- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167631031
作品紹介・あらすじ
駅前の居酒屋で高校の恩師と十数年ぶりに再会したツキコさんは、以来、憎まれ口をたたき合いながらセンセイと肴をつつき、酒をたしなみ、キノコ狩や花見、あるいは島へと出かけた。歳の差を超え、せつない心をたがいにかかえつつ流れてゆく、センセイと私の、ゆったりとした日々。谷崎潤一郎賞を受賞した名作。
感想・レビュー・書評
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なんとも言えないセンセイとの距離感。
時にもどかしくも感じるが、終始美しい。
そして最後は切なくなった。
大きな変化はないのに2人が気になって読み進めてしまう作品。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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円軌道の外さん
わー!お久しぶりです!
コメントいただけて嬉しいです。たくさんのいいねもありがとうございます!
「文房具56話」、...円軌道の外さん
わー!お久しぶりです!
コメントいただけて嬉しいです。たくさんのいいねもありがとうございます!
「文房具56話」、古い本のようで偶然に古本屋で見つけたのですが、円軌道の外さんの手元にも現れますようで・・・!文房具ってほんとにわくわくします。付箋とか、どこに貼るんや!っていうくらい買ってしまいます(笑)
お忙しい日々をお過ごしだったんですね。
ボクシングを教える側・・・!きっと、する側とはまた違った大変さがあるのでしょうね。でもお元気そうでなによりです(^^)
私のほうも仕事が目まぐるしく、ブクログをお休みしていました(>_<)
自分の原点を探ろう!企画、よいですね(^^)
「センセイの鞄」、懐かしいです。
高校の現代文の問題集で読んでから、勉強をほったらかして、図書室で借りて読んだ思い出があります。笑
円軌道の外さんのレビューを読んでまた読みたくなりました(^^♪
以前のように小説、漫画、それにジャンルを問わずにたくさん読まれているようで、なんだか読書欲が湧いてきましたよ・・・!
円軌道の外さんのレビュー、これからも楽しみにしています♪
読書スイッチを押していただき、ありがとうございます(*^^*)
これからもよろしくお願いしますね!
2018/03/06
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平凡なアラフォーOLの月子さんが、かつての高校のセンセイと時を経て再会し、ゆっくりと、そして深い愛を育む、心地良~い純愛物語。
月子と70も超えるセンセイとの素敵な恋がいつまでも続きますように、と祈らずにはいられない。 -
なんでもっと早く読まなかったんだろう。
何が起こる訳じゃないけど、ツキコさんとセンセイの世界に、恋愛に、もっともっと浸っていたかった。ラストは胸が締め付けられた。出会えて良かった一冊。
もう一つの物語「パレード」をこの流れで読んでみる。 -
ピュアな一冊。
なんてすがすがしい関係なんだろう。
これほどピュアという言葉が似合う二人はいないと思う。
年齢が離れたセンセイとツキコさんの四季折々の時間。思い出の積み重ねと距離感が瑞々しく、時にせつなく心を潤した。
相手と出会い、時間を共有するたびに空っぽだった心に名もなき感情が次第に積もっていく。
やがて満タンになる。
それが一気に溢れ出した時に恋というものが始まるんだと思う。
月子さんのその心の積もりと揺れと溢れる瞬間が美しく伝わってきた。
鞄の中に詰め込まれた二人の思い出。
静かに開けて静かに閉めたいほどの良作。 -
センセイへの想いがはっきりしてくるにつれて、一人でいるより不安な感じがしてきて、成就するのが怖くなってしまう。
そうなることはわかっていたのに、泣きそうになった。 -
歳の離れたセンセイとツキコさんが居酒屋で再会してからゆっくり淡々と過ごして恋愛と変化していくお話
ツキコさんの優柔不断というか、恋愛の駆け引きができないのにしようと試みる姿に苛々させられたけど、なぜか応援したくなる
ラストは直接的な文章ではない一文にぐっと胸を掴まれた
いくつになっても人間を愛していられるのは幸せだなあ
センセイはきっと幸せな人生を送れましたね
と言いたい -
月子は高校時代国語教師だったセンセイと居酒屋で再会します。センセイ自身も、居酒屋で交わされる会話も穏やかで心地がいいのにセンセイには近づけそうで親密になれない‥ 。月子はある梅雨入りの日、わたしセンセイが好きなんだもの と告白します。 若くないからこそのスローで丁寧な恋愛のお話です。
「たとえば、身の丈ちょうどの服を何枚もあつらえたはずなのに、いざ実際に着てみると、あるものはつんつるてんだったり、あるものを裾を長く引きずってしまったりする。驚いて服を脱ぎ体にただ当ててみれば、やはりどれもちょうど身の丈の長さである。」
それでいいはずなのに断言していいと言い切れず自分を疑うようなこの感覚。絶妙に文章にされていて手にとるように共感しました。
「わたしがセンセイのことを思って悶々としていた間、センセイは蛸のことなぞで悶々としていたのである。」
傍目にはくすっとしますが、当人の月子なら恨みがましくセンセイを見つめてしまいそうです。そんなもんなんだなあ、なんて気が抜けつつ自分の悶々とした時間すら後で愛おしく感じられそうなシーンです。
この小説では恋愛のいちばんおいしいところ、出会って、仲良くなって、ヤキモキして、もっとこういうことが起きて欲しいと願うようなところが多く描かれています。このままなのかな?と思いきや、読者にとってもご褒美のような甘い結末に向かいます。ラストは‥。 月子と一緒に楽しい時間を過ごせてほっこりしましました。 -
ブクログ通信で「新しい出会いを描いた小説」にあった本。
「ワタクシはいったいあと、どのくらい生きられるでしょう」
親子ほどの年の差の不器用な二人の大人の愛です。
ともすれば安っぽい感じになりそうな内容ですが
ギリギリにいい感じでとどまっているのが好感が持てます。
私も親子ほどの年の差ほどの元部下から
「浦島さん、わたし日本酒飲みたいです!」
って言われて飲みに行ったりしますが
彼女も不器用なので、誰かいい人早く見つかんないかなー
と読みながら共感して思いました。 -
単調な日常の中で、徐々に距離を縮めていく男女間の穏やかな親密さと、反して高まっていく緊張感の矛盾を絶妙に書き表した作品。
年齢だけなら親子以上孫未満ぐらいに離れている、高校の国語教師だった「センセイ」と、その生徒だった「ツキコさん」は、二十余りを経て、ばったりと居酒屋で再会する。
特に約束もせずに、それでも出会えば、それぞれのペースで酒を呑んで、それぞれ好きなアテを食べながら会話をする。そのうちに四季はめぐって、キノコ狩りやらお花見やら、店の外でもなんだか会うようになってくる。
共に重ねる時間の中で、時々些細な喧嘩をしながらも、互いの気質と程よい距離感に馴染み、確実に恋慕の対象として意識し合うようになっているのに、それに相反するかのように、それぞれが抱える過去と孤独のためか、予想外に近づいていく関係に戸惑う二人の間の緊張感は高まり続け、やがてぬきさしならないものとなっていく…。
不器用な男女の、端から見たら凡庸な日常でしかないのに、実は激しさ吹き荒れる歪な関係を、川上さんらしい、静かな語り口で、淡々と、けれど、とことん濃密に描いた秀作です。
川上さんの独特の擬態語を用いて語られる二人の関係の終わりは、逃れられない哀しい真理であると同時に、寂しい優しさに溢れていて、余韻を残します。