火花 (文春文庫 ま 38-1)

著者 :
  • 文藝春秋
3.34
  • (398)
  • (939)
  • (1164)
  • (444)
  • (127)
本棚登録 : 13178
感想 : 1087
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167907822

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 芥川賞受賞作品。前半の神谷の漫才哲学は、まどろっこしく感じたが、天才:神谷を表しているんだろう、と解釈。「僕は神谷さんの優しい声に弱いのだ」そこに漂う哀しさと作品全体を包む切なさ、やるせなさ。又吉直樹、ピース又吉の優しいけど冷静な視線も見た気がした。ドラマは初回しか観てなかったのに、林遣都と波岡一喜が頭の中で映像化出演してきました。

  • 話題になりましたが、なかなか手に取る機会が少なく、だいぶ時間が経ってから読みました。
    淡々とした描写が続いてはじめはとっつきにくいように感じましたが、後半の展開に感動しましたね。

    笑いに対して求めるあまり、社会性からちょっとずれている先輩との掛け合いや、直向きな思い、夢を諦めなければいけない現実と葛藤。最後はちょっとしんみりしてしまいました。

  • 夢を追う事は辛くて、幸せ。ラスト漫才は涙でした。

  • ある一人の売れない芸人と天才肌の先輩芸人の話。笑いとは何か人間とは何かを描いている。


    芥川賞をとった話題の本だし、短めだから読みやすいだろうと思ったが、自分には少し読みにくかった。

    使われている言葉や情景の表現は美しい。
    しかし、語彙力のない自分には普段目にしない言葉が時々ノイズとなってしまい読む流れが止まってしまった。

    読む前のイメージは大衆小説だったが、実際は純文学だった。又吉さんは本当に本が好きなのだろう。
    時間をおいてもっと本に触れてから読み直したい作品だ。

  • 話題作であり、芥川賞受賞作。

    ようやく読むことが出来ました。

    著者が本当に多くの本を読んでこられた事は十分に伝わりました。

    皮肉ですが、それ故に所々で日本語の表現が難しい。

    結局のところ本作で何を伝えたかったのだろう。

    私には答えが見つけられなかった。

    説明
    内容紹介
    売れない芸人の徳永は、熱海の花火大会で、先輩芸人である神谷と電撃的に出会い、「弟子にして下さい」と申し出た。神谷は天才肌でまた人間味が豊かな人物。「いいよ」という答えの条件は「俺の伝記を書く」こと。神谷も徳永に心を開き、2人は頻繁に会って、神谷は徳永に笑いの哲学を伝授しようとする。吉祥寺の街を歩きまわる2人はさまざまな人間と触れ合うのだったが、やがて2人の歩む道は異なっていく。徳永は少しずつ売れていき、神谷は少しずつ損なわれていくのだった。お笑いの世界の周辺で生きる女性たちや、芸人の世界の厳しさも描きながら、驚くべきストーリー展開を見せる。笑いとは何か、人間の本質とは何かを描ききり第153回芥川賞を受賞、2015年の話題をさらったあの「火花」が待望の文庫化! 受賞記念エッセイ「芥川龍之介への手紙」を併録。2016年「朝の読書運動 高校生部門」1位。原作映画が2017年11月23日(木・祝)全国東宝系にて公開決定! 出演:菅田将暉・桐谷健太・木村文乃 監督:板尾創路
    内容(「BOOK」データベースより)
    売れない芸人の徳永は、天才肌の先輩芸人・神谷と出会い、師と仰ぐ。神谷の伝記を書くことを乞われ、共に過ごす時間が増えるが、やがて二人は別の道を歩むことになる。笑いとは何か、人間とは何かを描ききったデビュー小説。第153回芥川賞受賞作。芥川賞受賞記念エッセイ「芥川龍之介への手紙」を収録。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    又吉/直樹
    1980年大阪府寝屋川市生まれ。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属のお笑い芸人。コンビ「ピース」として活動中。2015年「火花」で第153回芥川龍之介賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 「漫才は面白いことを想像できる人のものではない。偽りのない純正の姿を晒すねん。」
    「漫才は本物の阿呆と自分を真っ当と信じる阿呆によってのみ実現できる。」

