- Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167919856
作品紹介・あらすじ
社労士4年目のヒナコのもとに、家具会社のワンマン社長から、男性社員の育休申請の相談が持ち込まれた。古い価値観の社長にヒナコは困惑。そればかりか、転職サイトに「育児休業を申請したが男性は無理だと断られた」と書き込みがあったことがわかり……(代表作)。労務問題×ミステリー、人気シリーズ第3弾! 解説・藤田香織
絶好調!いきなり文庫 労務×ミステリー
ユーチューバーは副業としてアリ?
男性社員の育休を認めないワンマン社長
【社会保険労務士とは?】
労働・社会保険問題から年金まで企業のお手伝いをするお仕事(国家資格)
ヒナコもついに社労士4年目、
コロナ禍での新たな問題に大奮闘!
シリーズ文庫*好評発売中!
第1弾『ひよっこ社労士のヒナコ』
第2弾『きみの正義は 社労士のヒナコ』
感想・レビュー・書評
-
<ひよっこ社労士のヒナコ>の3冊目。
私の職場でも給与計算ができる人を募集しているが、社労士事務所に勤めている人からの応募が意外とある。
人様の会社の計算を請負でやるより自分の会社の現場でやってみたい云々という志望動機が多く、分からなくもないが、せっかく勉強の道筋がついているのだったらそちらでやるほうが良いのになと、社労士の資格を持っていたとしても宝の持ち腐れみたいな現場でくちゃくちゃになりながらやってきた私などは思ってしまう。
さて今回は、コロナ禍になった年の夏頃から始まるお話。
まず出てくるテーマが雇用調整助成金。そこから同一労働同一賃金+自爆営業、個人商店の労災保険(労災保険は色んなバリエーションで話が作れるな)、 リモートワークに副業、男性の育休取得と続く。
いきなり文庫化のお陰で特に後半のほうはタイムリーな話題になっていて、興味を持って読み進めることが出来る。
しかし、4年目で独立を考えているヒナコって…。ビジョンを持つのは悪くはないが、『独立に向けて布石は打っておかなければ』なんて10年(かどうか分からないが)早いわ!
ついでに言うと、世の中の経営者や人事責任者が保守的or頼りないor悪人ばかりのように書かれるのがワンパターンになってきた。
プチ謎解き(ミステリーと言うほどのことはない)も、大した証拠もなく問い詰めていったり、言われたことを鵜呑みにして追及をやめる、みたいなところは相変わらず。
せっかくいい素材を使っているのに、かなり残念。
なお、第四話における「減給7日分」という懲戒処分だが、制裁規定の制限を定めた労働基準法第91条に違反すると思われ、それを看過したヒナコ先生にはかなりがっかりしたことも付け加えておく。 -
お仕事日常の謎のミステリーですね。
「社労士のヒナコ」シリーズの3冊目です。
やまだ社労士事務所に勤める朝倉雛子は、四年目になる。
かなり経験値がましたとは言え、コロナ禍で新たな問題も出てくる。
雛子は、独立を視野に入れているが、世の中は理屈通りにはいかない。またまた、苦戦の連続だが、持ち前の感の良さと好奇心で懸案の問題の裏にあるなぞを解き明かす。
五話の短篇連作。
いずれも癖のあるキャラクターが出てきて、雛子を悩ませる。
社会保険労務士の仕事の複雑さを、丁寧に綴るのは、さすがですね。理屈っぽくならないように、事案の謎を絡めて、読みやすい文章を駆使されています。
やまだ社労士事務所の面々の、ユーモアと機知に助けられて、雛子が成長する物語も楽しいです。
社労士の仕事は多岐に亘るのと、社会人には有用な情報も学べるのが良いですね。
このシリーズは、まだまだ奥が深いので、次回作が期待できそうです。 -
※
ひよっこ社労士のヒナコ
きみの正義は社労士のヒナコ
に続く第三弾。
今の時勢にマッチした社会問題や労働問題が
ピンポイントで物語になっているので、
読みながらなるほどと知識を増やしてゆける
点も読む楽しみの一つです。
猛勉強の末に社労士の国家資格に合格し
三年が経ったヒナコが、クライアントである
会社とそこで働く労働者の要望や希望、
問題と真っ直ぐ向き合い、双方にとって
よりよい環境を目指して全力を尽くす物語。
社労士になったばかりのひよっこから、
経験を積むことで法に則った正義感だけでなく、
様々な角度から問題点に目を向け法を守りながら
法を武器として活用して生きる姿が素敵です。
知っていると知らないでは大違いの、
法律という矛と盾の中から状況に合った
最適解を見つけるため奮闘するヒナコから
頑張る力をもらえます。
この先のヒナコをまだまだ見ていたい物語。 -
オール讀物2021年7月号そこは安息の地か、11月号甘い誘惑、書き下ろし:凪を望む、副業はユーチューバー、希望のカケラ、4つの連作短編を2023年1月文春文庫刊。シリーズ3作目。今回はいきなりの文庫化。社労士4年目のヒナコの活躍が興味深い。ヒナコが不正に気づいてというパターンの話が多く、かなりイヤーな展開で気が滅入る。もう少し楽しい話があるといいのにと思います。
-
コロナに係るケースも登場。補助金、派遣、副業、育休など切実なテーマが提示される。
-
主人公のヒナコが嫌いと言いつつ、3作目にも手を出してしまった。
しかし、今作はコロナ禍ならではの「雇用調整助成金」の話や、最近義務付けられた「男性の育休制度」など、内容的には読みごたえがあった。
「副業はユーチューバー」など、日本の会社の嫌な部分が的確に描かれていたと思う。
「同一賃金」についても、本来ならば2020年から本格的に導入されるはずが、コロナでなし崩しになって、いつの間にか立ち消えになっている気さえしていたが、ここに来てイオングループが導入すると言うニュースが流れている。そんなニュースさえ、「今更?」と感じるのは自分だけだろうか?
