フルハウス (文春文庫 ゆ 4-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167621018

感想・レビュー・書評

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  • 知恵遅れ…性的虐待…。
    やっぱり今のご時世だとアウトな感じの雰囲気だよな、柳美里作品て…。
    時代の寵児だったんや…。

  • すべからくみんなくるっています。
    狂気を超絶濃縮した
    やばさ1000%の作品ですね。

    表題作は父親がまず人間として
    狂っていらっしゃって
    その子たちもいろいろ狂っている、というか歪んでいる。

    すみ着いたホームレスの子も歪んでいる、
    やっぱり両親も…

    彼らは狂うべくして狂ったんだとも思っています。

    そしてサレ妻の狂気が襲う
    「もやし」

    もうサレたのに狂って
    ありもしない事実までも
    作ってしまったのだろうね。

    でも主人公もうかつだよ。
    なぜそこでお見合い相手と
    つながれて、カネの肩代わりができると
    思ったのだろう。

    ああいう家ってそういうの
    厳しいんだよな…

  • 父親が、ある日突然「家を建てたから」と娘2人を新居に呼ぶ。新築の家は勝手口からしか入れず、片付いていない。自宅に戻り、再度呼び出されたその家には、全く知らない4人が我が物顔で生活していた…。

    日常生活の中に突然発生し、宿主を食い荒らす腫瘍のように広がっていく狂気を描いた2作。笑いながら侵食していく表題作はなかなかの迫力がある。

    問題はもう一本の『もやし』だ。まともな人が一人も出てこない中で、自分だけはまともであるかのような補正のかかった状態で、狂った人たちを眺めるというような作品。テレビショッピングを真似る女、元男性昨日がなかった男、占い師にすべてを任せる母親…。

    両作品とも、狂気という意味では素晴らしいのだが、それも作者自身が常識人であるからこそ成り立つわけで、特に『もやし』の方では文章自体が乱れているとしか思えない部分もあり、ちょっと狙ったでしょう?と聞きたくなる出来である。

    両方、もう少し長く描いて、狂気を恐怖に転嫁させたほうが良かったのではないかと思われるところが有る。特に『フルハウス』は、文庫300ページくらいで書こうと思えば書けたのではないか?せっかく良いテーマなのに、そこで終わるかというところがもったいなかった。

    まあ、あんまり人には奨められない。
    あと、帯なかったんだけど、このサムネイルの帯はいただけないな。

  • 描写はすごく丁寧だし、あらすじを読んだときは面白そうだと思ったけれど生理的な不愉快さを感じた。登場人物の倫理観が全体的に終わってる。嫌いというより無理な小説。

  • 時間があれば。

  • 毒の味がする、
    正直なところ妹が来た時に全て終わらせて欲しかった
    オチが気になる終わり方だった。
    オチが気になると思うのが間違いなのかも知れないけれど、姉と父の揺らぎを妹が壊してくれるんじゃないかと最後まで期待してしまった。

  • 性的虐待を受けたのだろう娘が少女を見る視線の不気味さ。不快感を残す。

  • 父親は、新たな土地に家を建て、独立した二人の娘を呼び寄せた。一からすべてをやり直すつもりだったのか、新しい家には別れた母親をも含めた家族4人で住むための準備が整っていた。それでも家に寄り付かない娘たちに対し、父親のとった行動は…。
    なんだかあやし~い小説だ。まず、父親があやしい。何を考えているのか分からない。語り手である長女の素美は、私からするともっとあやしい。父親に抗おうとしつつも、闇に包まれた家から離れない。表題作の他、「もやし」を収録。こちらは読むのがつらい。気持ち悪くて。
    ☆泉鏡花文学賞・野間文芸新人賞

  • このテンションは好き

  • 少女も妻も狂気に満ちている。
    柳美里の自伝的要素も織り交ざり、とてもリアル。
    そして、何処までが現実世界にあったことで、何処までが作者の物語なのかわからない。
    私は狂気を求めているのかもしれない。

