コラプティオ (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2014年1月4日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (592ページ) / ISBN・EAN: 9784167900021

作品紹介・あらすじ

震災後の日本を描く異色の政治ドラマ



震災後の日本の命運を、原発輸出という“禁じ手”に託したカリスマ総理・宮藤。だが独裁色を強める政権の闇にメディアが迫っていく。

みんなの感想まとめ

震災後の日本を舞台に、権力と腐敗の狭間で揺れる人々の姿を描いた政治ドラマは、カリスマ総理・宮藤の暴走とその背後に潜む陰謀を巧みに織り交ぜています。彼の政策は、震災からの復興を目指す一方で、国益を名目に...

感想・レビュー・書評

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  • これは面白かったです。読みながらメモをした本書の文章を少し加筆してつなげてみました。かなり変ですが。

    新政権に就いた人たちとその支持者の方々に私は問いたいです。そこに正義はありますかと。
    強さこそが力だなどと妄信し、国益優先という詭弁の下で自らの利益を優先していませんか。
    国家権力の下では国民の命は1ドル札より軽いという事実を分かっていますか。
    長期独裁政権により、我々国民は何も考えない愚民ばかりになってしまいましたがこのままで良いわけはありません。
    暴君はいらない。No Crowns! No Kings!
    独占は紛争の源です。分かち合うことがこれからの日本、世界にとって必要なことなのではないでしょうかと。

  • 挫けたまま立ち上がれないでいる震災後の日本で、巧みな弁舌を駆使し国民の心を捉え、総理に登り詰めた登り詰めた宮藤隼人。
    彼の政治信条に共感し、側近として支える白石望。
    白石と同期で、政治の闇を追いかける新聞記者の神林裕太。
    この3人を中心に、内閣官房長官、総理主席秘書官、事務秘書官、さらに敏腕記者等により、それぞれの思惑を秘めた虚々実々の駆け引きが繰り広げられる。
    題名の「コラプティオ」とは、どういう意味か不明のまま読み続けたが、ラテン語で「汚職・腐敗」を意味すると巻末で明かされる。
    原発産業による日本復興という大事業を計画する宮藤総理。日本フェニックス計画と銘打った政策は、震災で落ち込んだ日本人に希望を持たせる。
    しかし、ウラン鉱脈が見つかった国の軍事クーデターへの関与が疑われたあたりから、カリスマ総理の暴走が始まる。独裁者として変容していく総理の暴走を、誰が止めることが出来るのか。
    権謀術数が渦巻く政治の世界を、スリリングに描き出した政治小説エンターテイメントの手に汗握る展開は、頁を繰るのももどかしく、読みふけるばかり。
    「多くの場合、権力を行使する者は、その目的が正しいと思い込んでいる。さらに、正しい目的のためなら、多少プロセスに問題があっても許されると考えてしまう。しかし世界の歴史を振り返ると明らかなように、ほとんどの不幸は、それが正しいと思い込んだ人びとによって引き起こされている。権力者が権力を行使する快感に溺れ、正しいことを行っているという満足感に溺れ、人びとは不幸に巻き込まれていく」
    著者が綴るこの言葉は、現在のロシアによるウクライナ侵略に、見事当てはまるではないか。

  • 政治は言葉ー政策を自らの魂を込めた言葉で語る事で、思いの丈が相手に伝わり、そこで初めて相手が納得してくれる可能性が出てくる。当たり前のことだと思いますが、長らく忘れていた感覚かも知れません。
    政治は思想・信条の異なる者同士が集う以上、互いがそれぞれの意見を懸命に語り合い、落とし所を見つけていく作業に他ならないはずです。
    故に自分の言葉に力を込めざるを得ないと思います。

    「言葉とは力ー私はそう思って闘っている。だから、私は語り続ける。(中略)思いの丈をぶつけて、語る。その時、言葉が力となるんだ」(9頁)

    政治家は言葉を扱う仕事と言われていますが、まさしくその通りです。政治に必要な駆け引きなどドロドロし部分は避けて通れませが、まず、言葉がありきと言うのが政治の原点だと思いました。

