あるキング (徳間文庫 い 63-1)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198935870

感想・レビュー・書評

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  • これ、好きなほうの伊坂幸太郎だわ。というより、小説として好きだわ。

  • 帯に「今までの伊坂作品とはひと味違う!」とあった。
    そう宣伝しないと、読者を失望させるかも、
    という心配が出版社にあったのかも知れない。

    自分はシェイクスピアに明るくないので、
    マクベスと絡めてどうこうということはいえないが、
    絶対的な力を持つ“王”が人の世に降り立ち、
    その力が織りなしていく様、巻き起こしていく渦を、
    淡々と描いているように読めた。
    『あるキング』とは、よくつけたものだなぁと思った。

    特に大きな謎があるでもなく、
    張り巡らされた伏線が回収されるでもないし、
    いつものように細かく場面が転換したりもしないけど、
    伊坂作品らしからぬ、という失望感は、
    個人的にはあまり感じなかった。
    人に勧めるかは微妙だけど、個人的には好きな作品。

  • 天賦の才を持って生まれた少年、王求(おうく)。
    野球の神様に愛され、両親に愛され、彼はひたすらに技術を磨き、
    物心つく頃には才能を開花させていく(異常なほどの才能を)。
    しかし特異な存在は、周りからの差別を生み、数々の窮地立たされる。
    そんな窮地にも動じず、ただひたすらに野球をしていく主人公。
    (その代わり周りで数々の事件を生み、最終的には自らに振りかかってくるのだが・・・)

    ストーリーは一貫性があって、共感できる部分も多く、読みやすい一冊でした。

  • 裏腹が対立してる(!?)みたいなおかしなモヤモヤ感の中に漂う光る言葉につられて一気に読み終える。
    対極にあるものって案外隣り合わせに存在するのかもしれない。
    妙に納得してしまうところがやはり実に彼らしい作品だと思う。

  • 野球のはなし。地名が一文字ずつ変わっていたが実在の野球チームがある地の話。王求という少年の一生みたいなものかな。

  • 「この作品は、いままでの伊坂幸太郎作品とは違います。」

    ↑この帯に惹かれて読みました!

    「意外性や、ハッとする展開はありません。」

    またまたあ~。そんなこと言って、本当はあるんでしょ~。
    という気持ちで読みすすめました。

    確かに、いつもの伊坂作品とは違います。
    ひとことで言うと「バットを持った孤独な王様が、みんなのために本塁打を打つ、そういう物語。」
    フェアはファウル。ファウルはフェア!面白い!!!

  • 正直、あまり評価しません。テーマの捉え方は非常に伊坂的な感じがしたのだけれど、締めというか、落とし方に違和感。これもそれも伊坂幸太郎、とも思えるので気にしませんけど。別の作品も読むので、そちらを楽しみます。

  • まず一言、「面白かった」
    伊坂作品では「死神の精度」がぶっちぎりで☆5なもんで、迷いましたが☆4にしました。

    始めに「いつもの伊坂作品とは違い…」という紹介の一節も、本作を読めば全て納得できます。実際は、全くもって伊坂らしい作品だったと思いますよ、だから納得。
    この紹介ですら、本作に何度も登場する「フェアはファール、ファールはフェア」なんですね。

    実際、非常に謎めいた作品です。マクベスを多く引用し、三人の魔女やある人の幽霊…もとい、前の王の幽霊やらが作中にでてきます。また、語り部たる第三者の目線で描かれているところなど、少し変わっているかもしれませんが、でも伊坂の描く文章力は本当に素晴らしいと思うし、それだけ伊坂らしくないっていうのはどういうことだろう?と、違う方向で疑問に思う始末(笑)

    王求の人物像から、取り巻く人物たちが、簡単に頭のなかに像として描かれるのも、充分伊坂作品ですよ。

    ほんと、フェアでファールですね。

    (この一節から、野球が浮かんで、マクベスをスパイスにこの小説が生まれたんだろうなぁw)

  • 山田王求という男の野球にまつわる数奇な人生。伊坂作品で過去に読んだ「グラスホッパー」、綴る視点が特殊な形だったなあと覚えている。なんだかその感覚に近い不思議な視点の変化と、ドラマチックなのに淡々とした、野球をベースにしているはずなのにファンタジー風味なような、伊坂作品であってこれまでの伊坂作品とは何かが違う、フェアなようなファウルなようなお話。

  • なんというか、不気味な話だった。

    王求がずっと監視されている不気味さ、

    王求の人生に関わる全てがあたかも予定調和であるかの様な不気味さ、

    全てを見通しているかのような南雲目線の不気味さ(最初は誰の視点だかが明かされていないのが不気味さに拍車を掛けている)。

    監視されている恐怖は『モダンタイムス』や『ゴールデンスランバー』でも味わえるけれど、この話での"監視"はまた一味違った気味の悪さがある。

    監視側はあくまで見守っているに過ぎないのだろうけれど、私にとっては得体のしれない人物が見ているのは不気味以外の何物でもない。

    ところでその見守っていた魔女三人の存在意義がイマイチ掴めなかった。

    ユニフォームを着た男については何者か言及されていたけれど。

    『マクベス』を読んでいれば存在意義や役割がわかったんだろうか。

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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