- Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167661380
感想・レビュー・書評
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嗅覚に対する表現がこんなにもあったのかと、驚かされた作品.
フランスのパリを舞台としていて、一人の不幸な男が殺人鬼として変貌していく様子が描かれている.
読めば読むほど気分が悪くなる表現、読めば読むほそ場面が鮮明に浮かんでくる表現.
だからこそ、読み終えた時の爽快感が◎詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
神(第三者?)の視点で書いた小説。
訳も軽快でテンポ良く、かなり好きな文章。
文体とストーリーが良すぎて読み進められる。キャラクターの魅力度は微妙。
むしろ神の視点で見ているからこそ、人間の卑小さ、小狡さが生々しさなしに”物語の登場人物”として描かれている。
他の人間が私利私欲のための小さい嘘やはったりを繰り返すたびにグルヌイユの人間離れした側面が顕著に見えるようになる。
他の人間には体臭があり、香りに対する執着は人一倍あるのになんの欲もない彼にだけ体臭が備わっていないのはよくできていると思った。
頭の中が読めないから人は見た目と体臭で判断する?欲もなく体臭もないグルヌイユはさぞ不気味だろうと思う。
ここまでの才能のある人間の世界を一度味わってみたい。言葉より香りの方が曖昧で雄弁なのは想像がつく。それを全て分類する才能があると、世の中を掌握したような気分になるのではと思う。香水作りと香りの描写のシーンもかなりわくわくする。調香師はこれをどう読むのか気になる。 -
がっつり「小説」という小説で久々にのめり込んでしまった!
はじめはちょっとグロテスクなのかなとも思ったけど途中からそんなこともなくグルヌイユの本能だったり思考におもしろみを見つけていった。
この小説を読んでる途中になにかのかおりを嗅ぐと、これは何て表現できるかな〜とかこれは「いい匂い」なのか、とか考えるようになってしまった笑
ヨーロッパ独特の空気感だったり人間模様もすごく翻訳で表れててすてきだった。
これを読んでマラーニー先生の人類学のedible と inedible についての授業、あとuntouchable の授業を思い出した。
匂いは感覚だけど社会的であり表象されるものだなと改めて思った。 -
活字として香りを表現するって難しいだろうに、しかも翻訳ですごいよなって。本質とは少しズレた感想だけど、そこに尽きる。話は面白い。奇人変人が出てくる本は好きだ。
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映画化されたとき、気になって、原作よんだ。よかったな。映画もその後しばらくしてから観たけどよかったな。「香水」「パヒューム」というタイトル通りの、匂い立つような甘美な世界観。原作も映画もどちらもおすすめ。ただし18禁かな。
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ガラスの匂いとか嗅覚弱い私には一生わからないであろう匂いがわかるなんて羨ましい。
映画版のウィショーさんのイメージが強すぎて想像も全てウィショーさんになってしまった。
洞窟の中に7年も居た後も暮らしていく術を知っている辺サイコパスって素晴らしいなと思った。
やはり処女でないとダメなのか〜。
熟した少女の匂いって相当変態だよね。 -
極端だけども、人って匂いに操られてる部分は少なからずあるって思い知った。
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数年前に映画を見ていて、ようやく原作の小説を読むことができた。数々の匂いの描写に圧倒された。荒唐無稽な話だけれど、現代に生きる自分たちには想像もつかない衛生状態とそこにある臭いを思うと、芳香が小説で描かれるような力を持っていても不思議じゃないかも、と思わせられる。
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匂いの描写が印象的で、しかもたくさん出てくる。芳しいバラの匂いから、想像すると吐き気がするくらいの匂いまで。
ありと凡ゆる匂いを嗅ぎ分けることが出来る、においのない男。
彼は結局、25人の少女を殺して何がしたかったのか。
最後パリに行った時、何を思っていたのか。
彼が欲しかったものは、何ものにも変え難い"匂い"だったのか、それとも愛情だったのか。
彼がにおいのない男だからなのか、他の登場人物に比べると、生活って言うか生のにおいがしないんだよな。
彼の周りには、あんなに沢山のにおいが溢れているのに。
匂いで誰かのことや思い出が蘇ることは多々あると思う、匂いの力は言葉よりも強いってフレーズが出てきたけど、その通りだと思う。
ある意味では、言葉よりも鮮明に思い出すことが出来るよね。
グルヌイユがバルディーニと出会い、蠟燭の灯りの中で、そこで話題にのぼった香水の調合をするシーンはよかった。
映画も観てみよう。 -
読み終わったあと、いつもより少し高い香水を買ってしまった