    コラプティオ(corruptio )はラテン語で「汚職・腐敗」の意味だそうです。最後のページに書いてありました。
    「権力は腐敗する、絶対的権力は絶対に腐敗する」という有名な言葉がありますが、そのプロセスがうまく描かれていたと思います。どんな聖人君子も権力をもつと腐敗する。それは歴史的教訓で、故に腐敗しても国が成り立つように様々な装置をビルトインさせているのが現代の統治機構であり、第四の権力と言われるジャーナリズムの存在価値です。

    この作品の概要を一言で乱暴に言ってしまうなら、衆議院議員の宮藤隼人が、総理大臣になり権力を掌握してから、腐敗していくまでのプロセスと言えるかも知れません。言葉の力で国民の支持を得て、やがて腐敗していきます。一方で暁光新聞社の取材によって腐敗が暴露されていきます。

    政治の基本は言葉、また権力の腐敗とその監視等々、政治のあるべき姿をそのまま描いてくれたとも言えます。

    第二次安倍政権はモリカケを始めとして、公文書改竄や桜を見る会等々腐敗の案件に事欠きません。それを監視するマスコミの力も弱まっており、一部の記者や新聞社の奮闘で、ギリギリ持ち堪えているのが現状ではないでしょうか。一昔前なら内閣総辞職と言われる腐敗が何度も新聞紙上を賑わせています。
    また、安倍首相の国会答弁は、常にメモを見ながらの答弁に終始し自らの言葉で答える事には程遠いです。おまけに質問に誠実に応えるという姿勢にも乏しいです。言葉を蔑ろにしています。

    至極当たり前であった政治の姿が、今は過去のモノになってしまったことを痛感させられたのがこの作品です。また、登場人物全てが大人の振る舞いしているように感じました。それぞれが自らの立場で動いていくわけですが、最低限のモラル持って行動していますし、本来ならこんな事には言及しなくてはならないぐらい、今の政治は幼稚化してると思います。

    東日本大震災後の経済復興に原発輸出を絡めていくという刺激的なストーリーの中で、官邸の動きや、新聞記者の取材風景等々が、リアリティを持って描かれています。著者が新聞記者出身という事もあり、その説得力は十二分にありました。原発の発電方式に2種類あることなど知らない事も多く、勉強にもなりました。

    真山仁氏の作品は他にも読みましたが、どれも徹底したい取材を感じさせる読み応えのある作品ばかりで大好きです。

  • 震災による原発事故により低迷する日本経済。再び強い日本を取り戻す為、首相の宮藤は破産寸前の原発メーカーに公的資金を投入し政府主導での再建を進めようとする。その背景には、日本の技術力の象徴としての原発を中国、アメリカに販売すること。受注をめぐり必要となるアフリカでのウランの利権をめぐり腐敗に手を染めていく。。。。
    苦学しながら東大に入学し首相秘書官になった正義感の溢れる青年白石。その同級生で新聞記者になった神林の二人の目線からストーリーは展開される。正義とは何か、真実とは、必要悪とはを主人公の心境描写を通して何度も問われる作品だ。

  • 途上国の政治なんて、こんなもんなんだろうなと感じた。
    権力者が力を持ちすぎることに対する警鐘を鳴らしている。
    登場人物は多いものの、それぞれのキャラクターがしっかりしており、このあたりはさすがだと思う。

    白石妻だけはちょっと自己中心的過ぎたかな。

  • 東日本大地震、並びに福島第一原発事故後の停滞感漂う日本に現れたカリスマ的総理大臣である宮藤隼人、その総理を官邸スタッフとして支える白石、総理の闇に迫る記者神林、それぞれの視点から物語が展開していきます

    宮藤総理は、あえて原発を日本経済復興のシンボルとして掲げ邁進し、巧みな演説で国民の心を掴んでいきます。しかし、成果を出したい焦りから、独裁色を濃くしていきながら、よろしくない方向に…

    官邸スタッフの助言も聞かなくたり、まさにプーチンが頭に浮かびました

    日本でも独裁者が現れないとは限らないですよ、と思わせるような内容で考えさせられました

    官邸内部や外交、官僚との攻防はなかなかイメージありませんでしたが、リアルで面白かったです

    新聞記者のネタ取り、裏取りの過酷さ、ジャーナリズムの大切さ、重要さも身に染みました。

    現状のウクライナ侵攻において、プーチンが必死にロシア国内の報道規制を張る行動も頷けました。

  • 良きリーダーとは何か考えさせられる

  • 友人に勧められた一冊。
    真山作品はこれが初かな?