    仕事、アウトプット。
    そして捉えられ方、評価には人格が宿る。

    又吉さんの言葉から感じ取れたこと。

    #読書好きな人と繋がりたい

  • 面白かった。

    純粋で粗いものと、世間との折り合い、と見えました。

    神谷さんはすごいのだけど、それでいいのだろうか、と思う自分はやっぱりもう子どもではないんだと思った。

    どうか、世間、というものをただ敵と見ないで、
    と思っていたので、
    ラストはほっとしました。
    網を細かくすると余計なものも掬うけど、それも抱えて生きていく。
    何者かに、神になる必要はないんだと思う。

    最後の漫才は素晴らしかった。
    ところどころ本気で笑える掛け合いも、さすがでした。

  • 漫才師が漫才へ臨む姿勢、意欲、情熱、嫉妬…とにかくあらゆるエネルギーが詰まってそれがなんだか上手く放出できず燻って、あとから思い返すような感じでした。

    漫才だけじゃなくて芸能や、創造へ取り組む人やそういう経験がある人には尚更楽しめる作品だったかも知れません。自分には「こういう人たちも居るんだなあ」くらいでしたが、華やかな世界の裏側を除き見れた気がしてちょっとドキドキしました。

    徳永と神谷の掛け合いは面白い一方で、いつ破滅するか分からないちょっと危うい感じもあり。最後の旅行のくだりは切なくなりました。

  • 芸人という人前で表現をする仕事で、万人受けする面白さではなく、自分が心から面白いと思っているものを伝える難しさ。
    自分が面白いと感じる、そのセンス自体を一切曲げようとせずに貫き通す神谷の姿勢には少し憧れます。カッコよくも思いました。

  • 自分らしくを貫くって難しい。世の中生きづらい。
    大人になって、世間の目を気にしたり、自分の理想と現実に折り合いをつけたりして、色んなことを諦めることが増えた。
    だからこそ、自分にはない生き方に憧れたり、時にはどうしようもなく恨めしい気持ちになったり、惨めな気持ちになったりする。

    神谷と徳永の生き方が、読んでいて妙にヒリヒリと、でもどこか懐かしいような感覚で伝わってきます。自分の生き様について考えさせられる本でした。

  • 美しい世界を、鮮やかな世界をいかに台無しにするかが肝心なんだ。

  • 純粋さだけでは大人になれない。努力で埋められないものも確かにある。ひとつのこと、延いてはひとりのひとに向き合う誠実さとその謙虚さが、優しい気持ちにさせてくれる1冊だった。

  • この本を手に取った時に、私が抱いた先入観は、又吉先生がお笑い芸人であるということでした。お笑い芸人が書いた小説、知名度が高いから評価が高いのだと思っていました。しかし、小説を読み進めていくうちに、物語の世界に入りこみ、最後まで一気に読み終えました。文章がとても綺麗で、とても好きな作品の1つです。

  • この本で好きなセリフがあります。

    「必要がないことを長い時間をかけてやり続けることは怖いだろう?一度しかない人生において、結果が全く出ないかもしれないことに挑戦するのは怖いだろう?

    無駄なことを排除するということは、危険を回避するということだ。臆病でも、勘違いでも、救いようのない馬鹿でもいい、リスクだらけの舞台に立ち、常識を覆すことに全力で挑める者だけが漫才師になれるのだ。」

    夢を叶えるためにリスクを恐れてはいけない。

    むしろリスクを越えてこそ、夢が叶えられます。

    そんな夢に挑む若者の生き様を描いた作品です。

  • ◯芥川賞受賞作という前提として読むと、どの辺りが?と思いながら、楽しんで読んでしまう。
    ◯出版社の賞だから、商業的な面もありなむと思っても、一縷の望みをかけて読んでしまう。
    ◯なるほど、芸人ならではの表現だなと思う。真剣な状況も、ボケとツッコミの掛け合いのような表現で出来ている。しかし、そうあることに溺れ、遂には溺れてしまう。

    ◯芸事を生業とする人なら共感できる。でも芥川賞の理由はよくわからない。

  • 世間からズレた不器用な人間が己を信じながらもズレた存在であることにもがき苦しむ。先輩後輩のふたりの対比を通して心をギュッと掴まれっぱなし。大好きな小説のひとつになった。

