雨を見たか 髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫 う 11-10)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167640101

感想・レビュー・書評

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  • このシリーズも気に入って読んでいる。
    楽しめた。

  • 茜お嬢さんのお転婆ぶりと伊与太のお利口さんぶりが面白い。

  • 宇江佐真理さんの作品といえば『雷桜』を忘れることはできないが、髪結い伊三次シリーズも、江戸の下町の人情物として面白いシリーズ。深川の売れっ子芸者文吉と伊三次の二人は結婚して長男の伊与太が生まれ、三十一になった文吉は桃太郎姐さんとして、年増芸者としてまだ現役で働いているという設定で物語が展開する。江戸の時代物として、下町の人情の機微をほんわかと描いた、安心して読むことができる上質のシリーズもの。

  • 雨を見たかい、とくればCCRことCreedence Clearwater Revivalの名曲だ。雨を見たか、で切れると宇江佐真理の名作ならよかったが、前作「君を乗せる舟」が良すぎただけにちょっと減点。
    髪結い伊三次捕物余話第7作。でも練達の腕は相変わらずで、並みの時代小説よりはずっと楽しめる。もともとは髪結い兼小物の伊三次と芸者のお文の夫婦が主役なのだが、ここへきて伊三次の雇い主不破の一人息子で奉行所の見習い同心になったばかりの龍之進が主役の座を奪ったかになってきている。少年から青年への成長過程での初々しい直情的な正義感と世間的な汚濁との対比、そして経験を積んで人間として成長していく姿。ぼくらが遠い昔におとなになった時に失ってしまった大事なものを思い出させてくれる。そしておまえは間違ってないんだぞと背中を支えてやりたいような気になる。
    この著者、まず気に入ったタイトルがあってそれから物語を考えるのだそうだ。第5作「黒く塗れ」はまさにローリング・ストーンズだし、この「雨を見たか」もてっきりCCRかなと思ったけど、残念ながら作者のあとがきには何も触れられていなかった。違うのかな。

  • 廻り髪結いの伊三次は、お文と所帯を持って数年。
    伊与太は病気もしたが、すくすく育っている。

    元深川芸者のお文は一度は芸者をやめたが、今は桃太郎という名で日本橋で芸者をやっている。
    何かあってもお文がいれば安心と、若い芸者にも頼りにされていた。
    正月には黒紋付きに裾模様のある着物で座敷に出る。
    呉服問屋のお座敷で年増扱いされて気を悪くするが、じつは…?

    伊三次は、町方同心の不破友之進の手伝いもしている。
    伊与太と同じ年頃の幼い娘・茜は、大人しい伊与太と違って手が掛かるやんちゃ娘。
    行方不明になって大騒動となるが…?

    不破の長男・龍之進は元服して、父もいる北町奉行所の同心見習いとなった。
    これは前作からで、若い世代の話の比重が多くなっています。
    要所要所に出てくる大人達の言動が引き締め、お文の気っぷの良さは光っていますけどね。

    見習い組には、6人の若者がいる。
    同心の緑川の息子で気性の激しい鉈五郎。
    大人びている春日多聞。
    勤勉で、調べ物が得意な西尾左内。
    元は商人で養子になった古川喜六。
    ものぐさな橋口譲之進という面々。
    左内の姉が実家に戻っており、労咳なので離婚話が持ち上がる。
    大人の世界をかいま見る龍之進。

    その頃、本所無頼派という顔を隠した暴れん坊6人が町で問題を起こしており、最初は人を驚かせるだけだったが、次第に深刻になってくる。
    同じ年頃の旗本の次男三男がやっていることと目星を付けた見習い組は、我が手で召し捕りたいと探索を続けていた。
    長男以外は、どこかに養子縁組が出来なければ一生、部屋住みの身。
    これは養子先が決まった者は抜けていくということでもあった。

    無頼派の一人が、辻斬りを行ったと龍之進らは目を付ける。
    しかし、町方の出来ることには限界もあった。
    勘当された若者を一度は捕らえたのだが…?
    侍の社会の成り行きがリアル。
    2009年8月文庫発行。

  • 伊三次の子供は可愛い
    感情のまま生きる文吉ねえさん
    でも、夫婦の機微がうまく作用し
    この一冊の伊三次夫婦は
    なんだか良い!
    龍之進の言葉で締めます
    「雨を見ましたよ、心の中で」

  • L 7 髪結い伊三次捕物余話
    お文のお座敷、相変わらず格好よすぎ。商家の絡みも、下手人と間違えられた若夫婦の話もお文が絡むといい。ぼっちゃんら見習い君たちの話はまだまだ続く。もうどうでもいいような。勝手にやってくれ。

  • シリーズが続くと最初の頃のよさが薄れてきますね。

  • 話が次世代に移って、伊三次たちも年をとったような気になってしまうのがちょっと寂しい。でも「おれの話を聞け」は胸が熱くなり、鼻の奥がツーンとした。人生捨てたもんじゃないぜ。

  • 第七弾
    今回は不破龍之進が主人公のようである。
    展開はこれまでと同様
    今後、どのように話が進んでいくのか。
    派手さが無い文、何か考えないと!

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著者プロフィール

1949年函館生まれ。95年、「幻の声」で第75回オール讀物新人賞を受賞しデビュー。2000年に『深川恋物語』で第21回吉川英治文学新人賞、翌01年には『余寒の雪』で第7回中山義秀文学賞を受賞。江戸の市井人情を細やかに描いて人気を博す。著書に『十日えびす』 『ほら吹き茂平』『高砂』(すべて祥伝社文庫)他多数。15年11月逝去。

「2023年 『おぅねぇすてぃ <新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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