外父帝の苦悩を見て引き下がったのだと妙に納得した。