あるキング (徳間文庫 い 63-1)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198935870

感想・レビュー・書評

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  • 「今までの伊坂幸太郎じゃない」という触れ込みは少し正しく無いように感じました。「ちょっとだけ利己的ないつもの伊坂幸太郎」でいいんじゃないでしょうかね。しかし最初は、随分読みづらかった。理由は自分のチューニングが「伊坂幸太郎を読むぞ」になっていた所為。童話のようで神話のようで伝記のようで雑誌記事のようで、でもやっぱり戯曲かも知れない、そう思ったら大変に視界がクリアになって、なかなか爽快でした。
    いつも伊坂幸太郎を読むと「この作品をすきなのが世界で私だけだったらいいのになあ」と大事な気持になるのだけど、今回はあまりにも伊坂幸太郎が楽しそうで、きっとこの作品を一番愛してるのは彼なんだろうなと思ったら伊坂幸太郎になりたくなっちゃった。

  • まず、やっぱり読みやすい。
    単調な進み具合ではあるのに、サクサクと読めてしまう。
    単調なのに…と思ってたら残り数ページで、「え?」と声が出てしまった。
    伊坂作品で声が出るのは何冊目だろう。

    面白かったのだけど、軽い性描写がいくつもあったのが私にはちょっと合わなかったかな。

  • ・山田王求の生涯を想像すると華やかより苦しみや苦労を多く感じることがあり少し寂しい気持ちになっが、野球に捧げる思いには勇気をもらえる話だった。

  • 大好きな伊坂さんの新作。

    あとがきに、ご本人自ら「いつもの僕の小説とも雰囲気の異なるものになりました」と書かれているように、今までの伊坂さんの作品とはテイストが違いました。

    真の天才。
    神懸かった存在。
    そんな人間が実在したら。

    実在しないから、何となく漠然と切望しがちなその存在の、与える影響力の大きさを感じることができました。
    主人公・王求がたまに見せる平凡な人間らしさに、安堵感を抱いた読者もいるのでは?

    人間、というか大人のエゴ。
    いかにして私達大人がバランスを取っているのか。
    当たり前という価値観の個人差。

    そんなことを考えました。

    凡人な自分に感謝。

    ただ殺人の証拠品となった、プロ野球チームの応援グッズに「傘」を採用されたのはヤクルトファンなのでブーイング。

  • マクベスの、いかようにも受け取れる一節を題材に、野球に絡めて物語を書くとこうなりました、と言うところでしょうか。
    伊坂さんの本を年代順に読んでいるのではないので、今までとは違う伊坂本と書かれていますが、むしろ最近の伊坂さんの本に近いのではないかと思います。
    言動の意味のわからなさ、常識を超越した展開を思う存分楽しみました。

    初出、単行本とは違うと言うことなので、文庫本を読んでいない人にもおすすめです。

  • 伊坂幸太郎っぽさ
    を実験的に消そうとしてる。

  • 今回の作品は伊坂氏の強いメッセージ性が全面に押し出されたものになっており、今までの伊坂作品のような「見事なまでの伏線の回収」や「ユニークな会話の展開」が見られないためエンターテイメント性という観点で見たら確かに物足りなく感じられた。

    「フェアはファウル。ファウルはフェア。」
    この物語にはシェイクスピアの「マクベス」のようにフェア(善き事)の為にファール(悪き事)をする登場人物がたくさんでてくる。
    そもそもいいことと悪いことの違いなんて誰にも分からないのだから、打ったボールがフェアかファールか気にせず、「我を張って」生きるしかないのだと読んでいて私は感じた。

  • 伊坂幸太郎氏の本を初めて読まさせて頂いた。

    ファウルはフェア、フェアはファウル・・・
    物事の捉え方によっては正義と悪に・・・
    プラスとマイナスに・・・

    とある野球少年の人生を
    廻りを取り巻く波乱万丈の境遇から
    ファウルはフェアかフェアはファウルかという
    視点で上手く描かれている・・・

    考えさせられた1冊!

  • うーん。
    悲劇というほどでもないが、ヒーロー大活躍ということもない。
    マクベスも読まねば。

  • 素直にすごく面白かった!弱小球団に現れた野球の王の話という設定がまず良かった。
    本の感想からは的はずれかもしれないが、私が生まれた時からの阪神ファンで、弱小であった頃の阪神をずっと見続けてきた故に弱者の立場(頑張れと応援する側)に共感できたから楽しめたのかも。仙醍キングスのモデルは阪神ではないだろうが…
    二十二歳のラストは泣けた。南雲慎平太は素晴らしい選手だ。
    後、やはり私は巨人が嫌いだ!(笑)東卿ジャイアンツが巨人をモデルにしてるかは分からないが…

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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