- Amazon.co.jp ・本 (688ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167920845
感想・レビュー・書評
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呉勝浩『おれたちの歌をうたえ』文春文庫。
『スワン』『爆弾』と傑作を上梓し、波に乗っている呉勝浩の長編ミステリー小説。
本作は余り話題にもならず、読む前からこれはハズしたかという危惧があったのだが、全くその通りであった。M資金詐欺のネタである金の延棒、往年の作家を題材にした暗号だとか、余りにも詰め込み過ぎで、消化出来ていないように感じた。
やっと『スワン』で、この作家と波長が合ったと思ったのだが、残念。
令和元年。訳ありの元警官で現在はデリヘルの運転手に甘んじている河辺は、チンピラの茂田から電話を受け、長野県松本市に呼び出される。指定された安アパートに行くと、その部屋でかつての友人であった佐登志が萎びた状態で亡くなっていた。その首筋には注射痕があり、他殺と考えられた。
一体、何者が佐登志を殺害したのか。時代は令和から昭和へと遡り、昭和の時代に5人の少年たちが経験した幾つかの事件から、再び平成、現在へと佐登志の死に纏わる謎を追い、時間が経過していく。
本体価格1,290円
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スワンに爆弾にQっていう、着眼点が即ち牽引力のかなりを担う作品と比べ、本作はまあ、普通のミステリ。とはいえさすがの展開の妙で、これだけの長編も飽かずに読み通させる。
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予想よりだいぶおもしろかった!
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「栄光の5人組」を紡ぐ50年に跨る圧倒的なスケール感。必然か偶然か、誤解やすれ違いは時に残酷に時に優しく人々の過去を紡いで未来を織り成す。全体的に漂う雰囲気は荷風の言う「暗愁」であるが、清濁飲み込んでそれでも今を生きようとする潔さに心地よい読後感を感じる。
難点としては、第2章の学生時代の描写がラノベノリであるところと、それぞれの登場人物が生み出す物語に対して真犯人とそれに付随する真相がややパンチが弱すぎるように思う。そこに目を瞑れば素晴らしい大河刑事小説に仕上がっている。直木賞候補になったのも納得の作品。 -
栄光からの絶望からの、過去が重荷でありながらもそれが希望でもあり続けるような
過去から現在にかけての思惑が圧倒的だった。
セイさんが個人的にとても切ない。
凄まじく暗いし何も変わっていない気もするのにそれでも圧倒的希望が見える終わりで凄く良かった
何事も切り捨てられる欣太の友達への対応とか、栄光レッドとかにすごくグッとする
濃厚な物語。読めて良かった -
【幼馴染が遺した暗号、隠されているのは、金かそれとも……】河辺のもとにかかってきたある電話。思い出すのは封印していた真っ白な雪と死体。あの日、本当は何があったのか? 大河ミステリー。