風の帰る場所 ナウシカから千尋までの軌跡 (文春ジブリ文庫 3-3)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784168122026

作品紹介・あらすじ

衝撃の引退劇――世界のミヤザキの原点『風の谷のナウシカ』から『千と千尋の神隠し』まで、十二年間に及ぶロングインタビューで、天才・宮崎駿の発想の“源泉”を探る。

感想・レビュー・書評

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  • インタビューを読むのはあまり得意としていないが、本作は興味深かった。宮崎駿氏の思想を少し理解することができ、作品の解像度が上がった気がする。作品のことだけでなく、仕事としてのアニメーションについても触れられており、業界の様子を垣間見ることができた。

  • インタビューをまとめた本なので、比較的読みやすい本でした。ただ、インタビュアーがはじめにに書いてある通り本人も認めてる通りちょっと喧嘩腰なのがそこが読んでてしんどさを感じた。内容自体は各作品のことやアニメーションに対する気持ちや姿勢、世の中とどう関わってていくかを書かれていてなるほどなと思いながら、宮崎駿さんってなんかこうつかみどころがありそうななさそうな不思議な人だと思った。また改めてジブリ作品を観てみたくなった。

  • 『君たちはどう生きるか』が素晴らしくて、改めて宮﨑駿の言葉を聞きたくて読んでみた。
    昔のインタビューなのに、世間に対する考え方が今の自分にちょうど刺さる感じがあって不思議だなと思ったら、インタビューが始まったのがちょうど彼が今の自分の歳と同じ時で、偶然とは言え納得があった。
    そして今後に大きな影響を受けそうな言葉がたくさんあって読んで良かったと本当に思えた。
    とりあえず、全作品のBlu-rayとコミック版ナウシカは揃えようと思う。

  • ジブリ映画が好きなのに、その生みの親である宮崎駿さんのことはあまり知らなかった。

    色々な作品の制作時期にあわせ、宮崎駿さん自身の言葉が読める 興味深い作品だった!

  • 夏と言えばジブリ。
    金曜ロードショーにジブリが並ぶと夏を感じる。
    今年は宮崎駿の新作、「君たちはどう生きるか」が公開されています。
    ジブリに関する物語が読みたくて、「スタジオジブリ物語」と併読していた一冊です。

    1990年代のインタビュー集で、
    インタビュアーの渋谷さんも著名な方なんですね。

    二人のやり取りが途中喧嘩のようだし、
    インタビュアーの考えを押し付けているような印象も受けましたが、文字だけだからですかね。苦笑

    映画は受け取り手の見方、
    感じ方に委ねたい部分もあるから、
    名言はせず抽象的に伝えている印象の宮崎監督と、
    だからこういうことでしょ、という感じのインタビュアー。

    途中、インタビュアーの文章の方が長くて、
    宮崎監督が「そうですね」の一言で返してるのは、
    笑いました。苦笑

    宮崎監督の最初の一言が、
    「いや」「いや、だから」みたいな言葉が多くて、
    インタビュアーが違うのか、
    宮崎監督の元々の性格なのか、
    あまり詳しくない私には判断できず。苦笑

    子どもに向けて映画を作っているというのは、
    とても腑に落ちました。
    「あんな人いない」に対して、
    「まだ出会ってないだけかもしれないよ」と言いたい、と。

    ヒーローでもヒロインでも、特殊能力がなくても、
    ちゃんと自分で立って頑張る、
    千(千と千尋の神隠し)を描きたかったというのが印象的でした。

    読んでいて宮崎監督節に苦笑いしたり、笑ったり、ほっこりしたり、はっとさせられたり。

    宮沢賢治の本が読みたくなりました。

  • どれだけこの世界の現状を悲観して見ていようが、結局は絶望ではなく希望を見せる為に映画を作るのが宮崎駿監督なんだよなぁ、、、、

  • 最初のインタビューこそ謙虚さが勝っていてまっすぐに応えようとしている姿勢が感じられるのです。しかし、だんだんと、インタビュアーに慣れてきたのでしょうか、あけっぴろげに感じられるところもあるし、歯に衣着せぬ発言も多数あるし、気難しげなところもあるしで、もともとけれんみの無いお人柄のようではあるのですがざっくばらんに話をしてくれている印象に変わっていきました。その結果、宮崎駿さんという、一人の人間であり、アニメーション映画監督であり、アニメーションの技術者であり、表現者であり、という丸ごとにすこしずつ触れられるような出来栄えの本になっていると思いました。そして、たびたび、「いやはや、面倒くさい人だな」と笑えてしまいました。