コロナもあり、働き方が多様化される時代。
社労士の方々も大変だと思う。その様子を本書は良く捉えていると思うけど、やはりヒナコが好きになれない。
他の方のレビューにもあるが、社労士として問題解決をしているようには見えず、ただの日常の謎解きにしか感じられない。
しかも4年目で独立を考えているヒナコが信じられない。
今回出て来た案件も、一人で解決出来る訳でなく、クライアントの意見を踏まえた提案どころか、自分よがりの提案しかしないヒナコのような社労士だったら、私だったら、確実に喧嘩になるだろうし、権限があれば、取引しないだろう。
やまだ社労士事務所の面々がのんびり過ぎて、せっかく社労士と言う、あまり小説の題材にならない職業をテーマにしている割には現実離れしているようで、個人的にはやっぱり好きになれない。 -
雇調金、同一労働同一賃金(パート有期労働法)、労災特別加入、就業規則、育介法という具合で各編ごとに異なる法律を題材にしており、その分だけ脳みそも異なる部分を使う刺激を楽しむことはできたのですが、主人公の役回りが“社会保険労務士”というよりは“(ミステリ的な意味での)探偵”だったのが気になった。
以前からそういう作品が含まれるシリーズではあったけれども、今回ちょっとワンパターンだったかなぁ。
本質的に法令と無関係なところで起きている人の過ちの話であり、舞台が社労士事務所である必然性が薄かった、というか。 -
シリーズ続編。
リモートワークや飲食店のテイクアウトなどをとりあげていて話題が新鮮。仕事をめぐるあれこれは難しいことが起きてしまう。仕方ないけど。
ヒナコが仕事に慣れてきて成長していくのがいい。 -
コロナ禍で生じた労務問題を取り扱っており、初めて知る知識も多かった。作中の話を見ていると、各種法律を実務に落とし込み正しく運用していくのは難しいなと感じてしまう。
-
新年一冊目。社労士の仕事には興味があるけど、ぬかなかそれをテーマにした小説はない。
シリーズ一作目から読みたかったけど書店になかったのでこの三作目から。
職場環境をどうするか、法が整備されてもなかなか変わらない体質の会社もある。社労士の役割って関わり方次第で大きいなあと感じる。
次は一作目!読んでみよう。
こんにちは。ここに反応してコメントしてくださるとは。
その時は減給で済んで良かったですね。
よくニュース...
こんにちは。ここに反応してコメントしてくださるとは。
その時は減給で済んで良かったですね。
よくニュースで似たような表現を見るので間違いやすいですが、会社役員や公務員とは異なり、通常の企業における懲戒処分で「減給●日分」というのは出来ないですものね。
7日分の給料を引きたかったら「出勤停止7日」にすべきところでした(就業規則に出勤停止中は無給という規定があるのが前提で)。
コメントありがとうございます。
今新川帆立さんの新作を読んでいて「滅多にテーマにならない労働法制をも一編に...
コメントありがとうございます。
今新川帆立さんの新作を読んでいて「滅多にテーマにならない労働法制をも一編に加えている」短編集と評価しようとしていたら、「あ、こんな本があったんだ!」と見落としていた事に気がつきました。
今、組合役員をしていた関係で労働相談のボランティアをしているので、労働法制には関心あるんです。労働基準法という言葉に敏感に反応してしまいました(^^)。
>7日分の給料を引きたかったら「出勤停止7日」にすべきところでした(就業規則に出勤停止中は無給という規定があるのが前提で)。
‥‥勉強になります。
中小企業の社長さんなんか、労基法なんて全く知らない人が多くいて、大変です。わりと小さなミスを取り上げて、いっぱつで解雇しようとするし、辞める前の有休消化をだいぶ前から打診しているのにダメだというし‥‥。無知からきている相手ならば処しやすいのですが、人事課長さんみたいに社労士資格があって、わかっていてやってるとしたら、なかなか大変かもしれませんが‥‥(^ ^;)。
このシリーズも読んでみようと思います。
こんばんは。
労働相談のボランティアとは、なかなか大変そうですね。
中小の経営者の方々からすると、建前みたい...
こんばんは。
労働相談のボランティアとは、なかなか大変そうですね。
中小の経営者の方々からすると、建前みたいなことでコストアップになることばかりを色々と言って来る労働行政が鬱陶しいことは確かでしょうねえ。
このシリーズ、法令についてはまずまずしっかり調べられて書かれているように思うので、そういう意味では読まれて面白いと思います。
それだけに、ちょっとしたミスが残念なのでした。