    面白かったです。
    震災復興を機にカリスマ的人気を集める総理大臣・宮藤。
    物語は宮藤を支える側近の白石と新聞記者の神林、二人の視線で描かれています。

    アフリカの途上国で起きたジェノサイドを伝える小さな記事からすべてが始まり、二人は政権の闇の部分を知ることになるー。

    別の作家さんで私がとても好きな作品があるのですが
    それもカリスマ的人気政治家が独裁者に変わる危うさ、流れに任せるのではなく「考える」ことの重要性を描いていたので私はこういったテーマが好きなのかもしれません。

    ただし薄っぺらい内容になることは許されないテーマゆえ、作家さんの力量が問われると思います。
    その点、この作品は最後まで読み応えのあるもので大変面白かったです。

    また、権力欲について書かれた巻末の解説もとても興味深く、改めて考えることの重要性を痛感しました。

    2017年13冊目。

  • 最後前まで飽きずに読めた。
    でも結末の描き方が少し薄い気がした。

  • 出版年を見てから買ったので、「東日本大震災後に書かれた、現代日本の本だな」と思って読んだら、なんとその前からの連載だったとのこと。さすがは真山さん、先見眼が鋭すぎていらっしゃる、、、
    統率力のあるリーダーに、人間はついつい流されるようについていってしまうけれど、本当にそれは自分の意思なのか?と問うことの大切さ、そしてそのリーダーは、権力を手にしたことによって、当初の目標をおざなりにして、自らの私利私欲に走ってしまってはいないか?と冷静に見つめることの大切さがひしひしと伝わってきた。
    メディアの発信力も相まって、とても読み応えのある作品。

  • めちゃめちゃ面白かったー!まさに現代を描き出している作品です。この作品のように、現政権も…と期待せずにはいられません。

  • カリスマ総理と言われる総理大臣に仕える官邸秘書官が活躍する話。
    アフリカの国のウランを採掘する権利、原発事故、大手電機メーカーの国有化など、色々とリアルさを感じさせながらドキドキしながら楽しめました。
    一方で、新聞記者のタイヘンさも垣間見ることができ、秘書官ともどもたいへんな仕事だと感じました。

  • 「コラプティオ」とはラテン語で「疑獄」を意味するとのこと。本書真山仁の『コラプティオ』は原発を取り上げて3.11以降をイメージした物語である。しかも、ポピュリズムやカリスマが生まれる土壌と、登場人物にそこに楔を打たせることで、真山仁は読者あるいは国民に対し、政治への関心と、今何をなすべきなのか?問うていると思わせる。

    「福一」が発生したことで、これまで週刊誌で連載していた内容を変更して書籍として発表したとのこと。作者としても原発あるいは政治をこれまで以上に強く意識するきっかけであった。そして、本書を通じ、改めて読者に対して問題意識を投げかけたのではないだろうか。

    今の日本では、ヒトラーのような国民を煽動して取り込んでいくという手法は通じない、ということを断言できるだろうか?政治への無関心の蔓延とそこを突いたV字回復的な煽動手法は簡単に国民を熱狂に包み込んでしまうのではないか。現時点ではだいぶ過去のものとなりつつあるが、民主党への政権移行時にはそうやってなにかの期待感が高まったようにも見える。

    現在は、異なる意味で閉塞感と安倍一強時代が継続しているが、これが崩れた次の次にまた歴史は繰り返されるような気がする。3.11が薄れてきた今こそ本書が本当に伝えたかったことの一つである煽動政治への恐れを思い返すべきなのだ。

  • 希望の国のエクソダスだったか、それを思い出した。
    自分と世界の関わり方、何者かを考えさせられる。
    感情移入先が難しく、いずれも間違えない人間などいないことを痛感させられる


    言葉を自在に操る者こそ強者だ
    誰かに評価されたくて仕事をしてるわけじゃない。

  • 震災後に救世主のように現れた宮藤首相は、原発の技術力で日本を復活させようとするが、ある事件を切欠に正義の置き場所を誤り、泥沼に嵌っていく。気鋭の腹心白石は彼に心服しつつも、次第に胸に沸く疑惑に目を背ける事が難しくなって行った。

