新装版 世に棲む日日 (2) (文春文庫) (文春文庫 し 1-106)

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  • / ISBN・EAN: 9784167663070

感想・レビュー・書評

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  • 高杉晋作へバトンタッチ。高杉さんは「おぼっちゃま」だったんですねぇ。などなど、他の志士のみなさんや、藩そのものの背景がよくわかる巻でした。

  • いよいよ高杉晋作が表舞台に出てくる。自分が何をなすべきか、できるのか悩み続けてきた晋作が倒幕というキーワードで自分の居場所を見つけていく。

  • 松蔭先生も、高杉さんも、強烈きわまりない人物。この手の人物が平成の世にあらわれるか、、、、

  • 野山獄での囚人とのやりとり、
    松下村塾での塾生とのやりとり、
    松蔭の人としての温かさに感動しました。
    思想においては、
    自分の命を超越してしまっていて、
    狂によって悟った人だったのだなと認識しました。

    萩にいって、
    松下村塾跡地を尋ねようと思いました。

  • 「海の向こう側の世界」への渇望または恐怖。時にそれが日本の歴史を動かしてきた。黒船による密航を企てた末、刑死した松陰。松陰の「狂気」の継承者、高杉晋作は上海へ渡航。外の世界を、西洋列強の技術と経済の力を自分の目で見たことが、高杉に革命のビジョンをもたらす。

  • 中ほどで吉田松陰が刑死
    高杉晋作が上海から帰ってくるまで

    14 死後の功名に執着した松陰。囚人駕籠に名前貼札要求
    90 高須久子、親族の委託で入牢。罪は姦淫。食費など親類持ち
    123 富岡先生、囚人仲間の富永有隣がモデル。偏屈男

    129 伊藤博文、政治閥としての松下村塾に恩恵。師弟としてはいまひとつ
    137 絵がうまかった亀太郎
    162 革命、詩人的予言者(松陰=非業の死)→卓抜な行動家(竜馬、高杉晋作=多くは死ぬ)→実務的な処理化(伊藤博文)
    西郷は第二期の人、実務的な処理化の間ではうまく行動できなかった

    156 正直者の「あほう」
    自分の罪状をおおいに述べる
    167 死罪ではなさそう?暗い予感ができない

    176 情報は人の歩く早さでしか伝わらない
    195 江戸に足を向けるための西枕?
    213 松陰のタバコ嫌い

    233 長州藩は攘夷の卸問屋。安政の大獄で引き下がった水戸藩に代わった
    242 天皇家と毛利家(江家、ごうけ)
    264 内外に大宣伝してから実行する、長州人

    278 議論好きの長州人。大将がいない。せいぜい兄貴
    大みこしを作らない
    薩摩人は「ぎ(理屈)を言うな」で、まず親分を作る。
    親分の判断で死地にもとびこむ

    独歩と富永有隣との対話、125

    川を渡って松下村塾に向かうシーンとか
    萩を歩いた後だと実感できる
    旅行してよかった
    野山獄を見る時間がなかったのは残念

    松陰の墓の近くの銅像
    跪いているのは金子重之助
    百姓身分のため扱い悪く、牢屋も岩倉獄。
    この辺の話は88ページ

  • 飛ぶが如くは松陰先生の言葉だったのが印象的

  • 晋作は女の長襦袢に手を突っ込み、素早く女の子の最も敏感な部分をむしり取ると、
    それを口に入れ食ってしまう

    「食われてしまった」と思うと、彼女は表情を変え、泣き出してしまう

    晋作はそんな彼女の肩を二本の箸さきでおさえ
    「あれは、刺身だ」
    と落ちついた声でおしえてやった

    これは長州ジョーク?
    比喩なのか、本当に赤身魚のカケラなのか
    アソコをちねっただけなのか

    司馬遼太郎の創作だろうけど、
    出張の多い昔の侍は、こうやって割礼を施すことがあったという前提の冗談なのかな
    すごくおもしろいけど、女はまずドン引き

  • ≪この若者は、つねに失敗をするために懸命の努力をしている。
    が、ときに小さな幸運もおとずれる。≫


    かれの性格について、仲間たちがみな驚嘆するところは、かれがつねに赤裸々で自分についてすこしも誇張せず、しかも非常な謙遜家であることであったが、しかし一個人の性格のなかにも人間は矛盾にみちている。謙遜家であると同比重でかれは強烈な自尊心のもちぬしであった。

    このとき、熊本人永鳥三平は不意に、
    「勇鋭力前は、吉田君の長所なのだ」
    と、大声でいった。
    「それに対し、慎重と自重をもってそれをとどめることが、そもそもむりなのだ。われわれとしては、これをはげまし、行を壮んにする以外ない」
    これをきくと、松陰は、膝を打った。
    にわかに手を動かしはじめ、そのあたりにあった硯箱をひきよせ、懐紙を伸べ、その癖のある筆で、いくつかの文字を書きなぐった。

    丈夫見ル所アリ
    決意シテ之ヲ為ス
    富岳崩ルルト雖モ
    刀水渇ルルト雖モ
    亦誰カ之ヲ移シ易ヘンヤ

    たれがなんといっても、男児がいったん決意したことは、たとえ富士山が崩れ、刀水(利根川)枯れるというような異変があっても志を変えることはできない、という意味である。

    「計いよいよ違って、志いよいよ堅し」

    「この事件は、日本人というものがいかにつよい知識欲をもっているかということの証拠として非常に興味がある。かれらは知識をひろくしたいというただそれだけのために、国法を犯し、死の危険を辞さなかった。日本人はたしかに物を知りたがる市民である」

    「この檻にあっておのれの運命に泣けば、ひとは愚者だとおもうであろう。笑えば悪漢のように見えるであろう。どういう態度もとれない。だから私はただ、沈黙をまもっているだけである」
    松陰は自尊心の強烈な、一種の伊達男なのである。

    「道をきいてくれる者があれば、私は相手が牛馬であっても説きます」

    「晋作、なぜ学問に精を出さぬ」
    と、祖父が叱ったことがある。晋作は聡いから学問すれば学者になれるのだ、といっておだてても、この少年は乗らない。経書をよむより、詩書を好み、作詩に熱中したりしている。
    「先頭の大将になるのに、それだけの学問がいりますか」
    といって、口ごたえしたりした。

    「かれらはただ重箱のすみをつつくように字義の解釈のみをやって、それだけで能事足れりとしている。そういうことが一体、どれだけの意味があるのだ」

    「君は将来、なにをしようとするのだ」
    「学問の目的どおりである」
    「学問の目的とは?」
    「治国平天下」

    ―孺子(小僧)、ナニカ知ル。
    小僧になにがわかるか、といった。詩は志なのだ、志もないのに志を偽造し、その偽志をさらに枝葉で飾ろうとするのは職業詩人のすることだ、寅次郎の詩は寅次郎の心胆のもだえ、ふるえ、あつさ、そのものが詩に凝ってここにある、よくみろ、と宮部鼎蔵は声をふるわせていった。

    書き途中

  • やっと…高杉になった。この安心感は、やっぱり松陰が理解しきれないからかな。
    司馬さんを通じて、高杉を通じて…「魂」の燃える幕末という時代を側面から見ている自分が不思議でならない。幸せ!

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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