検察側の罪人 上 (文春文庫 し 60-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167907846

感想・レビュー・書評

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  • 複数巻を並行に読むよシリーズ。

    研修で、検事をやっている先輩検事である最上の言葉に感動した新人の沖野は、その5年後、最上の下で働くことになる。ある日、金貸しをしていた老夫婦が滅多刺しで殺されているのが見つかり、その借用書から、最上の知り合いの娘が殺された事件の容疑者だった男が浮上する…。

    うーん、冒頭は読みにくいし、そこを越えると短調で面白みのない話が続くし、そもそもタイトルで半分はネタバレしちゃってるし、あれ?いつになったら誰が罪人になるの?みたいなところに頭が引っ張られてしまって、全然楽しめない。

    ちょっと整理しよう。まず冒頭の研修のシーン。なんとも無機質で誰を追えば良いのかわからない状況に、どんどん登場人物が増えていく。その割に話は良く言えばドライ、悪く言えば古臭くて薄っぺらい正義の話が伏線なんでしょうねと言いたくなるわざとらしさで入り込む。

    そこに過去の由希の話が入り込んでくるわけだが、登場人物を頭で整理しているところに、最上の過去の話、さらには特に広がりもないわけで、単純に読みにくい文章が続く。

    その後の大田区の老夫婦殺害の話からは読みやすくなるものの、ジャブ的に一つ事件を解決して、次の事件が本番かな?と思わせておいて、それがメインですか。いやいやいや、さっきの魚がメインディッシュでしたか?だったらさっさと食べて下げてもらわずに、ちゃんと味わえばよかったわー、という展開となる。

    唯一の救いが、最上の同級生が政治的に窮地に追い込まれており、こちらで話が広がっていくんだろうなあ…ええ…?

    まあ、上巻で「このあと彼はどうしたんでしょうね」という余韻を持って終わってくれてもいい話だ。沖野も沙織も最上も松倉も薄っぺらくてなにも感じないキャラクターのままだし、読みやすいけどまだ下巻有るのか、としか思えない。

著者プロフィール

1968年愛知県生まれ。専修大学文学部卒。2000年、第4回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作『栄光一途』で小説家デビュー。04年に刊行した『犯人に告ぐ』で第7回大藪春彦賞を受賞。他の作品に、『火の粉』『クローズド・ノート』『ビター・ブラッド』『殺気!』『つばさものがたり』『銀色の絆』『途中の一歩』『仮面同窓会』『検察側の罪人』『引き抜き屋1 鹿子小穂の冒険』『引き抜き屋2 鹿子小穂の帰還』『犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼』『犯人に告ぐ3 紅の影』『望み』などがある。

「2021年 『霧をはらう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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