  • 芸人としての純真さか、世間の目を意識した人間としての常識か。

    笑いを追求していく中での葛藤や人間関係の摩擦をテーマとして「理想と現実」が正面衝突するような、まさに火花を散らした作品だった。

    文体は静かながら、"芸人としての誇り"や"売れない恐怖"がひしひしと伝わってくる。


    とても好き。

  • なぜか千鳥・大吾が頭に浮かびました。純文学。

  • 第153回芥川賞受賞作品
    純文学と言う事ですが、自分には全く合いませんでした。純文学ってこういう物?

    確かに文学的な表現があちこちに出てきますが、残念ながら、その表現している映像が浮かびません(涙)
    そして、なによりストーリ展開。
    結局、漫才師を目指した青年の物語っていう感じなのでしょうが、そこから、メッセージを感じ取ることが出来ませんでした。

    ストーリとしては、売れない漫才師の徳永が、天才肌の先輩芸人の神谷と出会います。その神谷との付き合いの中で、売れない芸人の生活、自分を表現するという事、そして笑いとは何かを語っていきます。笑いについて、真剣に取り組む姿勢は感じられました。
    しかしながら、本書で語られている神谷のエピソードや行動にも、徳永の行動にも共感が持てません。さらに、本書で語られているような「笑いとはなにか」とか、考え方とか、その生きざまみたいなモノは、正直どこかで聞いたことのある様な内容で、本書で初めて知る様なものでもありません。
    結局、本書を通じて、何を語りかけたかったのかを読み取ることが出来ませんでした。
    ストーリに引き込まれるところもありませんでしたし、登場人物に共感を持てるところもありませんでした。

    純文学って難しい(笑)

    やっぱり純文学より、エンターテイメント小説、ミステリー小説が好き!!

  • 累計発行部数326万部。第28回三島由紀夫賞候補作。2016年「朝の読書運動 高校生部門」1位。第153回芥川龍之介賞受賞作。
    2016年NETFLIXにてドラマ化され、翌年NHKにて放送。2017年映画化された作品。
    また海外でもアジア圏や欧米圏と幅広い国々で翻訳版が出版。

    本作は、『中学生の頃から人が笑ってくれるのが楽しい』という純粋な思いから、芸人を目指して夢の中を生き、様々な葛藤の中、夢の舞台に幕を下ろしていく1人の芸人にスポットを当てた作品。フィクションとはあるが、又吉氏自身の実体験をモチーフにした内容も含まれていたように思うし、尊敬する芸人『神谷』にも、モデルになった先輩芸人がいることも打ち明けている。

    途中途中の描写や展開も読んでいて面白く感じた他、「本当の地獄というのは、孤独の中ではなく、世間の中にこそある」のような、又吉氏の生の言葉なんじゃないかと思うような、そんなセリフも含まれてたりするのが印象的な作品でした。





    売れない芸人の徳永は、天才肌の先輩芸人・神谷と出会い、師と仰ぐ。
    神谷の伝記を書くことを乞われ、共に過ごす時間が増えるが、やがて二人は別の道を歩むことになる。
    笑いとは何か、人間とは何かを描ききったデビュー小説。
    芥川賞受賞記念エッセイ「芥川龍之介への手紙」を収録。

  • 文体に惹き込まれた。芸人としてやれるところまでやってやろうという魂を感じて心打たれた。

  • ちゃんと純文学

  • 読書という趣味への架け橋となってくれたことに感謝したい。小説の面白さとはこういうことか、文が美しいとはこういうことか。

  • 笑いのツボが変な私はお笑い芸人のネタで
    笑えることは少ないのですが。
    恐れを抱き憧れていた人の、あほんだらの、末路がアレな姿でおかしくもあり悲しくもありました。
    姿そのものもそうですが最後に主人公が憧れの人に諭した言葉達による反応がまた悲しかったです。