    面倒くささでいえば、このなかで語られる手塚治虫さんについてもかなりです。漫画を描いているぶんには神様と言われるほどの天才的な技術と表現力を発揮する人でも、アニメーションの分野での仕事ややり口は、宮崎駿さんの言い分のよると「彼がアニメーションでやったことは僕は間違いだと思うんです」でした。製作を安く受け合ったり、イエスマンしか周りに置かなかったり、いろいろあったみたいです。

    また、『エヴァンゲリオン』の庵野秀明さんと『攻殻機動隊』の押井守さんにたいする言及があるのですが、彼らへのすごいこきおろし方をしていてびっくり。読んでいくとわかりますけども、どうやら気心知れた仲みたいですね。アニメ世界の世間は狭いようで。

    『風の谷のナウシカ』から『千と千尋の神隠し』まで、映画を作った動機やどういう流れの中での作品なのか、また背景にある宮崎監督の思想や知識(マルクスだとか照葉樹林文化だとか)を断片的に知ることができる内容でした。映画の一部分やキャラクターの解説になっているところもあります。

    あと、コミック版『風の谷のナウシカ』に触れている箇所も多く、このコミック版にわくわくどきどきした者から言わせてもらうとぞくぞくしてくる話を聞けたような感じでした。名作だと思っているのですが、宮崎さんは苦役のようにこなしていたところがあるようで、スタジオで彼の半径何メートルかではコミック版ナウシカは無かったことになっている、と。もし誰かが触れたら怒鳴り散らされたり不機嫌になってどうしようもなくなったりしたそうです(やっぱり面倒くさいですね)。

  • ジブリ作品に出てくる人たちが好きだ。
    特に主人公たちは、みんな(たとえ幼くとも)葛藤を抱えて生きているから。
    このインタビュー集を読むと、監督の宮崎駿自身が、ものすごく葛藤を抱えて生きている人だということがわかる。
    言ってることは、かなりひねくれたオジサンなんだけど、そのものすごく奥の方に、絶対に消えない小さな希望の光がある。
    それを力任せに取りだして、みんなにどうだ!!と見せたい反面、誰にも見られたくないから、大事に大事に隠しておきたい、といった矛盾した気持ちのあいだから、こぼれ落ちたものが、ジブリ作品にちりばめられているような気がするのだ。
    こんな感想も、宮崎監督は「わかったことを言うな」と一蹴するのだろうけど。

  • もうこれで辞めてやるって言い続けながら、今だに映画作ってるんだよなぁ。有言実行に囚われなくても、その時の自分の気持ちに正直であれば良いかって思えてくる。

  • 宮崎駿がどんな考えや思いがあって、ジブリ作品が生まれた創作背景が気になって読んだ本

  • 白黒はっきりさせるようで、のらりくらりとかわすようでもある、掴めない御方です。2002年、初版発行のハードカバーの方を読んだのですが、『コクリコ坂から』のことだな、と分かるところがあってニヤリ。あれ?監督に就かれた方違いますか??

  • 文庫本発行にあたって若干強引なインタビューの引き延ばし感が否めないが...(結構繰り返しも多い、本来カットすべき記事とか)

    それでも駿さんの言葉が充分に響く本でした。「作る」を舐めてはいけない。

  • コロナ禍の中で再上映されたナウシカともののけ姫を映画館で観て、漫画版ナウシカを読み直したところに図書館で発見。全編、インタビューでの対話形式で書かれています。押井守著のジブリを評する本に、「宮崎駿監督作は『意味しかない』」とあったけど、この本を読んでなんとなく納得。インタビュー自体が宮崎駿好きによる、宮崎駿好きの為の、という感で置いてきぼりくらうところもありましたが、意外と喋る宮崎さんが結構助けてくれました。ところで、毛虫が主役の「ボロ」というアイディアはポニョに繋がるのかな、と予想。