  • 面白かったです。
    個人的にはフルハウスの次に載っていた「もやし」のほうが好きだった。
    狂ってる具合がすごい丁度良くて、読んでいて現実と本の世界の瀬戸際を感じるというか、リアルでありえそうだなーと思ってゾクゾクしました。
    柳美里、良いです。

  • 日本人の「家」という呪いについて十分に語られた小説である。狭い国土の中、密集しながら生きている日本人はどこか「自然」を失い、隣人関係や他人への基本的行動がおかしくなってきている。まわりに物が溢れるに従い、人間と人間の接続は緩くなっているのだ。ガバガバに開いたその接着面はすぐに壊れそうで、「家」の中に引きこもるしかない家族が権力を握る。「家」を固執する者、人生の楽しみの半分を知らず。

  • 東野圭吾さんなんかもよく使いますが、

    話がややこしくなってきたときに一旦まとめる書き方や、

    たとえば、言い終わらないうちに従業員は電話を切った。

    といった些細な日常のやりとりなんかが、すごく丁寧に表現されていました。

    これもいつか勉強し直さないといけない一冊です。

  • 家を建てることを望んでいた父が、本当に家を建ててしまった。
    娘や妻は寄り付かず、その替わりにその家に住んだのはホームレス・・。そういえば「家族シネマ」でも際どい家族関係が描かれていた。なんとも痛い。

  • 2010.05.08

  • 『笑いと恐怖は同じ狂気の裏表でしかない。怖がってる目の、どこかが笑っている。もしくは笑ってる目のどこかで恐怖におびえている。』(p.189)

  • 「家を建てる」が口癖だった父は、理想の家族を夢みて、本当に家を建ててしまう。しかし、娘たちも、十六年前に家を出た妻もその家には寄りつかなかった。そこで、父はホームレスの一家を家に招き、一緒に暮らし始めるのだが…。第18回野間文芸新人賞、第24回泉鏡花文学賞受賞の表題作のほか、不倫の顛末を通して家族の不在をコミカルに描いた「もやし」を収録。

  • 読みやすいけど、怖いのと気持ち悪いのとで、私には無理っぽい。主人公が悪い方悪い方へ引き寄せられていくじわーっと暗く湿った生々しい感じが。しんどい時に読んだら余計しんどくなる本。ある意味ホラー。同収録「もやし」もほぼ同じ感想。

  • こわい話だった
    登場人物全員おっかないが、とりわけ女の人がぞっとするほど怖い

    肉のにおいというか、血のドロドロというか・・
    全員ちょっと病んでるかんじ

  • 16年前に母に逃げられた父は家族の象徴としての家を建てた。
    が、その家に住むことを娘達は敬遠する。
    しばらくして父親からのSOSで家に行くと、ホームレスだった知らない家族が家を牛耳っていた。

    何をいいたいのか?家族についてか?

    なんだかしんどくて、収録されている「もやし」も途中で投げ出してしまった。

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著者プロフィール

柳美里(ゆう・みり) 小説家・劇作家。1968年、神奈川県出身。高校中退後、劇団「東京キッドブラザース」に入団。女優、演出助手を経て、1987年、演劇ユニット「青春五月党」を結成。1993年、『魚の祭』で、第37回岸田國士戯曲賞を受賞。1994年、初の小説作品「石に泳ぐ魚」を「新潮」に発表。1996年、『フルハウス』で、第18回野間文芸新人賞、第24回泉鏡花文学賞を受賞。1997年、「家族シネマ」で、第116回芥川賞を受賞。著書多数。2015年から福島県南相馬市に居住。2018年4月、南相馬市小高区の自宅で本屋「フルハウス」をオープン。同年9月には、自宅敷地内の「La MaMa ODAKA」で「青春五月党」の復活公演を実施。

「2020年 『南相馬メドレー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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