とむらい屋颯太 漣のゆくえ (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198947705

作品紹介・あらすじ

生きていてほしかった。
死者が残した未練や無念
生者が抱えた哀惜や苦悩を描く。
とむらいの物語、第二弾!

第一章 泣く女
材木商木島屋の若旦那が亡くなった。
葬儀のとき、颯太は昔馴染みの女に
声をかけられる。お艶が来たということは、
賑やかな葬式になる――。 

第二章 穢れ
見ず知らずの男の弔いをお願いしに来たおきよ。
今朝「お前さんの父親だ」と亡骸を
置いていかれたばかりだという。 

第三章 冷たい手
あたしが眠っている傍で、母親が自ら命を絶った。
割り切れぬ想いを抱えながら
お吉は生きるために身体を売る。 

第四章 お節介長屋
終の住処として越した長屋は、
五十もの世帯がありうるさい。
ひとり静かに死にたい福助の事情とは? 

第五章 たぶらかし
ある処から亡骸を引き取りすぐに
荼毘に付してほしいと言われる。
奇妙な依頼に違和感を覚えながらも
颯太は引き受けるが――。 

第六章 漣の行方
母を死なせた侍をついに見つけた。
浮足立つおちえを颯太はたしなめる。
二人の前に当の侍が現れ――。

<とむらい屋で働く人々と仲間たち>
颯太:新鳥越町二丁目の弔いを扱う葬儀屋の店主。十一歳で葬儀屋になると決意する
おちえ:母を颯太に弔ってもらって以降
居座るおせっかい
勝蔵:早桶職人。はじめてつくった棺桶は
妻のものだった
正平:勝蔵の弟子で同じ長屋に住む
寛次郎:筆が得意な雑用がかり
道俊:寺に属さない、渡りの坊主
巧重三郎:水死体を見るのが苦手な医者
韮崎宗十郎:北町奉行所の定町廻り同心

第一章 泣く女
第二章 穢れ
第三章 冷たい手
第四章 お節介長屋
第五章 たぶらかし
第六章 漣の行方

感想・レビュー・書評

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  • 読み始めたら一気読みだった。
    ひとつひとつの物語が逸品なのだ。使われていることばも通俗的な市井を描いた物語であるのに、通俗的でなく意外と丹精込められている。

    今回は「吉」という若い女性のことですっと糸が通っているようだ。
    1巻目のおわりには「とむらい屋」の人々が少なからずなんかしら重いものを背負っていて、その重いものに折り合いをつけた、と自覚するような物語が展開される。「誰かに何かされたから」は作られた物語だった。記憶は生き埋めになっただけで、本当に生きるためには封印されていた埋められていた事実に向き合わないといけない。

    死者をきちんと弔うことは生きる者に必要なことなのだ、たしかに。生きる者が折り合いをつけて生きていくことは淡々と、本人が意識せずとも毎日は続いていくものなのだ。

    つづきが読みたい。

  • やっぱりいいです、面白い。吟味方の50叩きを必死で食い止めるこうざぶろうにお叱りだけのお裁きの吟味方、めちゃくちゃ優しいわ。姉が名前を変えて目も見えなくて妓楼にいたのを必死で探して説得して妓楼主がお金を持ち出して、朝顔の種を交換条件にして、分かりました200両を楽しみながら育てますと姉を自由にする妓楼主のめちゃくちゃ優しいから。そんな所が好きなんだよ、殺す殺されるだけの時代小説は反吐が出るし。あと三好って誰なの、何者、何で助けるの。次回があるのかな

  • とむらい屋颯太シリーズ二弾。
    相変わらず周りに不浄呼ばわりされながらもとむらいの仕事を続ける颯太と仲間たち。そんな中、新しくとむらい屋の一員となるお吉の登場や、おちえの母の死に関わる人物が判明したりと様々な出来事が起きる。 
    とむらうとは死者の為ではなく生者のためにする事という颯太の思いがこの作品でもたびたび描かれる。

  • 202208/

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著者プロフィール

東京生まれ。フリーランスライターの傍ら小説執筆を開始、2005年「い草の花」で九州さが大衆文学賞を受賞。08年には『一朝の夢』で松本清張賞を受賞し、単行本デビューする。以後、時代小説の旗手として多くの読者の支持を得る。15年刊行の『ヨイ豊』で直木賞候補となり注目を集める。近著に『葵の月』『五弁の秋花』『北斎まんだら』など。

「2023年 『三年長屋』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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