  • 渋谷氏のロキノンは、エレカシと幸福な関係。
    ブランキー初期とは幸せな関係だったが、浅井健一ソロとは決裂して……という。(→浅井健一は「音楽と人」へ。)
    それくらいの印象。
    もちろんロック方面、私が一時期首を突っ込んで、その奥深さに辟易し首を引っ込めた分野では、凄い人なんだろう。
    が、駿へのインタビュアーとしては、ともかく続けてくれという懇談、そして次の回においては、だから前回私は駿さん続けるって言ったでしょー!? という、その鼻息に終始している。
    とはいえ駿も鼻フンフンの若者に対し、ジジイとして鼻の穴をフンフンしているので、共犯。
    素材としては悪くないが。
    評論家は、こういういけ好かないインタビュー集を材料にして色々考えなければならないんだろうね、難儀だねえ。

  •  渋谷陽一の立ち向かいかたが、「喧嘩ごし」的に気合が入っていて、宮崎駿の答えが、ある種、言いたい放題。ここまで言わせた渋谷君はエライ!
    https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202002160000/

  • ――ひょっとすると自分の中にすごくアバンギャルドな創作指向性みたいなのがあって、それを抑圧してるんじゃないかということは全然感じませんか。
    「全然感じません。全っ然、感じません」
    ――ということはやはり、基本的にはいわゆるエンターテインメント的なものへ向かうのは、自然の中の流れであるということですか。
    「ええ、そう思ってます。だから僕は――これはあちこちで喋ってることですけど――『人というのはこういうものだ』っていうふうな描き方じゃなくて、『こうあったらいいなあ』っていう方向で映画を作ってます。『こういうもんだ』っていうのは自分を見りゃあわかるんでね」
    ――(笑)。
    「このだらしなさとか、そんなの今さら他人に言われたくもないし、他人に伝えたいとも思わないです。そういうことで共感を得たいとも思わない。そういうだらしない部分っていうのは、これは要するに恥の部分であって、それはもうこっそり隠してお墓に入りゃいいんでね。その底知れない悪意とか、どうしようもなさとかっていうのがあるのは十分知ってますが、少なくとも子供に向けて作品を作りたいっていうふうに思ったときから、そういう部分で映画を作るのはやりたくないと思ってます。映画だけじゃないです、他のものもそうです。それは大人向けに作るときは、また違うでしょう。大人に向けて作ったら、多分『あなた生きてる資格がないよ』ってことをね(笑)、力説するような映画を作るかも知れませんけど」

  • 自営業者、特にアートで食べてる人は読むべき。

  • 家に見つからない

  • つい最近まで観る予定も無かった「風立ちぬ」は、なぜか義務のようにさえ思えるような、読み解かなければならない投げかけがいくつもあって、大変労力を必要とする映画だった。
    宮﨑駿が映画という言語を用いずに何を語るのか、答え合わせの必要に駆られて読んだという受け手としては敗北を確認する読書でもあって、結局は何が残ったのかよくわからない。
    安易な共感の心地よさなど不要で、今、自分が生きていることと直結していると感じる直感があるだけで、とてもありがたいことだなと思う。

  • 斜め読みでパラパラと読んだ。インタビュワーの「分かってます」感があった。(インタビューとしてはあまりよくない)
    いまの世界に生きていて、問題だらけなことは分かっている。自分はそんなときに昔の本を読んで「逃げて」しまっていたような気がした。すべてを「引き受ける」アシタカは自分の憧れの人である。

  • 宮沢賢治を「偉い人」という。

  • かなり酷い。

    背表紙には"自らの作品の背景や狙いはもちろん、文明論から歴史観に至るまで、徹底的に語り尽くした"とあるが、内容のほとんどが後者の文明論や歴史観(そもそも文明論や歴史観ってなんだ?そんな言葉あるのか?)になる。また、インタビュー形式の記載のため非常に読みにくいことと、インタビュアーの言いたい方向に持って行きたいのがあまりいい気持ちにならない。どちらかといえば、宮崎さんの話を引き出すように自分の考えを強く出さない人に行って欲しかった。

