- Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167902735
感想・レビュー・書評
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2年前、この作品が発表されて、「文庫まで待とう」と決めていました。まだ京極さんの作品の中で読んでいないものがあったからです。なので、2年間すごく楽しみにしていました。本屋さんの偶々文庫化をしているのを見つけたときはニヤけが止まりませんでした。
京極堂シリーズに登場する関係者にスポットライトを当てた短編集です。1話ずつ、ちゃんと感想を書きたいので、この読書メモは長くなる予感がします。
「青行灯」(陰摩羅鬼の瑕より平田)
事件の後日談。平田が由良家の財産を任され、古書を処分するために京極堂を訪れる場面もあります。ラストが謎でした。平田の妹って?由良老人は何を知っているのでしょう。
「大首」(陰摩羅鬼の瑕、邪魅の雫より大鷹)
この人、好きにはなれませんが、嫌いでもない人でした。ただ、まっすぐ過ぎて怖い面もあって、ドロドロですね。この人は、徳子さんともしも結婚していたら、少し違っていたのではないでしょうか。
「屏風闚」(絡新婦の理よりマキ)
まさかマキばあちゃんにスポットがあたるとは。木場がちょくちょく様子を見に行ってくれるといいな。
「鬼童」(邪魅の雫より江藤)
神埼宏美は大っ嫌いです。全てこの女のせいだと思います。それでも江藤も嫌いです。パラサイト、なのかな。生きれるから死なないから生きる。榎木津に空っぽって言われ、なんか自分にもあてはまるんじゃないか、とか考えます。それを思うと余計に嫌だ。
「青鷺火」(狂骨の夢より宇田川)
宇田川先生!この人は本当に気の毒でした・・・。この作品(狂骨)がとてもとても悲しい結末だったので、また悲しくなってきました。
「墓の火」(鵺の碑より寒川)
鵺の作品ですね。もー気になって仕方ないです。早く鵺の碑が読みたいです。
「青女房」(魍魎の匣より寺田)
匣の教主様ですね。鬱病、今でもそんなに理解されている訳ではない。頭でわかっていても、気持ちがついていかない。それが病とわからなかった時代ではとくに・・・。
「雨女」(邪魅の雫より赤木)
泣いてしまいした。電車の中で。赤木、不器用だけど、本当に優しい人だったんですね。優しくないと言い訳をたくさんしているけど、自分の評価は違うのだろうけど、人は未来が見えるわけではありません。だから、正解(この場合、何が正しいのか微妙ですが)はわからないです。赤木がした行為で救われたことも多くあるはずです。もっと悲惨なことになっていた可能性だってあります。私は赤木が好きです。
ほんとに、神崎と江藤、許せん。
「蛇帯」(鵺の碑より登和子)
榎木津の兄が初登場するのではないでしょうか。ううーん、どんな作品なのでしょう。碑はキーワードですね。寒川父が見つけたとんでもないものって・・・
あと、セツが元気そうでうれしかったです。
「目競」(榎さんの話)
なるほど、と納得する話。とても面白かったです。そして関口くんがまさか出てくるとは思っていなかったので、うれしすぎです。
本作は榎さんの目の話。人の記憶が見える目。本人は説明が嫌いだから、作中で自分の目のことを説明してくれることがありません。それをこうやって解説してくれるまた違った視点で榎さんを知ることになりました。榎さんは人気がありますが、その人気の理由もわかります。そして、京極堂でごろごろしているのは、視ないようにするためだったんですね。
本当に、大満足な1冊でした。眠くなってきたのでこれで眠ることにします・・・。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2017.6.28 ★3.0
百鬼夜行シリーズのサイドストーリー短編集。
百鬼夜行シリーズは全て読んでいるものの、登場人物の名前と性格を覚えていないので、全く別物として読んだ。
どの話も暗い終わりを迎える。
