ゴルゴタ (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店
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感想 : 76
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  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198931957

感想・レビュー・書評

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  •  「さまよう刃」を読んで納得いかない思いをした人にはこれを、という声があったので読んでみた。いやはやこれはまたすごかった。少年犯罪へのあまりに軽すぎる処分に対して被害者のとるすべは。法制度が適切に罰してくれないのなら自分でやるしかない。とはいえ一般人が保護下にある未成年に直接復讐するのは難しい。そう、一般人には限界があるけれど、一般人ではない特殊な人間ならそれが可能になる。陸上自衛隊中央即応集団特殊作戦群というテロや武力攻撃に対応して組織された秘密部隊の中の精鋭中の精鋭、それが主人公真田聖人。妊娠中の妻を凌褥殺害した5人の少年を次々に見つけ出しては易々と虐殺してゆく。
     いくら完全武装した精鋭元特殊部隊員とはいえ、対する警察だって手を拱いているわけではないしそうそううまくいくものか。いやいくんだこれが、痛快なくらい。そしてストーリーはそれだけの単純なものではなく、報復対象は少年の親から安易な処置をくだした裁判所にまでおよぶ。諸悪の根源はつきつめればこの国の社会がもつ不条理さに行きつく。ただそうなると事件は単なる復讐譚を超えて国家に対する個人的テロの色彩を帯びてしまう。いやまさにこれはテロ事件なのだ。容赦ない、まさに容赦ない攻撃につぐ攻撃。そこまで読み手が心情的についていけるかどうか。圧倒的な戦闘シーンは迫力あるし、警察側にも長間宗一郎警部という魅力あるつわものが活躍して、荒唐無稽な娯楽アクションとして読めばそれなりではある。でもそのために少年犯罪という重いテーマの比重が相対的に軽くなってしまっている。単にチンピラをやっつける水戸黄門かか月光仮面か鞍馬天狗か(古いねしかし(笑))なんでもいいんだけど、そんな単純な話でよかったのにという感がぬぐえない。

  • 妻の殺され方がかなり凄惨なので、その辺りで読めなくなる人もいるかもしれない。面白かったです。

  • 前作が面白かったのでこの本を手にしました。妻を殺され心情的に分からなくはないですが・・すごいですね。前作もそうでしたが、戦闘シーンを描くとき作者はとてもイキイキしてる風に感じます。

  • あらすじだけでも十分わかりますが、人を選びます。

    復讐者の物語は、結局本人の超人性も、さらに大きな権力に潰されかけながら、相討ちまでなんとか持ち込んだ。そんな流れのストーリーに終わる事が多いですが、そんな凡百の流れにならなかった事に揺さぶられるような感動を覚えました。

  • 最強と謳われる陸上自衛官・真田聖人の妻が惨殺された。妊娠六ヶ月、幸せの真っ只中だった。加害少年らに下った判決は、無罪にも等しい保護処分。
    ―この国の法律は真田の味方ではなかった。
    ―憤怒と虚無を抱え、世間から姿を消した真田は復讐を誓う。
    男は問う―何が悪で、何が正義なのか、を。
    本物の男が心の底から怒りをあらわにしたその瞬間...。残酷で華麗なる殺戮が始まった。

     重厚で濃密なテーマと、ガンマニアなのが一発でわかる作品だろう。シナリオは単純であったけど、妻の事件においての犯罪事件もしっかりと伏線になっていたのはやはり以外というほかない、この事実がこの作品のテーマを単純ではなく重くしていったのだということがわかる。唯一の救いは妻の殺害描写がなかったことだろうし、youtubeとかいろいろと頭よすぎだろ真田、もはやこの男だけで国家転覆とかできそうないきおいだろおいと突っ込むほどに強すぎる。
     まあそれでも、グロさと無慈悲なまでの冷酷的な現実の描写は「さまよう刃」が好きな人には好みなのかもしれない

  •  陸上自衛隊に所属する真田の妻が殺された。妊娠六ヶ月だった。
     加害者は五人の少年。無罪に等しい刑が下される。覆らない審判。何かがおかしい。どうすることもできなかった真田は黙って姿を消す。
     その一年後、かつての加害者達が殺される事件が起こる。




     ヤングガン・カルナバル以外で初めての深見真作品。

  • 最強と謳われる陸上自衛官・真田聖人の家族が惨殺された―妊娠六ヶ月の妻と義母を殺したのは全員未成年の五人グループだった。
    しかし加害少年への判決は保護処分。
    この国の法律の在り方を知った真田は、復讐を誓い姿を消した―
    一年後、隅田川に死体が上がった。
    被害者は真田の家族を奪った五人のうちのひとり―
    これはただの復讐劇なのか―残酷で華麗なる殺戮が始まった!

    感想書きにくい…

    妻惨殺の状況が微細克明に描かれていなかったのでほっとしました…そんなシーンがあったら本投げる、と読む前に心配だったから。

    ニュースでも、明らかに“ソレやったら死ぬでしょ”ってコトをやらかす若人がいるからね…
    そうして、本心からなのか戦略なのか、死ぬとは思わなかったとか言うし。
    不思議な位軽い刑罰で済まされる。
    現実にそういう事があるので、非常に重いテーマの物語だと。

    自身の大義の為に動く真田側、事件を追う警察側、どちらの言い分もわかるだけに歯痒い!
    裏で各上層部が政治的駆け引きをしているのも複雑さに輪をかけてるし(それが面白くしてるんだけど!)

    鮮やかな手口でやり遂げる真田には、長間と同じく「お見事!ブラボー!」と叫びたい、ある意味、爽快な気分です。
    エンターテイメント!

    事件後、この物語世界では少年法は改正されたのかな―
    そして真田はこの先、どう生きていくのかな…
    不安要素は古馬里香なんですケドね。

    銃撃戦たっぷりなのはいつもの如く、です

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著者プロフィール

2000年に第1回富士見ヤングミステリー大賞を受賞、2002年角川Next賞を受賞。代表作は『ヤングガン・カルナバル』シリーズ、『ゴルゴタ』、『GENEZ』シリーズなど。『魔法少女特殊戦あすか』原作、『ちょっとかわいいアイアンメイデン』原作、『王様達のヴァイキング』ストーリー協力。TVアニメ『PSYCHO‐PASS』1期、『PSYCHO‐PASS 劇場版』(ともに虚淵玄と共同脚本)にて、ニュータイプアニメアワード脚本賞受賞。TVアニメ『ベルセルク(2016)』シリーズ構成。

「2017年 『バイオハザード ヴェンデッタ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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