    力作です。震災と原発がテーマになっていますか、どちらかというと政治と金の方がメインです。かなり手強い本でした。

  • 初の真山仁作品

    久しぶりの政治ものだった
    停滞していた日本経済を力強く引っ張っていくリーダーの出現と彼を支える男と後々彼を監視する立場であるジャーナリストの物語

    前半は内閣総理大臣の宮藤の台詞や立ち振る舞いを文字で読んでいてる自分自身も鼓舞されて圧倒された
    こんなリーダーだったら確かに何も考えずついて行きたくなるようだった

    ただ、後半から出てくるえげつない行為から少しずつ翳りが出てきていて少しづつ失望感を抱えて読むことになった。

    どんなに国を力強く引っ張ってくれるリーダーでも、いつからか自分の行為ではなく自分そのものが正しいと思い始めてからは自分に従うもの以外を排除してしまう独裁者になってしまう可能性はあるということを感じた。
    そうなる背景には自分が声をあげれば賛同の声を返してくれる、アーティストのファンのような存在が大きいのかなとも考えた。彼らが多ければ多いほどリーダーは助長し、自分は正しく、反対意見は無視してしまったり敵視する恐ろしさを宮藤の落差から見せつけられた。

    政治ものはサスペンスものや日常系のものと違い、展開や役職が難しいものも多く、勘どころもないので完読には時間がかかった。

  • 政治が面白いと初めて思わされた小説だった。そもそも政治に興味を持たないのは、(ほとんど)全てが建前で構成されている、と思わされるからであるように思う。国を挙げての「茶番」の中で、時々本音を見せてくれる政治家に人気が集まるのもそのせいでではないだろうか。W主人公のこの小説で二人に共通するのは、この小説で何度も述べられる「青臭さ」にある気がする。なかなか巧妙な形で伏線が回収されていたので、近いうちに再読して、この小説をもっと楽しみたい。

  • 入院のお供に厚めの本を。

  • 圧倒的な求心力で、多く支持を集める総理大臣の宮藤。宮藤に心酔し、政治学者から宮藤の政策秘書の立場に着く白石。暁光新聞の記者として、政権の闇をスクープで暴こうとする白石の同窓生神林。
    主に白石と神林の視点を、交代させながら、強大な権力を持つことの危うさを描いた政治小説。

    久しぶりに、鉛を飲み込んだかのようなドッシリと重たさを感じさせてくれる小説。
    登場人物が少ないので、現実的な政治小説というわけではなく、2人の若者の成長と正義感を描いた物語,という方が正解かも。

    タイトルの意味が最後に書かれているので、最終ページは最後に見ることをお勧めします(笑)

  • 性格も立場も異なるふたりの青年が政治の世界をどのように渡り歩き、どのようにこの国を憂うのか。

    ひとりは総理補佐官の理想主義者の白石
    もうひとりは新聞記者の野心家の神林

    登り口や登頂ルートは違うのだけれど、同じ結論に至るのはおもしろかったです。
    宮藤を軸にして田坂が白石を育て、東條が神林を育てた対立軸もおもしろかったです。

    手段としての権力は、結果が手段を肯定しますが、
    目的としての権力は、腐敗が進み権力はやがて暴力へとエスカレートしていきます。

    また、理想とするリーダー像というのは存在しなく、その組織(社会)の成熟度や状況によって、理想のリーダー増というのが変容していくというのを提示しているのもおもしろかったです。


    学生の頃に読んだ職業としての政治、君主論を再読したくなりました。今読んだらあの頃とは捉え方が変わっているとは思います。
    (もうそんな気力もありませんが)

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著者プロフィール

1962年、大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。新聞記者、フリーライターを経て、2004年、企業買収の壮絶な舞台裏を描いた『ハゲタカ』でデビュー。映像化された「ハゲタカ」シリーズをはじめ、 『売国』『雨に泣いてる』『コラプティオ』「当確師」シリーズ『標的』『シンドローム』『トリガー』『神域』『ロッキード』『墜落』『タングル』など話題作を発表し続けている。

「2023年 『それでも、陽は昇る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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