    ジブリ映画好きなら、もっと別の本で宮崎さんを知るべきであると強く感じる。

  • 少し前に読んだので、くわしい内容は忘れてしまいましたが・・・ 各映画を作成したときの背景や想いをつづった本。

  • 「ストーカー」「ミツバチのささやき」、宮沢賢治、手塚治虫、ブルース・スプリングスティーン、シニアジブリ、関東大震災、庵野秀明、押井守、杉浦茂、「テス」、「ライアンの娘」

  • 【衝撃の引退劇――世界のミヤザキの原点】『風の谷のナウシカ』から『千と千尋の神隠し』まで、十二年間に及ぶロングインタビューで、天才・宮崎駿の発想の“源泉”を探る。

  • 宮崎駿。著となっているが、インタビュー集で、インタビュアーが渋谷陽一。つまりそれぐらいのコッテリさということ。

  • そういえば読んだことありませんでした。
    面白かったです!思ったより一気に読めました~
    千尋より後も読みたいなあ。

  • 『「不幸にして君は出会ってないだけで、どこかにいるに違いない」って僕は思うんですよ。』宮崎駿のインタビュー。渋谷陽一の若さゆえのエゴの塊的な誘導には辟易したけど、宮崎駿の頑固さに救われた。長い年月をかけて、向き合う二人の変遷は悪くなかった。宮崎駿は哲学の人という印象があって。「わかる」必要はないし、わかんないなりに考えることで得られるsomethingはきっとある。と。

  • ケンカ腰が本当を引き出していた。

    渋谷陽ーの宮崎駿へのロングインタビュー。
    最初は喧嘩腰。
    それが回を重ねるごとに噛み合い、思わぬ本当を引き出していた。
    それは渋谷と宮崎に通底する思想や教養があったからこそ。
    土俵があってこその喧嘩腰。

    「『これはブランドもんだから好きだ』って着てるのは駄目ですよ! そういうスノビズムは、どっかで可愛げがあったときはいいけども」

    「僕は回復可能なもの以外は出したくないです」

    「僕は、人間を罰したいという欲求がものすごくあったんですけど、それはヤバイなあと思ったんです。『新世紀エヴァンゲリオン』なんかは典型的にそうだと思うんだけど、自分の知っている人間以外は嫌いだ、いなくてもよいという」

    「下請けの人が仕事を持ってきてくれたときには挨拶したいしね、暇があったらお茶でもいれたいぐらいの気分なんですよ。~ところが案外ね、みんな平気な顔してるんですね」

    「シンプルでストロングなストーリーで端的明瞭っていうのが映画では一番いいんだっていうのは、ほんとそのとおりだと思うんですよ。でも、それだけやってしまうと、この現代の世界は取りこぼしてしまうんですよ」

    心にとまった所をピックアップしてみると、常識というか、知性というか、教養というか、もののとらまえ方が自分に響いたとわかる。

  • 作品の背景のようなものが分かるので、宮崎駿さんの映画のファンではあるので楽しめました。
    ただ自分と年代が違うし、ある種の思想が入っている感じでどうにも理解できない部分も多かった。
    内容から、映画1本作ることが本当に大変なことなんだなということと、宮崎駿さんの凄さが伝わってくる。でも上司に持つとややこしいんだろうなと思った。

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著者プロフィール

アニメーション映画監督。1941年東京都生まれ。学習院大学政治経済学部卒業後、東映動画(現・東映アニメーション)入社。「ルパン三世 カリオストロの城」(1979)で劇場作品を初監督。1984年には「風の谷のナウシカ」を発表。1985年にスタジオジブリの設立に参加。「天空の城ラピュタ」(1986)、「となりのトトロ」(1988)、「魔女の宅急便」(1989)、「紅の豚」(1992)、「もののけ姫」(1997)、「千と千尋の神隠し」(2001)、「ハウルの動く城」(2004)、「崖の上のポニョ」(2008)、「風立ちぬ」(2013)を監督。現在は新作長編「君たちはどう生きるか」を制作中。著書に『シュナの旅』『出発点』『虫眼とアニ眼』(養老孟司氏との対談集)(以上、徳間書店)、『折り返し点』『トトロの住む家増補改訂版』『本へのとびら』(以上、岩波書店)『半藤一利と宮崎駿の腰ぬけ愛国談義』(文春ジブリ文庫)などがある。

「2021年 『小説 となりのトトロ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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