白樫の樹の下で (文春文庫 あ 64-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167838911

作品紹介・あらすじ

いまならば斬れる!田沼時代から清廉な定信時代への過渡期。人を斬ったことのない貧乏御家人が刀を抜く時、なにかが起きる。第18回松本清張賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 出だしに長い竹刀を持った道場破りが出てきた。津本陽の書いた千葉周作に槍のように長い竹刀を使う大石種次に対し、樽の鍔がわりにして応じたという話が出てくるので、そういう種類の剣豪ものかと読み始めたが、なかなかに複雑なストーリーだった。青山文平の登場人物の描き方はいつも通り手が混んでいて、物語は二転三転し、謎解きも簡単ではなく、最後まではらはらしながら読み進むことができた。

  • ミステリー仕立てでなかなか面白かった。しかしヒロインも脇役も唐突にあっさり死に過ぎ。江戸の頃は箱崎のあたりに中洲なんてのがあったんだねえ。

  • 時代小説ながら、途中までのミステリー感はすごかった。これが最後まで続けば文句なしの五つ星だったが。。ミステリーなしとしても、一人の青年の成長の物語として読み応えがあった。

  • 時代ミステリーの形をとっているが、いろんな読み方ができ、作品の主題も人によってはいろんな風に捉えるのではないだろうか。

    現在にも通じる格差と貧困、若者のアイデンティティ探し、友情とは?様々なテーマを含んでいるので、読む人によって違う読み方が出来るでしょう。

    文章が良いので非常に読みやすかったのですが、もう少し書き込んで欲しいところもあったかな。

  • 青山文平の出世作である。
    ある武士の生き方、剣の道を通して、武士とは、そして人間とは何かを考えさせられる。
    結末は、複雑なメソッドが絡み合ってファイナルに向かう。手の込んだ小説である。

  • 254頁を薄いとみるか、厚いとみるか。
    筆者作品は「妻をめとらば」から惚れ込んで読んできただけに、文体、内容、着地は文句ない。
    が、しいて言えば人間性の書き込みがあっさりしすぎか。

    松本清張賞という冠に疑問を抱いたが、次々と殺されて行く江戸の社会と舞台の中州で蠢く邪念疑念のウソ寒さ・・若者を取り巻く息苦しさに加えて圧倒的な貧困と先の見えない人生の道程。

    見方を変えれば種々の面白さが見えるだろうが、全く五里霧中の筋と捉える向きがいても驚かぬ・・終始流れる霧の様な。。
    私はあえてそこをミステリーの醍醐味と思い、筆者ならではの語彙の美しさも楽しんだ。

  • 「やっと訪れた春に」がオモシロかった青山文平を追っかけてみようとデビュー作(別ペンネームでは既刊ありらしい)を読んでみた。

    リズムに乗らず若干読みづらさもあるが、物語の構成は天才的。無差別辻切りの犯人捜しミステリーとしても、剣豪小説としても、青春友情譚としても、十分に読ませて熱量もあって、良くこのページ数できっちり治めたものだと思う。

    登場人物の死亡フラグからの退場がとんでもない早さでとまどったが、なるほどジラさず進めることで物語のテンポを作る手法もあるんだなと。そのテンポは熱を帯びるし、解説曰くの「成長譚ではない」主人公の変化を読み取らせやすくしているんだなと、いやテクい上手い。

    ただ、友人彼女知り合いの多くが死んでいく主人公の境遇は、さすがに可哀そう度が高すぎて、小説とはいえもうちょっと手加減したってよ…とは思った。

  • 賄賂まみれだった田沼意次の時代から、清廉潔白な松平定信の時代に移り始めた頃の江戸。幕府が開かれてから百八十年余りたった天明の時代に、貧乏御家人の村上登は、道場仲間と希望のない鬱屈した日々を過ごしていたが、ある時、一振りの名刀を手にしたことから物語が動きだします。第18回松本清張賞受賞作。
    (2011年)
    — 目次 —
    白樫の樹の下で
    解説ーーラスボスを捕えよ/島内景二

  • 可哀想な登、恋人も大切な友人たちも大勢が死んでしまった!
    刀を手にしているって大変なことなのね!

  • えー、青山文平氏って天才じゃん!!

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著者プロフィール

作家

「2022年 『ベスト・エッセイ2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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