電球交換士の憂鬱 (文芸書)

著者 :
  • 徳間書店
3.60
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感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198640866

感想・レビュー・書評

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  • こんなに面白いとは思ってなかったのでラッキーでした。
    途中「森見登美彦が書いた?」と勘違いすることもあったけど・・・

  • 生き方、考え方、恋の仕方、色々と良い感じだった

  •   

  • 意外な展開で・・・
    SFなん?
    好きなお話でした

  • 吉田篤弘の描く世界はいつも嘘の世界。それを承知で読む。しかし承知の筈の自分はいつの間にか何処かに姿を眩まし、最后の頁で妙に物語に嵌まり込んでしまった自分を発見する。そこには急に止まったメリーゴーランドの木馬の上に跨がったままで途方に暮れた顔がある。

    寂れた百貨店の屋上に遊技場が存在したのは何時の頃だっただろう。百貨店の屋上に象がいた記憶はさすがに持たないけれど、狭い空間の中に幾らでも見飽きないまばゆい遊具が並んでいた風景の心象はある。大した数の遊具ではなかった筈なのにそれらが無限とも思えたのは、自分の身体の大きさとの比較の問題だけでなく、遊ぶことが許された機会が貴重だったせいでもあるだろう。昔の子供にとって外で走り回るのが遊ぶという意味だった。今となっては、その時代が代え難く大切なもののように思えるが、全てが黄昏めいた記憶の着色を帯びてしまった故の感傷でもあるのは間違いない。たとえそうだったとしても、失ってしまったものや思い出すこともなかったもの、それらに附随する細々とした記憶が次々とよみがえる。吉田篤弘の小説は、読むものの意識を過去に向かわせる。

    熱心な吉田篤弘の読者というわけではない。それでも新作が発表されると気になる。必ずしも手に取る訳でもない。しかし必ず確認してしまう。御注進、御注進、と心の中でつぶやきながら。この人には以前すっかり騙されたことがある。存在しないものを存在するかのように描くのがこの人の得意とするところだから。例えば吉田音の小説など。用心しなくてはならない。そう思いながら読み始めるのに、いつの間にかやられてしまう。信じ込むわけではないけれど、何処か懐かしい場所に連れ去られたような気になって、はっとさせられる。

    ところで、美術館の電球を交換をする話は何処かで読んだことがあると、かすかな記憶がしつこく主張する。電球だけに「電氣ホテル」だったか、美術館なら「モナ・リザの背中」だったかと本の山から引っ張り出して頁をめくるけれど見つからない。ブクログの過去のレビューから吉田篤弘を検索すると、岸本佐知子編集の「変愛小説集 日本作家編」が網に掛かる。そして「梯子の上から世界は何度だって生まれ変わる」というタイトルに行き当たる。そうか、ここに居たのか。急いで本棚に向かい目指す本を取り出し頁を繰る。なるほど、なるほど、この扉がこうなってあのヤブがそうなるのか。ひょっとして玉子サンドがこの絵になるってことなのか。またまた吉田篤弘ワールドに絡め捕られている自分がいる。

  • 電球の交換を仕事にする主人公が、なじみのバーや仕事で出会う人たちと交流したり、ちょっとした謎を解いたり、失われるものを思ったりする話。
    ちゃん作られた作品であるように感じるが、面白いわけでもなし。

  • 16.2.15

  • どこかの家のカーテンごしに見るオレンジ色の灯りのあったかさを想像するランプ。
    時代と共に消えていくいろんなもの。
    限りあるものだからこそとうとい。

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著者プロフィール

1962年、東京生まれ。小説を執筆しつつ、「クラフト・エヴィング商會」名義による著作、装丁の仕事を続けている。2001年講談社出版文化賞・ブックデザイン賞受賞。『つむじ風食堂とぼく』『雲と鉛筆』 (いずれもちくまプリマー新書)、『つむじ風食堂の夜』(ちくま文庫)、『それからはスープのことばかり考えて暮らした』『レインコートを着た犬』『モナリザの背中』(中公文庫)など著書多数。

「2022年 『物語のあるところ 月舟町ダイアローグ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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