- Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167731014
感想・レビュー・書評
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作者の片山恭一は言わずと知れた『世界の中心で愛をさけぶ』の作者である。
全部で4編からなる短編小説だが、登場人物がそれぞれ前の話に出てきた人が次の話で語り手となるので、連作集とも言えるのかも知れない。
生と死、というテーマがありつつ、その他に+α的要素として、虐待・騙されて借金を背負わされてヘルスで働く女・老い・テロ等がそれぞれの話の中に登場する。ありがちな話だなと思ってしまい、いまいち面白みが少なかった。
私は一番最後の『百万語の言葉よりも』という話が一番よかった。
過労死で亡くなった夫に実は愛人がいて・・・という一見するとドロドロしてそうなのだが、その夫の突然の死と突然の愛人発覚に子供たちや親戚に支えられつつ受け入れていく妻の姿が良かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
う〜ん、深い…ちょいわかりにくいループかなぁ
「後悔や諦念や絶望も含めて、一回限りの人生が、少しずつ自分のものになってくる。」 -
まえ〜に新幹線の中で読みました。
関係ないが、新幹線ホームにある売店の人々が繰り出す技のスピードは全てが超音速級。
一瞬のうちにカバーをかけてくれました。
拍手!
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「アンジェラスの岸辺」「雨の日のイルカたちは」「彼らは生き、われわれは死んでいる」「百万語の言葉よりも」の4つの短編から構成されている。4作品ともに「生と死」がテーマで、微妙に作品同士が絡み合っている。9・11についてところどころで言及されているのが特徴。
『死』との捉え方を考えさせられた作品。「自分は自分だと思い込むことによって、わたしたちは幸福をすごく窮屈な場所に閉じ込めているのかもしれない。わたしがわたしでいられるのは、わたし以外のささやかなものたちのおかげ。イルカやアジアンタムや今日の雨や。」「死んだように生きている。すでに死んだ生を、それと知って生きている。この社会では、そういう生き方しかできなくなっている。だから痛い思いをして、生きていることを、まだ死んでいないことを、誰かに対して証明しなくてはならないのだ。」(07年5月13日)