    芸は身を助くで、主人公が不動産屋でも活躍?できてるのが、よかった。

  • 文学好きな人が書いた本、って感じの表現の羅列、は言い過ぎだけど、内容は悪くはない。あまり悪く書くと又吉さんも気にするのか、それは、この主人公だけなのか、それとも神谷タイプで我道を行くのか。

  • 読むのに時間が掛かってしまうのは、やはり作品に入り込めていなかったからだろうと思う。
    あと、出だしは又吉さんの顔がちらついて集中ができなかった。

    さて、芸人さんのお話。師弟関係を結んだ先輩芸人のことを慕いながらも、どこか息苦しく感じる関係。その気持ちは畏怖のようなものなのか、自分なりの持論を持っている先輩に認められたいが、先輩のようにはできない苦しさか。いや、その先輩が正解なのか?そもそも正解があるのか?など悩みながら、芸人の夢を追いかけ続ける。

    そして、最後に泣かせてくるという構成。結果、色々解釈をしたくなる内容で面白かった。

    そして、何よりエッセイの芥川龍之介への手紙が面白かった。笑える内容。

    又吉さん、また読んでみたい。

  • 臆病でも、勘違いでも、救いようがない馬鹿でもいい、リスクだらけの舞台に立ち、常識を覆すことに全力で挑める者だけが漫才師になれるのだ。

    帯に綴られていたこの言葉を現すような、スパークスの最後の漫才のシーン。泣きました。

    普段はテレビに出演されている売れっ子さんをみることがほとんどですが、自分の目の届かない場所でリスクだらけの舞台に立ち続けている人、立っていた人が沢山いるんだと実感して、自分自身も生きる力をもらった気がします。

  • 笑いと、人生の虚しさ、切なさの両面が描かれていた。
    何かを追い求めて突き詰めようとする人間のすごみと愚かさを同時に感じた。
    純文学だけれど、言葉はあまり難しくなくすっと読める。

  • 又吉の本は(芸人なので苗字呼び捨てにしちゃう)劇場から2冊目。劇場はあまり本を読まない大学生の時期に読んだが、滅茶苦茶面白くてバイトに行く道に歩きながら読んだぐらい読むのが止まらなかった記憶がある。以下火花の感想。

    関西人である私にとって関西弁の登場人物たちにはとても親近感があった。
    また、登場人物たちの"笑い"や"芸人"について真剣に考えている姿が興味深かった。芸人の又吉が書いているだけあって作中の会話が面白く飽きなかった。流石やなと思った。
    ボロボロになったとしても自分がこれと決めた一つのことに直向きになれる彼らを純粋に羨ましいと思った。

    中央線沿いに住んでいるので大好きな地名が出てきて嬉しかった。吉祥寺にはよく行くので情景がリアルに思い浮かんで楽しかった。

    主人公のコンビ、スパークル最後の漫才は不覚にも泣いてしまった。あんなん、泣く。

    本は会話ではない文章に読み疲れることが多いがとても鮮明に場面が思い浮かび、テンポも良くずっと面白かった。

    スパークルは結果的に一般認知されるほどには売れずに解散という形になった。私自身そのような芸人の解散をネットニュースなどで見て、(あーあ。芸人はそんな簡単に売れへんよ。自分自身はリスク高い人生を選ばなくてよかった。)とよく思っていた。しかし芸人として大成功を収めなくてもそこにはちゃんと幸せだったことや楽しいと感じたこと、彼らを愛してくれた人たちがいて、一言で"失敗"と言うべきことではないなと思った。そもそもスパークルにおいては10年も続けられることがすごい。

    火花だけではなく劇場もそうだったが、又吉は救いのないクズ男を描くのがうまい。

  • 芸人さんが書いた小説だからか、思わずクスッと笑ってしまう、そんなユーモアが全体的に散りばめられていて、更に、神谷と徳永の泥臭さも相まって、読み終わった後しばらく余韻に浸った。

全1087件中 31 - 60件を表示

著者プロフィール

又吉直樹(またよし・なおき)
1980年、大阪府寝屋川市生まれ。2003年より、お笑いコンビ「ピース」として活躍。2015年『火花』で第153回芥川賞受賞。代表作に『東京百景』『劇場』『人間』など。

「2021年 『林静一コレクション 又吉直樹と読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

又吉直樹の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×