唯一覚えている榎木津の話だけはしっかりと興味深く読めた。
↓↓↓あらすじ↓↓↓
人に見えないものが視える。闇の中に、他人の恐怖が悔恨が苦痛が悲哀が―視えてしまう。そんな男、榎木津礼二郎にとりついているのは魚の眼だった(「目競」)。『狂骨の夢』『絡新婦の理』『邪魅の雫』他の名作、そして『鵺の碑』に登場する者たちの闇と因果を綴る怪異譚。魔術的な語りの果てに―妖しきものが現れる。 -
榎木津礼二郎を最後にもってこられちゃあ、それまでの短編が頭からすっとんでしまいそうだ。敬愛する薔薇十字探偵の生い立ちを知る。こと彼の過去に関しては、謎のままでよかった気もするのだけれど。ああ、これで百鬼夜行シリーズの長編9冊、連作小説集5冊を完読してしまった。この本に収録されている『墓の火』と『蛇帯』は、未だ発刊されていない『鵺の碑』のサイドストーリーだというから、はよう本編読ませてよ。寒川英輔の死因が気になるでしょうに。(追)そうそう、榎木津が実はお魚見るの大好き「さかなクン」だったのは笑える。
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信州の、と言われればオンモラキだっけか?房総半島のと書いてあれば、あれはジャミの……と、思い出しはするものの、もうキャラクタの名前とか忘れてるし、参照するほどの熱意はないし、で、結局知ってる人は薔薇十字探偵だけ。とはいえ、うーん、加法での三原色って、赤緑青なんで、というか、今時PC使ってる人なら知ってるじゃんみたいなミスがちょいと喉に刺さったトゲのように不快だなぁ。
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2015/10/4
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この本を読む人はおそらく初見ではなく作者・シリーズのファンのはずだから大丈夫だと思いますが、とても重く、暗い話詰めです。トラウマや転落話、人でなしなどなど…。
唯一読後感さっぱりと読めるのは榎木津主人公の「目競べ」のみ。内面が主に描かれてるのでいつもの他人をけむに巻く言動が無く、基本至極淡々とした人なのだなぁと言う感じです。ただ、実質母親不在なのは気になりました。生まれ持った体質について聞くなら、母親が一番なのでは?と思うんですがね。 -
百鬼夜行シリーズの端役を主人公にした短編集
短編とは言っても京極サイズではあるんだけどね(笑)
そして最後は榎木津の話
各話を読んで、「あ~、この人ね」とわかるものもあれば
「誰?」と思いつつ、最後までわからないものも・・・
どうやら次作の登場人物も混ざってるようで、そりゃぁわからないはずだわ
全体的に暗い、みんなどっかおかしい(まぁ妖怪憑きなんだからそりゃそうだけど)
読んでいて楽しいものではないかも
シリーズ未読の人が読んだらどうなんだろ?
個人的にはマキさんのこじらせっぷりとか、寺田さんがああなるきっかけが変わったのはよかったね
あと、平田さんとの話しで古書とはというお話しも興味深い
減価償却するものでもないし、かといって骨董とも違うし、そもそも本の価値とは?というのは面白く読めました -
相変わらず面白い
でもやはり重ーい気分になる(^^;)
どのサブキャラにも理はあるんだよね…と
色々考えてしまった -
本編で書かれていなかった人たちに焦点を当てた一冊。
一人一人のキャラの行動が、突然起こったものではなく何かしらの道筋があったんだなとわかって興味深い。 -
これまでの京極堂シリーズに登場したサブキャラたちの過去や因縁を「妖しのもの」として物語るスピンオフ短編集の第2弾です。
主要キャラ榎木津礼二郎の過去話など、読む前から興味惹かれるストーリーもありますが、ぶっちゃけほとんどのキャラを覚えておらず、スピンオフとしてはピンとこない…。新作もなかなか出ないもんだから、ちょっと忘れかけてたせいもあるかも。話者の語り口調もちょっと一辺倒な感じがして楽しめなかった。本編の読み直しが必要なのかな。